社会的養護施設第三者評価結果 検索

つくば香風寮

【1】第三者評価機関名 (特非)福祉経営ネットワーク
評価調査者研修修了番号 SK16018
SK15057



【2】種別 児童養護施設 定員 30名
施設長氏名 芳賀 英友 所在地 茨城県
URL http://www.doujinkai.or.jp/
開設年月日 2011年04月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 同仁会
職員数 常勤職員 26名 非常勤職員 1名
専門職員 施設福祉士 1名 社会福祉士 4名
臨床心理士 1名 保育士 13名
調理師 2名
施設設備の概要 (ア)居室数 個室4・2名部屋1×3ユニット 個室×8・2名部屋×2×1ユニット (イ)設備等 セラピールーム
(ウ) ファミリールーム(家族機能室) (エ) 静養室
【3】理念・基本方針 (1)理念
「合掌深敬の心」
綱領「合掌深敬の心」を基本理念とする。
 合掌深敬とは「感謝して深く敬う」との言葉であるが、狭義では人間尊重や個性尊重を意味している。
 しかし、課題として捉えるには漠然としている。故に、これを「人権を守る」と定義し、以下のとおり解釈する。
・あなたのことを知っています
・あなたに関心があります
・あなたを必要としています
これらを具現化するために、次のとおりに実践する。これらが、私たちのめざす「自立支援」の基本です。
・「あなたのことを知っています」とは、その基本は名前を知っているということです。必ず名前を呼ぶようにしましょう。
・「あなたに関心があります」とは、人間関係を示唆し、その基本はあいさつすることにあります。常に明るくあいさつすることを心掛けましょう。
・「あなたを必要としています」とは、「ありがとう」と言葉でいえることです。
 私たちは福祉を志し、奉仕やボランティアのこころを強く持っているため、常々「ありがとう」と言われる立場にあります。しかし、福祉の専門職としては、私たちが「ありがとう」と言える環境を造ることが求められています。子ども達の行事の参加や常々のお手伝いの中で「ありがとう」と言える場面を沢山造っていきましょう。

(2)基本方針
「地域社会における社会的養護のニーズに応えた、児童養護施設の安定的・継続的運営に努めるとともに、変容する多くの子ども家庭福祉の課題に柔軟かつ主体的に取り組みます。子ども達の生活支援において「受容・共感」「支持」「教示」を援助の基本とし、安心と安全の維持に最大限努力して、その子ども一人ひとりの健全な自己実現の助けとなる自立援助を実践します。
さらに、その子どもの声に丁寧に耳を傾け、子ども自身の意思や選択が反映されたより家庭的な生活支援の実現を目指します。
 子ども達の生活支援を地域生活の中での実践し、それらを通して地域に子どもの権利擁護意識啓発の発信する、地域児童福祉への専門性還元を視野に入れながら、地域と一体となった施設運営を目指します。」(施設運営基本方針)
【4】施設の特徴的な取組 ・援助の標準化を目指す共通技術の導入(ペアレントトレーニング)
・ユニット形態を活かした家庭的養育の実践
・積極的な人材育成(法人・施設・外部)
・明確な施設方針
・特性を活かした地域貢献
【5】第三者評価の受審状況 2017年11月06日(契約日)~ 2018年03月29日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
○「施設が目指す家庭的養育の明示やアセスメントシート、ライフストーリーワーク実施計画書等を作成し職員間で共有し、個別性を尊重した支援の充実に努めている」
 1ユニット6名が3ヵ所と1ユニット12名が1ヵ所の生活環境のもとで、施設が目指す家庭的養育を文書で明確に位置づけて全職員の理解・浸透に取り組むとともに、施設全体の生活ルールはほとんど用意しない工夫や、養育担当制をとらず、勤務シフトも2ユニットで組む等の方法により、子ども一人ひとりが主体的に生活できるように配慮している。また、ストレングスポイント等の項目を盛り込んだアセスメントシートの作成や、ライフストーリーワーク実施計画書を今年度から独自に作成・活用すること等により、職員と共通認識を図りながら、子どもの個別性を尊重した支援の充実に努めている。

○「職層別研修や内外研修の充実により、職員の能力向上を図っている」
施設では経験年数の浅い職員が多く、資質向上が課題となっており、法人研修、外部研修に加え施設内研修を3つの柱とする研修体制を整備して能力向上を図っている。施設内ではキャリア別研修として新任職員研修や3年次職員研修、職員研修、中堅職員研修の職層別研修を独自で実施しており、新任職員には入職事前研修や1年の振り返り研修、複数回のペアレントトレーニングを行う他、3年次職員、中堅職員には、それぞれの立ち位置に対応した自己点検研修を実施している。さらに、ペアレントトレーニングやライフスト―リーワーク学習会など、専門性を高める内部研修を実施し、能力向上を図るとともに職員の働く意欲向上に努めている。


◇改善を求められる点
●「アフターケアの充実に向けて、施設としての方針を明確にしたうえで、具体的な取り組みや実施計画の作成を進めていくことが望まれる」
 平成23年度に開設された施設で入所している子どもの養育や保護者との関係調整等を最優先して取り組んできたことや、退所した子どもが少ない等の状況のため、アフターケアについては未整備となっていることを施設でも課題と認識している。今後は、施設としてアフターケアに関する方針を明確に定めて職員への浸透を図ることにより、例えば、アルバムの整理についても個別の子どもについてだけでなく、退所した子どもが施設を心の故郷として来訪した際に、ユニットでの様子等をまとめたアルバムを見て懐かしむことができるよう整える等、アフターケアを意識した取り組みの充実と具体的な実施計画を立案していくことが望まれる。

●「施設として必要な社会資源を整理し、一覧表等でリスト化と組織全体での共有を図られたい」
子どもの個別状況やニーズに対応するために、地域の社会資源については、各職員が情報を把握し、必要時に職員から情報を得ている。一方、施設として必要な社会資源を整理し、職員全体で共有するしくみの構築には至っていない状況がうかがえる。施設として必要な社会資源を洗い出すとともに、職員が把握している情報をとりまとめリスト化することが望まれる。加えて、施設全体で共有するため職員会議での説明や施設内に掲示する等必要なときに活用できるように取り組まれたい。また、順次情報を得たときに更新することで、さらなる充実と活用に努められたい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 第三者評価の外部機関受審は今回2度目になりますが、開設より力を入れて取り組んできた「家庭的養育」、「援助の質の標準化」、「施設独自の人材育成」、「アセスメントやライフストーリーワークへの取組」などについて、当方の意図をよく汲み取っていただいた上で好評価を賜り、有り難く存じております。その一方で、文書化やリスト化などのいわゆる「見える化」や、各種マニュアルやその他の見直しなどの期限やサイクルの明確な規定などについて曖昧な点もご指摘いただいております。本評価を参考にしながらひとつひとつ改善し、より良い運営を目指したいと存じております。
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