社会的養護施設第三者評価結果 検索

氏家養護園

【1】第三者評価機関名 (特非)アスク
評価調査者研修修了番号 SK15024
S15094
T10001


【2】種別 児童養護施設 定員 52名
施設長氏名 大谷 順一 所在地 栃木県
URL http://yohtokuen.org/
開設年月日 1962年06月11日 経営法人・設置主体 社会福祉法人養徳園
職員数 常勤職員 27名 非常勤職員 8名
専門職員 家庭支援専門相談員 1名 里親支援専門相談員 1名
臨床心理士 1名 看護師 1名
保育士 10名 児童指導員 11名
施設設備の概要 (ア)居室数 4ユニット各6室 地域小規模児童養護施設2箇所に各6室 (イ)設備等 事務室、会議室、職員室、遊戯室、親子訓練室、医務室、心理面接室
(ウ) 厨房、食堂ホール、ユニット付属リビングルーム (エ) 運動場、バーベキュー棟
【3】理念・基本方針 法人理念:「養徳器成」
「徳を養い器成す」これが本園における養育の根本にある理念である。徳とは何か。養徳園の創設者である野沢益治は、子どもにもわかるように「明るく、素直に、温かく」とおっしゃっていた。子ども一人ひとりの権利擁護に努め、明るい心、素直な心、温かい心を育てることで、人格の涵養に努め、ひいては望ましい社会人として社会に送り出していくこと。これが野沢益治が目指したものであった。

援助目標:
“明るく、素直に、あたたかく”をモットーに、あいさつを大切にし、すべての児童が将来望ましい社会人になるよう援助する。
援助の基本方針:
1.児童福祉法及び児童憲章、子どもの権利に関する条約の理念を理解し、常に子どもの最善の利益を考慮した援助に努める。
2.家庭崩壊等で精神的ダメージを受けている現状を鑑み、子ども一人一人の共感的理解に努める。
3.本園が子どもの精神的安定の場となるよう、職員と子どもとの関係性を重視し、家庭的養護の推進に努める。
4.子どもとかかわり続ける方針の下、退所後の援助にも心を砕き、子どもの社会的自立を支援する。
5.地域とのかかわりを重視し、地域の養育力を最大限生かした援助に努める。
【4】施設の特徴的な取組  公立の児童養護施設が社会福祉法人養徳園に移管されて10年が経つ。一夜にしてほとんど全ての職員が入れ替わるという、子どもにとっては環境の激変があったものの、その後の職員の努力と子どもの適応力により、現在の落ち着いた施設運営、養育・支援環境が整うに至っている。
 幼児と小学生、中学生で構成される4つのユニットと、高校生で構成される地域小規模児童養護施設2箇所に合わせて52名の子どもが生活をしている。施設における家庭的養護の実現を目指していて、子どもには自由な雰囲気があり、職員は子どもが何でも話せ、相談できるよう、受容的な態度で接している。
 地域社会とのかかわりを重視し、多くの企業や団体、個人ボランティアの支えと協力がある。2017年5月には設立10周年記念「ふれあい祭り」が、地域住民を含む450名もの参加を得て盛大に開催された。
【5】第三者評価の受審状況 2017年09月25日(契約日)~ 2018年03月12日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
1.職員の子どもへの受容的なかかわりから生まれる信頼関係
 日常生活では、職員は指示的・制止的な言い方を避けて、子どもの気づきを待つ接し方を心がけ、日常的に子どもに寄り添い、子ども同士のトラブルがあった場合にも双方の言い分をよく聞いて対応するなど、根気強くかかわりを持っている。また、子どもからの何気ない意見も聞き取れるよう、部活の送迎の際の車中や年少児が就寝したあとの時間など子どもが話し易い環境とタイミングを大切にしている。子どもたちは職員を愛称で呼ぶなど気軽に声を掛け、職員もそれに明るく応じており、子どもと職員の信頼関係が作られていることから、近年は大きなトラブルもなく落ち着いた生活を送ることができている。

2.さまざまな生活体験や多くの人たちとのふれあいを通して育まれる他者への心遣い
 子どもは七夕やキャンプ、旅行、七五三、クリスマス、餅つきなど年中行事での生活体験や、担当職員と外食に出かけたり、一緒に服を買いに行ったりと多くの社会体験ができる日常を送っている。ユニットは年齢別ではなく、縦割りの年齢構成になっており、多様な年齢の子どもが共に生活を送っている。特に、施設の方針として何らかの障害を有した子どもを積極的に受け入れており、多様な人間関係の中で他者への心づかいや他者の立場に配慮する心が育まれるよう支援がなされている。

3.子どもの将来に向けた学習支援と充実したアフターケア 
 小学生に対しては、ユニットの職員が必要に応じて個別に学習指導を行っている。中高生は原則個室となっており、自主学習に取り組む環境を確保し、中学生以上で希望する子どもは学習塾に通っている。法人として「大学等進学助成基金」を設けて学費等の助成を行い、できるだけ大学等への進学が実現できるよう支援している。卒園後は主に職業指導員や施設長が窓口となって対応し、細かな生活上の困りごとなども気兼ねなく相談を持ちかけられる関係ができている。また、正月には卒園生の約半分の15名程度が来訪したり、高校生の夏休みの旅行には卒園生に同行してもらったりして、社会に出てからの体験談などを聞く機会を設けるなど、卒園生と子どもや職員の交流が継続されている。今年度、OB会が設立され、園とのかかわりや卒園生同士の交流の場の提供にもなっている。

◇改善を求められる点
1.運営の透明性の確保のための法人ホームページの充実
施設長のブログがインターネット上で公開されていて、日々の園の取り組みや施設長の考え、感想等が発信されており、園の姿を垣間見ることが出来る。また、法人の広報誌「オアシス」が年4回程度発行されており、法人のホームページにも掲載されている。法人のホームページには、年度ごとの事業報告と決算報告、事業計画、第三者評価結果等が掲載されているが、その中で氏家養護園についての情報がもれている部分が見られる。氏家養護園の事業は法人の一翼を担う活動であり、運営の透明性を確保するためにも、事業報告や事業計画、第三者評価結果について、遅滞なくホームページに掲載し、公開することが望まれる。

2.職員の理解を得るための一体となって取り組む事業計画策定
年度末には4つのユニットと2つの地域小規模児童養護施設および職員が分担して子どもの支援について検討・企画する3つのグループ会議が活動の評価と総括を行っている。一方で施設長による職員への希望調査(職務分担や各種休暇、研修、提言等)が実施され、これらの内容を踏まえて次年度の事業計画が立てられ、事業計画書は職員に配布されている。しかし、職員アンケートからは、法人の理念や運営方針、事業計画、スーパーバイザーの存在や意義について、職員に十分には浸透していないという結果が窺える。事業計画書作成の手順や、周知方法について再度検討し、職員の理解が進むよう期待する。

3.他者の性を尊重する心を育てるための性教育の取り組み
 看護師や職員が性教育に関する研修会に参加するとともに、施設長による職員研修を実施している。日常の養育の場面では、子どもから性に関する不安や相談があった場合はその都度対応することとし、その後改めて看護師等がフォローする体制をとっている。しかし、子どもに向けた性教育が充分ではないため、今後、年齢や発達段階に応じた性教育の実施に向けて検討を行うことが期待される。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 今回第三者評価を受審したことで、課題となる部分が明確になりました。改善できる部分はすぐに改善し、既に取り組んでおります。また今後も検討を重ねより良い施設づくりに精進して参りたいと思います。
第三者評価結果はこちら