社会的養護施設第三者評価結果 検索

南さつま子どもの家

【1】第三者評価機関名 (公社)鹿児島県社会福祉士会
評価調査者研修修了番号 S25221
S15081



【2】種別 児童養護施設 定員 46名
施設長氏名 上薗 昭二郎 所在地 鹿児島県
URL http://www.meitetukai.or.jp
開設年月日 1975年06月25日 経営法人・設置主体 社会福祉法人明澈会
職員数 常勤職員 38名 非常勤職員 3名
専門職員 臨床心理士 2名 社会福祉士 2名
栄養士 1名 保育士 6名
施設設備の概要 (ア)居室数 (イ)設備等 小規模児童養護施設1棟
(ウ) グループケア棟5棟 (エ) 管理等・多目的棟1棟
【3】理念・基本方針 基本理念(基本養護方針)
  家庭的養護・集団養護のなかで、社会人として自立できる豊かな心と、現状を 正しく判断できる眼を養い、施設生活が特異なかたよりを持つことのないよう、子どもの幸せをはかることを方針とする。

運営方針(指導目標)
 1 基本的生活習慣を確立する
 2 思いやりの心を育てる
 3 どんな小さな体罰、力の威圧も排除する(特に児童の上下関係)
 4 食事を文化として確立していく
【4】施設の特徴的な取組 ・本体に地域子育て支援としての里親・家族・自立支援寮多機能型の桜寮ではトワイライトステイ事業、ショートステイ事業を実施している。
・鹿児島県で初めて、平成28年度に県外専門学校進学2年間の措置延長が認められた。
・心理療法は、大学院修了者3名(2名は臨床心理士)体制で実施している。
・職員研修は、虐待対応関係・非暴力的危機介入法(CPI)・ペアレントトレーニング・日本子ども養育研究会研修など行っている。
・平成27年に第7回「生活の中の援助」事業報告会を開催し、第8回は平成30年に開催予定である。
【5】第三者評価の受審状況 2017年12月01日(契約日)~ 2018年03月09日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 *平成6年に不登校児童指導施設として県内で唯一認定されており、理事長兼施設長は、23年余にわたり、鹿児島市での不登校相談会をボランティアで開催し、相談結果を各種講演会で発表され、県内の児童養護施設の養育・支援に関する重要な参考資料として提供しています。

*社会的養護、児童福祉施設の在り方についての研究・分析については、施設長が社会福祉事業全体の動きや、国・県の施策や方針も見ながら、社会環境の変化を具体的に把握・分析しています。

*「家庭的養護推進計画」の中で、小規模グループケア及び分園型小規模グループケア・
地域小規模児童養護施設などが計画に盛り込まれ、小規模化への展開を県内でいち早く推進し、昨年度で施設全体の完全小舎化を実現しました。

*職員日常業務の標準マニュアル「南さつま子どもの家の生活の流れ」を大幅に改定し、南さつま子どもの家の養育コンセプトとして明確にしています。子どもたちへの関わりについて、多角的に検討し、子どもの権利と共に、子どもたちが今まで学ぶことのできなかった日常の生活のなかのルールや知恵を学びなおし、社会に自立していくことができる力を引き出していこうとしています。

*研修ではCSPやCPIなどの危機介入法、子どもと親に対する関わりの実践的トレーニングを全職員が受けることによって職員の実践の共通基盤を形成しています。

*3年前の評価と比較して、子ども(36名)を対象としたアンケートで満足度が相当程度アップしています。施設長所感で表現されている「管理より生活、安心」という子ども中心の視点が学園全体に浸透している一つの表れとして評価できます。

*中高生で組織されている自治会は形骸化することなく、生活を作り上げていくという視点から日常の活動を行っています。職員主導になりがちな施設内の当事者組織ですが、今後とも自らが主人公であるという当事者意識を持続していける支援の継続を期待します。

*第三者評価項目及び着眼点に対する疑義が何点か出されました。評価事業に対する積極的コミットメントとして受けとめました。具体的内容については評価機関に伝えます。


◇改善を求められる点

*当施設は、児童養護施設として先進的な取り組み、経験的な実践が伝統として蓄積されていることは認められますが、今後はビジョンや方針の策定、実績の評価を行う際に、検討過程や結果について、概要を記録し残していくことが望まれます。文書化・言語化することにより、職員や社会的養護関係者等に共有され、さらなる実践の強化につながることが期待されます。

*家庭復帰した退所者、高校を卒業して自立していく卒園者に対する支援は個別に必要
に応じて実施されていますが、記録の整備がなく、学園として組織的に位置づけられていません。退所者、卒園者に対する支援についての組織的な体制を望みます。

*性教育は個別に必要に応じて実施されていますが、学園としての基本的なコンセプトが明示されていません。

*子どもの小遣いについて高校生を含めて金銭は職員管理となっています。高校生については一人ひとりの実情に合わせて、小遣いの自己管理が望ましいと思われます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 今回の評価結果を受けて、これまで園として長年取り組んでいる特色を評価していただけたと思います。
 南さつま子どもの家は完全小舎制となり、心地よい生活をしていくために職員の日常業務を記した「南さつま子どもの家の生活の流れ」を見直し、作成しました。これを実行していくために、CSPやCPI、日本子ども養育研究会の養育プログラムを実践するために外部研修だけでなく園内研修を増やし、専門性の向上をはかっていきます。又スーパービジョンの体制を確立していきます。
そして、子どもの主体性の尊重や子どもとの信頼関係を大切にしていくために、毎日ホーム毎に行なうミーティングや中高生で組織する自治会で子どもの意見を聞き、子どもの最善の利益を中心において話し合いをしていきます。これからも、子どもたちの最善の利益を優先した養育実践を行い、心地よい生活を目指していきます。
 改善を求められる点では、方針の策定や評価を行う際に、検討過程や結果について概要を残していくことが望まれるとありますが、記録を残していくためには、これらの業務にあたる職員の配置が必要になると思われます。卒園者支援の記録は整備できていませんが、アフターケアを担当する職員は組織の中に明確に位置づけ、園全体で支援する体制を作っています。性教育は、取組みがまだ不十分です。子どもの小遣いは、高校生から自己管理して使えるようにしたいと思いますが、以前子どものお金がなくなり、お互いが嫌な思いをすることがありましたので、職員が保管しお金を計画的に使えるように支援しています。
 評価基準項目の「プライバシー保護」は、子どもたちがどのように捉えているのか曖昧であり、何をもって子どものプライバシーが護られていると評価できるのか具体的且つ明確に基準を示していただきたいと思います。南さつま子どもの家では、手紙は他人に開封されることなく受け取れること、浴室の窓に外から影が見えないように目隠しルーバーを取り付けていることなどプライバシー保護について明確にしています。又「思想や信教の自由の保障」に関しては、わが国は国連から勧告されているように、子どもの権利を保障するためには、子どもたちが意見表明権や表現の自由等を実際に使いながら培われるべきものであり、それを学習する機会を保障することが必要でありますが、それが整っていない教育制度にも問題があると思われます。
第三者評価結果はこちら