【1】第三者評価機関名 | (特非)ニッポン・アクティブライフ・クラブ ナルク福祉調査センター |
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評価調査者研修修了番号 | SK18229 1201A027 |
【2】種別 | 児童養護施設 | 定員 | 30名 (本体24名、地域小規模施設6名) | |
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施設長氏名 | 松居 太開 | 所在地 | 大阪府 | |
URL | ||||
開設年月日 | 2010年04月01日 | 経営法人・設置主体 | 社会福祉法人イエス団 | |
職員数 | 常勤職員 | 31名 | 非常勤職員 | 1名 |
有資格職員 | 保育士 | 17名 | 社会福祉士 | 1名 |
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社会福祉主事 | 9名 | 臨床心理士 | 1名 | |
公認心理士 | 1名 | 精神保健福祉士 | 1名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 5ホーム 計 28室 | (イ)設備等 | 事務室、応接室、面談室、会議室、診療室、セラピールーム、休憩室 |
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(ウ) | 寮母室、居間、給食室、トイレ、納戸、更衣室、浴室、洗面所、洗濯室 | (エ) | 子育て支援室、地域交流スペース、多目的ホール | |
【3】理念・基本方針 | 〔理念〕 「社会、地域、家庭とつながり、生き生きと主体的に生きる人を育てる」 〔基本方針〕1.法人創始者 賀川豊彦の貧しい人々を助けたキリスト教精神を引き継ぐ。 2.社会、組織、人とのつながりを大切にする。 3.子どものこころの傷を手当てし、自尊感情を育む。 4.成長する子どもの力を信頼し、それぞれの個性を尊重して養育にあたる。 5.養育の連続性を大切にする。 |
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【4】施設の特徴的な取組 | <施設の概要> 〇施設の特徴的な取組(沿革・環境・取組内容等) 「ガーデンロイ」は、社会福祉法人イエス団が、創設者賀川豊彦の献身100年事業の一環として、2010年4月1日に生駒山の麓の自然豊かな閑静な場所に開設した児童養護施設である。 ガーデンロイは、「生き生きと主体的に生きる人を育てる」という理念のもとに運営している小規模児童養護施設(定員30名:本体24名、地域小規模施設6名))であり、同一敷地内にある乳児院「ガーデンエル」と相補的に連動しながら、事業運営を行っている。 ガーデンロイは、小規模施設の特性を活かしてより家庭的な養育環境を整えており、各ホーム(4ホーム)ごとに小規模グループケア体制(6名)を取り入れ、子ども一人ひとりを大切にした養育・支援を行っている。 本体施設での小規模ケアと共に地域分散化の取組みとして、本園の近くに地域小規模児童養護施設「マリア」」(6名)を併設しており、児童養護施設の小規模化と地域分散化を先進的に取り組みながら、社会的養育を実践している。 <施設の特徴的な取組> ① 全ホーム小規模グループケア体制 国が示す社会的養育ビジョン計画に先立ち、独創的で先進的な小規模化による施設づくりによるグループケア体制を整備しており、良好な家庭的環境のもとでの個別性に配慮した養育・支援の取り組みを行っている。 ② 資質の向上のための組織化されたSV体制とメンタルヘルスの取組み 施設長のリーダーシップのもと、基幹職員、主任等のリーダーによる効果的なスーパーバイズ体制が整備されており、研修の機会も多く、職員の質の向上に熱心に取り組んでいる。また、常勤心理士による「何でも相談」を通しての職員へのメンタル面のサポートにも力を入れており、働きやすい職場づくりを目指している。 ③ ICT化による情報共有化と日常業務処理の効率化 ICT化を通しての情報通信による業務の効率化と可視化された情報共有による連携プレーにより効果的な養育・支援につなげている。特に分散化されたホーム間の有効な連絡通信手段となっており、記録等の管理も一元化されおり、情報が全職員に共有化されている。 ④ 個別性を配慮した養育の連続性と「自律と自立」を目指した取組 できる限り良好な家庭的環境づくりを目指したホーム制による小規模グループケアにより、職員による個別性を重視した信頼関係づくりを行い、日々の生活を通して基本的な生活習慣の形成と自律性を涵養し、自立した社会生活が営めるようなスキルトレーニングも行っている。 |
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【5】第三者評価の受審状況 | 2019年08月07日(契約日)~ 2020年03月12日(評価結果確定日) | |||
前回の受審時期 | 平成28年度 | |||
【6】総評 | ◇評価が高い点 1.法人本部と一体となった経営・運営管理の取組と体制づくり 理念・基本方針が確立・周知されており、法人創設者賀川豊彦の精神の具現化に向けて法人・施設が一体となり、施設長のリーダーシップのもと、合理的な経営と組織化された運営管理を行っており、社会的養護を担う児童養護施設としての役割・機能を果たすための体制づくりにしつかり取り組んでいる。 2.養育の連続性と「自律と自立」を目指した養育・支援の取組 法人のミッションステートメントのもと、ガーデンロイの理念・基本方針・スローガンを明確に掲げ、「人とのつながり」を大切にし、それぞれの子どもの個性を尊重し自尊感情を育めるようと、職員は優しい言葉がけと配慮を行っている。また、「子どもたちが生き生きと主体的に生きれる人になれるよう」と、職員が一体となって「自律と自立」を大切にした養育・支援に努めている。 3.PDCAサイクルに基づく施設運営の組織的な取組 施設を取りまく環境状況を的確に把握・分析しながら、三カ年ごとの中期計画を策定しながら、実施に対する振り返りと分析を行い次の計画に繋げている。PDCAサイクルのもとに、常に課題と問題点を抽出しながら、養育・支援や施設運営の改善のために施設職員が一体となって組織的に取り組んでいる。 4.小規模化によるケアと地域分散化を目指した先進的な取組 子どもに対する養育・支援については、「できる限り良好な家庭環境」を提供するために、敷地内に分散化し木造の独立したホームを設置している。小規模グループケア(子ども6人がすべて個室)のもとに、職員による個別性の配慮とアタッチメントによる信頼づくりと連続性を目指した質の高いサービスを提供しており、安心と安全な生活を保持している。 5.子どもを尊重し、人権とプライバシー保護に配慮した養育・支援の取組 子どものプライバシー保護や基本的人権の尊重のために、職員研修には力を入れている。園外の研修参加とともに、特に園内研修では人権擁護・虐待のチエックやCAP研修、セカンドステップ、その他のスキルアップを目指した研修を積極的に行っている。 6.スーパービジョン体制に基づく職員の資質向上に向けた取組 施設職員については、新任者等比較的若い年齢層が多い構成になっているが、施設長以下、主任、リーダー職員が日々の業務を通じ、OJTやSV体制のもとに、新任、初級・中級職員の資質の向上を図る取り組みを行っている。また、保育、福祉、心理、その他の専門職集団によるチームアプローチ体制による連携プレーを行いながらきめ細かな養育・支援を行っている。 7.子どもの性に関する積極的な取組 人権委員会が中心となり、組織として取り組んでいる。事業計画の中に児童のからだ、心を大切にすることをあげ、実践に結びつけている。プライベートゾーンのルールをわかりやすく文章化し、個々の発達やケースに合わせて定期的に指導している。高学年対象に外部講師を招いての研修も計画されている。 8.心理的な支援とメンタルヘルスの取組 心理ケアの必要な子どもにセラピーを実施しているだけでなく、生活場面にも参加し、得た情報をケース会議や各種カンファレンスで助言している。子どもだけでなく職員のメンタルケアも担って実績をあげている。 9.適切なアセスメントによる自立支援計画の策定 施設独自の様式を用いて、担当職員とこどもが面談し、そのアセスメント結果をもとにして自立支援計画書が作成される仕組みになっている。 ◇改善が求められる点 1.運営の透明性を確保するための情報公開の取組 小学校や幼稚園との交流、自治会・子ども会活動への参加により、地域における施設への理解や認識は深まっているが、施設の透明性をさらに確保するための情報公開の工夫が求められる。地域に向けてさらなる情報発信をするためには、施設活動を説明した印刷物や園だよりなどの広報誌を配布するなどPRする工夫を望む。 2.社会的養育ビジョンの計画の維新と地域ニーズに対応した施設の有効利用 三カ年計画でも示されているように、地域に対する施設の有効利用のためには、社会的養育ビジョンにある「小規模化・地域分散化」を計画案に基づき、地域小規模施設を増設し、本体施設・ホームをさらに小規模化し施設・設備を有効に利用できるように推進する。更には、多機能化・高機能化の取組みとして、本体施設・ホームでの一時保護事業や自立支援事業の導入など、施設が持っている専門的な機能やノウハウを園の実情に合わせて有効に活用することを望む。 3.地域の福祉ニーズに対応した公益的な事業・活動の取組 平成28年の改正社会福祉法により、社会福祉法人が地域における公益的な取り組みを実施することを要請されている。賀川精神の具現化を目指す「イエス団」の法人・施設としてガーデンロイの社会的養護(施設)の事業だけにとどまることなく、地域の少子高齢化に伴う福祉ニーズに対応できる公益的な事業が行えるような体制づくりを工夫する。地域住民との見守り支援や生活困窮レスキュー事業、ふれあい食堂、環境美化活動、防犯活動、災害時の協力体制作り等地域の実情に沿った地域支援活動を行うことが求められる。 4.「最善の利益」にかなった進路の自己決定ができるような支援の準備 中学生がいるが、高校生はいない現状であり、今は高校進学に向けての準備段階であるが、現在の中学生が、継続在籍して高校進学した後の養育・支援の取組や卒業後の自立支援に向けての計画策定の準備を期待する。 5.日常的に調理の知識、技術を習得できる支援 ホームには一般家庭と同じようなキッチンがあるが、一緒に食事をさせてもらった印象に限っていえば、調理も片付けも職員がしていて、子どもが手伝っている風景はなかった。子どもが親の調理しているところを見たり、一緒に手伝ったりしながら、自然に知識や技術を身につけることができるような支援 |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | 助言があった箇所に関して真摯に向き合い、職員会議等で共有し、施設としてのサービスの質の向上に取り組みます。現在、高学齢児はいませんが、子どもの一人一人の豊かな未来の為にも理念、基本方針、スローガンを大切にしたいと思います。また、地域との共生を行う上でも社会情勢を踏まえつつ、ニーズの把握に努めます。 |