社会的養護施設第三者評価結果 検索

養徳園

【1】第三者評価機関名 (特非)アスク
評価調査者研修修了番号 SK18032
SK18034
T10001


【2】種別 児童養護施設 定員 52名
施設長氏名 福田 雅章 所在地 栃木県
URL http://yohtokuenhp.kids.coocan.jp/
開設年月日 1957年11月26日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 養徳園
職員数 常勤職員 46名 非常勤職員 7名
有資格職員 社会福祉士 2名 保育士 16名
児童指導員 19名 看護師 1名
栄養士 2名 調理師 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 ユニット3(個室4,5,5),分園3(個室3,5,4),地域小規模2(2,2) (イ)設備等 心理治療室、カンファレンス室、自活訓練室、親子訓練室、研修室、医務室
(ウ) 保育室、面接室、職員室、事務室、生活指導室 (エ) リビング、キッチン、食堂・厨房、浴室、洗濯室
【3】理念・基本方針 理念
「徳を養い器成す」子ども一人ひとりの権利擁護に努め、明るい心、素直な心、温かい心を育てることで、人格の涵養に努め、ひいては望ましい社会人として社会に送り出していくことを目指す。

基本方針
・児童福祉法及び児童憲章、子どもの権利に関する条約の理念を理解し、常に子どもの最善の利益を考慮した援助に努める。
・家庭崩壊等で精神的ダメージを受けている現状を鑑み、子ども一人一人の共感的理解に努める。
・本園が子どもの精神的安定の場となるよう、職員と子どもとの関係性を重視し、家庭的養護推進に努める。
・こどもとかかわり続ける方針の下、退所後の援助にも心を砕き、子どもの社会的自立を支援する。
・地域とのかかわりを重視し、地域の養育力を最大限生かした援助に努める。
【4】施設の特徴的な取組 ・家庭的養護の推進を目指して完全ユニット化を達成し、現在、小規模グループケア6か所(施設本館3ユニット、分園3か所)・地域小規模児童養護施設2か所による運営を行っている。
・平成27年度から施設本館1階に児童家庭支援センターを設置し、相談事業・一時預かり事業(ショートステイ・緊急一時保護・トワイライトステイ)等の事業を実施している。
【5】第三者評価の受審状況 2019年05月31日(契約日)~ 2019年12月18日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成28年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
●施設長は組織の進むべき方向性を明示しリーダーシップを発揮している
施設長は他の施設に先駆けて小規模化・地域分散化に取り組み、その実践経験を踏まえた新しい社会的養育ビジョンへの対応を施設の中長期的な計画とするなど、経営環境の変化に積極的に対応している。職員会議等の場では、職員に中長期的な計画や経営課題等について説明して理解を促している。また、養育・支援の取組について高い見識を持ち、職員との日常的な会話の中でも養育・支援の取組について具体的に示しているほか、職員の能力向上と高い専門性を身につけるための教育・研修に特に力を入れて推進している。

●標準的な実施方法として援助マニュアルが作成されている
援助マニュアルの中に食事マナー・入浴について・洗濯ものについて・生活指導など標準的な実施方法が具体的に細かく記載されており、職員が統一した養育・支援が実施できるよう示され、職員の拠り所となっている。援助マニュアルは、ケース会議や自立支援計画の見直し時に実施方法の検証をおこない、子どもの意見も反映しながらその都度見直し、年度末にも改定されている。

●子どもの成長を写真で記録した「育ちアルバム」と子どもへの援助と成長の過程を記録した「育てノート」の取組
子どもたちの成長と養育・支援の記録である「育ちアルバム」、「育てノート」に関しては、生い立ちの整理の目的や意義、効果を職員が理解して取り組めるように、園内研修が行われている。「育ちアルバム」は、語り継ぐようなエピソードが盛り込まれるよう工夫された子どもの成長の記録である。その年、その年代の生活が見えるように、何気ない一コマを選んで担当者が工夫してコメント・カットなどを入れ、前の施設や家での写真なども加えて、それぞれの子どもの成長を写真で繋げた子どもに渡すアルバムでもある。「育てノート」は担当職員が作成する子どもへの援助と成長の過程の記録で、途切れない支援を目的に次の支援者に託す記録となっている。

◇改善を求められる点
●職員一人ひとりの育成に向けた目標管理等の取組
「職務分担組織表」に各事業活動や委員会活動を担当する職員名が明記されて、職員一人ひとりの役割分担が明確化されている。職員は「ふりかえりシート」を用いて上司等から相談助言を得ているが、職員一人ひとりの目標設定はしていない。今後は、職員一人ひとりが各活動の年間目標からブレークダウンした自己の目標を設定し、上司および施設長との定期的な面談と日常的に行う適切な助言・支援によってモチベーションを高め、職員が自己の成長を実感しキャリアアップできるような取組が期待される。

●子どもの満足度を組織的に確認し、養育・支援の向上を図る仕組みの整備
施設は、子どもの満足度の把握については、「家庭的養護の推進にあたり子どもの満足度調査はあえて行わない」としている。それは、「子どもの満足度は職員が日々の関わりの中で感じとるもの」との施設の考えからである。しかし、施設として定期的に子どもの満足度に関して確認をすることで、改善課題や対応策などが発見でき、子どもの養育・支援の向上に繋がる取組となる。よって、子どもの満足度に関して組織的に調査・把握する仕組みの整備が求められる。

●子どもの暴力・不適応行動などの行動上の問題が生じないよう施設全体の更なる取組
施設内の子ども間の暴力、いじめ、差別、不適応行動などの行動上の問題が発生した時は、問題があった子どもに対応する職員、周囲の子をケアする職員と役割を明確に分担して対応している。また、暴力を受けたのが職員である場合のケアは、副施設長と統括主任が担当することになっている。
施設はすべて小規模化されたため、職員一人で対応することになるので、問題が発生した場合、施設全体でフォローすることになっている。しかし、現在、児童養護施設では、施設での養育・支援に困難を伴う子どもが増えているため対応に苦慮している。今後、個々のケースに関して児童相談所・学校など関係機関から受けられる支援内容を再確認し、具体的に誰が支援の援助に回れるかを想定して職員間の更なる連携や施設長の役割を明確にし、体制を整えることが期待される。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 施設の取組について細かなところまで見ていただき適切に評価していただきました。
第三者評価が義務化されてから3回目の実施となりました。回を重ねるにつれて職員自身が求める水準への理解を深めています。評価結果を真摯に今後の施設運営に活かしていきたいと思います。
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