【1】第三者評価機関名 | (特非)アスク |
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評価調査者研修修了番号 | SK15024 SK15025 T05028 |
【2】種別 | 児童養護施設 | 定員 | 18名 | |
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施設長氏名 | 熊田 富美子 | 所在地 | 福島県 | |
URL | http://www.geocities.jp/yumeminosato2014/ | |||
開設年月日 | 2014年12月01日 | 経営法人・設置主体 | 社会福祉法人ゆめみの里 | |
職員数 | 常勤職員 | 12名 | 非常勤職員 | 8名 |
専門職員 | 児童指導員 | 8名 | 保育士 | 1名 |
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個別対応職員 | 1名 | 家庭支援専門相談員 | 1名 | |
看護師 | 1名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 30室 | (イ)設備等 | 居住棟、事務所棟、心理治療棟 |
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(ウ) | くみ上げ地下水利用 | (エ) | ||
【3】理念・基本方針 | 安心・・・ありのままの姿を受容・容認し、喜びを持った生活 信頼・・・まず自分を信頼できるようなかかわり 響き合う心 自立・・・内面からわき起こる自ら実践するための意志 感謝・・・全てに感謝の気持ちで受け止める 理念を念頭に置き、プロセスを大事に考え、丁寧に繰り返し行う。 明朗で愛知に満ちた生活をおくる。 自分の力で生きていけるための経験・智慧を身につける。 お手本となる大人の中で、情操を滋養する。 |
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【4】施設の特徴的な取組 | 施設は集落から離れているが、自然に恵まれた環境を活かして子ども達がのびのびとした生活を送っている。幼稚園や小学校、中学校、高校、塾などは徒歩で通うのが困難なため、職員が車で送り迎えをして便宜を図っている。幼稚園に通う前の幼児は、居住棟から少し離れた場所にある心理治療棟を利用して、平日の朝から夕方まで専任の保育士が集団保育をしている。 | |||
【5】第三者評価の受審状況 | 2017年04月28日(契約日)~ 2017年11月25日(評価結果確定日) | |||
受審回数 | - | 前回の受審時期 | - | |
【6】総評 | ◇特に評価の高い点 ①森林に囲まれた施設での自然環境を活かした養育・支援 施設は集落から離れ、不便ではあるが、子どもたちがのびのびと過ごすことが出来る環境にある。3つのユニットに別れている居住棟は木造の2階建てで、敷地内には植え込みや林があり、一見するとロッジのようである。ユニットはそれぞれ山咲家、春野家、桜木家と名付け、管理棟は母屋、心理療法棟は木蓮庵と呼んで家庭的な雰囲気を醸し出している。まわりが雑木林なので落ち葉掃きは日常的な作業であり、冬の雪かきも大切な仕事である。これらの仕事は年齢の高い子どもには職業訓練として、年齢の低い子どもには協力しあうことを学ぶ機会として活かされている。子ども一人ひとりに個室が与えられているが、学習机は個室の外の廊下に設置されていて、ユニットのメンバー同士がつながっていることを感じさせる工夫が施され、職員と子どもたちが自然と共生しながら、共に暮らしを作っている。 ②子どもの生育歴への理解に基づいた一人ひとりに寄り添った養育・支援 様々な背景を持った2歳から17歳の子どもが生活しているため、子ども一人ひとりの生育歴や性格、障害を理解した上でのかかわりが重要である。養育・支援の標準的実施方法は確立されていないものの、ユニットごとに子ども一人ひとりの状況や変化、成長を確認しながら養育・支援にあたっている。小さな子どももいるため、時にはスキンシップや就寝時の添い寝、絵本の読み聞かせをしながら、愛着関係の形成に努めている。職員が時間をかけて受容的・支持的なかかわりを続けることによって、大人を容易には信頼せず、顔色を窺うような行動をとっていた子どもが、気持ちを素直に率直に表明してもよいのだと思うようになっている。 ③地域の人々に見守られ、交流を広げる取り組み 森の風学園の運営指針の一つとして「地域に役立つ存在になる(社会貢献)」を挙げており、行動指針として「森の風学園の職員は、学校をはじめとする地域との連携を積極的に深める」と謳っている。子どもたちを積極的に地域の行事や活動に参加させており、具体例としては、玉川村少年球技大会が挙げられる。大会が近づくと子どもたちは熱心に練習を行っている。また、地域の四辻盆踊り大会、四辻収穫祭へも積極的に参加している。地域の人は学園の子どもたちを温かく見守り、施設のハローウィン大会やバーベキュー大会、夏休みのラジオ体操などの行事に参加して交流を深めている。 ◇改善を求められる点 ①コミュニケーション促進のための仕組みづくりと役割分担の明確化 年度の基本方針、目標、事業の展開から構成された事業計画が作成されているが、配布のみであるため職員の理解度が非常に低い。情報共有や意見交換の場としては職員全体ミーティングが月に1回開催されているが、現状はユニットリーダーを中心とする代表メンバーのみが参加することが多い。不参加のメンバーには議事録が回覧される仕組みとなっているが、園長の考えや施設内の必要情報を周知する仕組みとしては不十分である。情報共有や意思疎通といったコミュニケーションは、円滑な施設運営のための重要な要素であるので、職員全員参加による全体ミーティングの開催や毎日10分程度の引継事項も含めた連絡タイムの実施といった取り組みが必要である。さらに、運営組織図に役割分担が記載されているものの、十分には機能していない面が見受けられるので、コミュニケーション促進の視点からも、現状に即した役割分担の見直しを行うとともに、自己評価・第三者評価の推進担当、看護師の役割、実習生・ボランティアの担当なども明確にした個人別の職務分担表の作成が望まれる。 ②理念および基本方針の明確化 社会的養護を担う児童養護施設として「安心 信頼 自立 感謝」といった理念を掲げ、子どもが自分の力で生きていけるための経験・智慧を身につけること、および親子の幸せな環境づくりの支援に努めている。ところが、理念・基本方針は施設内の文書、パンフレット、ホームページに記載されているが、文章表現がそれぞれ異なっているため、職員の理念や基本方針に対する理解度が低いことが窺える。文章表現を統一し、施設内に大きく掲示する、年度初めの職員全体ミーティングで解説するなどして周知を徹底する必要がある。また、わかりやすい説明資料を作成し、子どもや保護者に対して理念や基本方針の周知を図ることが望まれる。 ③標準的実施方法の確立 ほとんどの職員が「標準的な実施方法が明文化され周知されている」とは考えておらず、ユニットごとに職員のやり方で養育・支援が行われている状態である。「新任職員研修マニュアル」には、森の風学園の理念や施設運営、事業計画が説明され、事業計画書の中に「養育の基本」が示されている。この養育の基本は標準的実施方法の基本となる内容である。これを基に「自分の施設の子どもの状況を踏まえ、子どもの尊重など、それぞれの子どもの個別性にも配慮した対応も盛り込み、職員の違い等による養護・支援の水準や内容の差を極力なくし、一定の水準、内容を常に実現するための標準的実施方法」を早急に定めることが求められる。 |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | この度の第三者評価結果では、自然の中で情緒豊に過ごす子どもたちの姿や、直接処遇の職員が一人ひとりに寄り添った養育支援を行っていることに高評価をいただいた。このことは、日々の生活の中で大切なことなので、今後も子どもを中心においた処遇を実践できるよう養育環境を整えていきたい。 また、改善を求められる点では、①コミュニケーション促進のための仕組みづくりと役割分担の明確化 ②理念および基本方針の明確化 ③標準的実施方法の確立など、施設運営の組織としての構築がされていなかった。今後は、施設長はミーティングの場を増やし、明確でより効果的に働きかけることができるような計画、マニュアル作り等を職員と共に行い、共に施設をつくっていけるように環境を整え、職員全員が同じ羅針盤をもてるよう努力したいと思う。 |