社会的養護施設第三者評価結果 検索

慈愛園子供ホーム

【1】第三者評価機関名 (一社)熊本県社会福祉士会福祉サービス第三者評価事業
評価調査者研修修了番号 SK18180
19-009
19-010


【2】種別 児童養護施設 定員 67名
施設長氏名 緒方健一 所在地 熊本県
URL https://www.jiaien-childhome.com/
開設年月日 1919年03月25日 経営法人・設置主体 社会福祉法人慈愛園
職員数 常勤職員 39名 非常勤職員 1名
有資格職員 社会福祉士 6名 保育士 17名
看護師 2名 臨床心理士 1名
栄養士 2名
施設設備の概要 (ア)居室数 小舎制ホーム3、小規模グループケア3、地域小規模児童養護施設2 (イ)設備等 部屋数47、児童センター、医務室、静養室、調理室
(ウ) 心理療法室、相談室、図書室 (エ)
【3】理念・基本方針 【【理念】 「私は世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」~マタイによる福音書第28章20節~
      「人は神様に愛されるために生まれてきた存在であるからこそ、一人ひとりが大切にされる
      べきである」
      という理念に基づいた支援を行う。

【基本方針】慈愛園子供ホームは、社会的養護を担う施設として、保護者の適切な養護を受けられない
      子どもの心身の健やかな成長とその自立を支援するとともに、養育に困難を抱える家庭への
      支援を行い、関係機関や地域と協働し、子どもの福祉の向上を目指します。
 1.すべての子どもが、神さまに愛される大切な存在である。(子どもの権利擁護・キリスト教養育)
 2.子ども中心の生活を創造する。(児童中心主義)
 3.家庭と同じ機能を果たすようにする。(ホームシステム)
 4.福祉専門機関として、地域の様々な働きに協力する。(施設の地域貢献)
 5.社会と時代の要請に応える仕事を開発する。(パイオニア精神)
【4】施設の特徴的な取組  施設の基本理念並びに基本方針に基づいた「児童中心主義」を承継しつつも、平成29年に公表された「新しい社会的養育ビジョン」に基づいて、従来の小規模化並びに地域分散化に加え、施設の高機能化と多機能化に積極的に取り組まれています。他方、近年の「働き方改革」による大きな影響を受けながらも、労務環境の適正化と施設の組織再編が並行して進められています。施設長から「今後の厳しい時代を施設が生き残るため」という言葉が何度も聞かれました。そのためには、施設の支援の質の向上のみならず、財務や労務についての変革も不可欠であることを施設長自身が十分に認識しています。課題が一つひとつ解決されて、この転換期を乗り越えることができることに期待が寄せられます。
【5】第三者評価の受審状況 2019年12月11日(契約日)~ 2020年03月13日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成28年度
【6】総評 【特に評価の高い点】
○施設長自らが入所児童の誕生カードを手作りし、ラミネート加工した上で子どもに直接プレゼントしています。また、毎週月曜日に施設長が子どもに挨拶する際、個々人の手の指の爪チェックをするといった細やかな配慮が見られます。
○校区社協との強固な連携のもと、地域福祉活動が積極的に展開され、独居高齢者昼食会やおせち宅配サービス、シルバー独身者ひなまつり会などの定例行事が行われています。また、養育家庭支援センターきらきらにおいて里親サロンが年4回開催されるほか、2件目の地域小規模児童養護施設が平成30年度に開設され、地域交流がさらに深められています。
○平成30年度に設立されたIT委員会主導のもと、入力システム(支援システム)の活用が図られることによって業務省力化が推進されるとともに、専門職による協働体制の構築並びに情報の共有化が可能となっています。
〇子どもの進路選択に当たって、子どもの能力や可能性を十分に把握したうえで希望が反映されています。やむを得ず、学校を中退したり不登校になった場合も通信制の学校へ進路変更に対応するなど子どもの最善の利益に配慮した教育保障に取り組まれています。
〇知的や発達に課題がある子どもが増えていることで、児童発達支援事業や放課後等デイサービス等の発達保障のための社会資源を積極的に活用され、フィードバックを受けることで療育に関するスキル向上が図られています。

【改善を求められる点】
○平成25年度から現在に至るまでの各年度を対象とした、施設の収支決算の変遷表を施設長自らが内部資料として作成・分析し、費用削減の必要性を十二分に理解しています。しかしながら、そこでの分析結果や経営合理化に努めるべき理由などが職員全体に周知されているとは言い難い状況にあります。他の場面においても、施設長の考え方が職員に理解されていない、あるいは、正確に伝わっていないケースが少なくないことを職員自己評価結果から窺うことができます。時間を要するかもしれませんが、施設長が根気強く説明責任を果たすことによって、職員一丸となって施設運営が進められることに期待が寄せられます。
○令和元年度事業計画の中に言及されているように、ケアニーズの高い子どもたちが増えるとともに、児童の暴力問題や性問題の発生リスクも認められるため、支援の個別化・専門化が課題となっています。このような状況も考慮して、社会福祉士や看護師、臨床心理士といった現存の専門職に加え、精神保健福祉士などの配置も検討されることが望まれます。
〇専門職としてのスキルが効果的に発揮され、より充実した支援が可能になっていますが、子どもへの処遇や記録作成等において職員の力量の差を指摘する声が聞かれるため、施設内での研修やスーパービジョン体制の充実が望まれます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  今回で3回目の受審となった。今年度は法改正に伴う社会的養護の制度と役割の変化、働き方改革と財政課題、また入所児童によって日々発生する様々な課題への対応に追われた。この度ご指摘いただいた施設長が求めるニーズと現場との乖離は当職も痛感しており、まずは職員への感謝と労い、また事業を進めるにあたっては、丁寧な説明が必要であったことを猛省している。子ども支援ではQOLを追求すればするほど、自ずと業務量が増える現実に対して、職員の研修、OJTによるスキルアップや工夫が求められる。一方職員の課題として働き方改革、人材確保と育成がある。今回の受審結果を謙虚に受け止め、事業計画を空文化させぬよう組織を改編し、子ども、職員共々に満足度の高い施設づくりを目指したいと考えている。
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