【1】第三者評価機関名 | (特非)北九州シーダブル協会 |
---|---|
評価調査者研修修了番号 | SK2021257 14-a00026 SK2021256 |
【2】種別 | 児童養護施設 | 定員 | 60名 | |
---|---|---|---|---|
施設長氏名 | 山本 妙子 | 所在地 | 福岡県 | |
URL | https://m-caritas.jp/tenshi/ | |||
開設年月日 | 1946年08月01日 | 経営法人・設置主体 | 社会福祉法人 カリタスの園 | |
職員数 | 常勤職員 | 32名 | 非常勤職員 | 19名 |
有資格職員 | 施設長 | 1名 | 保育士 | 13名 |
---|---|---|---|---|
社会福祉士 | 7名 | 社会福祉主事 | 8名 | |
調理師 | 2名 | 栄養士 | 5名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 34室 | (イ)設備等 | 宿直室・実習室・テレビ室・浴室・トイレ・洗面所各2室 |
---|---|---|---|---|
(ウ) | 職員室・面会室・事務室・応接室・聖堂・プレイルーム | (エ) | 温冷棚・食器洗浄機・洗濯機・各部冷蔵庫・スチームコンベクション | |
【3】理念・基本方針 | 理念 天使育児園は、神様の温かい眼差しに包まれ、一人ひとりかけがえのない存在として、愛し愛され大切にされる家族的共同体です。 子ども達は安心できる居心地の良い環境の中で、個性を伸ばし、学力・体力・道徳心を身に付け、どんな時も自分らしく、たくましく生きる勇気と力を養います。 こうして私たちは、地域社会を照らす光となるために、関わる全ての人と協力しながら、日々未来に向かって共に成長していきます。 基本方針 信頼のうちに良い人間関係を築き、職員間の連携と地域との連携を深めながら、愛と笑顔があふれる共同体、心のふるさとをつくります。 子ども達が愛されていると感じることが出来るように、一人ひとりを愛して本気で関わり、子どもの立場で物事を考え、許し、受け入れる広い心を持った成熟した職員となります。 子どもが、生命の尊さ、自分の良さに気付き、個性を伸ばすことができるよう、様々な場を提供し、温かい眼差しで見守り励まします。 子どもが自立した社会人になるため、自己決定、自己解決する力を養い、カトリックの精神に基づいて正しいことを選び取ることができるよう、宗教教育に力をいれます。 変動する社会の中にあって、職員としての自覚と責任を持って、常に自己研鑽と専門的技術の向上に励みます。 |
|||
【4】施設の特徴的な取組 | 1、カトリックの施設(キリスト的愛の教え) 2、スポーツ(文化)活動を通した健全育成 3、FSW(ファミリーソーシャルワーク)の推進 4、障害児のケア(各学校・療育センターなど関係機関との連携) 5、調理場の安全推進・衛生管理 6、LSW(ライフストーリーワーク)の取り組み 7、VM活動・児童会・性教育 |
|||
【5】第三者評価の受審状況 | 2023年08月31日(契約日)~ 2024年03月02日(評価結果確定日) | |||
前回の受審時期 | 令和2年度 | |||
【6】総評 | ◇特に評価の高い点 〇 カトリックの精神を伝える宗教教育を柱とし、子ども達一人ひとりが、かけがえのない存在として十分に愛されていると感じられるような「家」、安心できる居心地の良い家族的共同体を目指し、施設長、主任指導員を中心に直接処遇担当職員と専門職が連携しながら情熱を持って熱心に取り組んでいる。職員間の関係の良さが子ども達の安心に繋がり、落ち着いた環境の中で子ども同士、子ども達と職員が協力し、助け合える信頼関係を築いている。 〇 児童自治活動に力を入れて取り組み、全体の児童会だけでなく、小学生会、中学生会、高校生会等、細分化して意見を出しやすい環境を整えている。児童会は子ども達自身が運営し、児童会執行部や各委員会活動を通して子ども達の自主性が育まれている。 〇 子ども達、職員、卒園生、ボランティアが協力して4年ぶりに地域交流バザーを開催することができた。地域の要請で子ども会を組織し、清掃活動や球技大会、マラソン大会等の子ども会行事に参加し、地域の一員として、園や学校以外の子ども達と交流している。また、子育て支援事業として、ショートステイ、トワイライトステイ事業を行い、地域との繋がりを大切に地域貢献に努めている。 〇 ボランティア、実習生を積極的に受け入れている為人の出入りが多く、常に外部の眼がある開かれた施設である。施設見学会を月2回のペースで開催し、ホームページ、ブログ、インスタグラムを活用して発信力を高め、児童養護施設を理解してもらうための取り組みを継続的に行っている。 〇 「かおり友の会天使育児園支部会」を毎年1月の第2土曜日に開催し、卒園生、退園生、退職職員、その他関係者が大勢集い、皆が里帰りを楽しみにしている実家としての機能を果たしている。近況報告や様々な情報提供を受け、卒園生フェイスシートを作成して職員間で情報を共有し、必要時にはアフターケアに取り組んでいる。 〇 「天使育児園の食事は美味しい」と評判である。コロナ禍の制限があった状況下でも、「『食』で愛情を伝えたい」と、管理栄養士、調理担当職員がアイディアを出し合い、「より美味しく、より温かく」をモットーに、「食」の充実に取り組んでいる。特に行事食には力を入れて取り組み、季節毎の行事食、誕生日会では世界の料理を振る舞う等、子ども達に大変喜ばれている。 ◇改善を求められる点 〇 入所児童の38%が何らかの障害の特性を診断された子ども、疑いのある子どもであり、入所児童が多様化している。この状況に対応するために職員一人ひとりが研鑽を重ね、専門的なスキルアップに取り組み、各関係機関と連携を更に深めていくことを期待したい。 〇 人材の確保に向けて様々な努力をされているが、児童養護施設の職員として働くことの魅力の発信、実習生へのアプローチ、長く働き続けられる職場の体制作りへの取り組みを継続していくことを期待したい。 |
|||
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | 今回の第三者評価結果を受けて、反省を含め特に評価が高かった点を考察してみる。 1 安心できる居心地の良い家族的共同体を目指し、職員が連携して取り組んでいるについて 国の施策から地域小規模化をすすめ、現在の天使育児園は、4つの地域小規模児童養護施設を運営している。民家を借り受けながら、地域の皆様との関係も作りながらの生活は、これまでの児童養護施設にあった大きな建物の中での、いかにも施設と言った生活から、地域に育まれた生活空間になり、環境的にも恵まれるようになった。 しかし、職員間の連携においては、出勤する場所が多様となり、職員同士が顔を会わす機会も減り、ともすれば孤立化を招いている。若い職員の育成でも、不安を解消することに困難が生じているのが現実である。 本園では、職員会議や引継ぎでのミーティングを充実させ、行事などを利用して、職員同士・児童同士・児童と職員の関係性の向上に努めている。職員間の関係の良さは自信があり、また本園で生活している子ども達は、幼児期から長期にわたって養育を受けている子どもが多く、その関わりの時間の長さから、実際に家族のような関係で生活しているため、自然と子ども同士、子ども達と職員が協力し、助け合える信頼関係になっている。 2 児童自治活動について アドボカシーが提唱されている時代であるが、本園は30年以上前から、児童会を継続しており意見表明の確保や承認に努めてきた。子ども達も職員に言いにくいことは、児童相談所のケースワーカーに伝えたりしており、オープンである。 3 地域との関わりについて 少子化の実情から、地域から子ども達が多く暮らしている本園に、協力の要請が増えており、地域の行事や、子ども会イベントに参加している。 コロナ感染期間中は、地域交流のバザーは中止をしていたが、地域の皆さんの要望も頂き、令和5年度は再開したところ、多くの皆様に来場していただいた。たくさんの応援をいただき、地域の中で生かされていることを感謝と共に実感した。 4 施設からの発信について コロナ禍が終わりを告げて、実習生やボランティアの来園がコロナ前に戻ってきた。その周知などにインターネットを活用した、施設の取り組みを発信する時代となり、その取り組みの有用性を実感している。 5 かおり友の会天使育児園支部会について 卒園生を対象にした同窓会である。法人で児童養護施設を4つ運営していることで、東京の法人本部で、関東圏で暮らす卒園生を対象にした、かおり友の会の本会を開催している。 天使育児園支部会とついているのは、天使育児園卒園生のみを対象に、北九州で開催するからである。これもコロナ感染期間中は中止だったが、令和5年度に再開したところ、多くの卒園生や出身者が集ってくれて、賑わってくれていた。特別なことは提供していないが、なじみの仲間と声を掛け合い、また明日からの活力になっているようだ。 評価者より以前、「児童養護施設の仕事は、社会貢献している、社会のために仕事をしているという意識を持ち、それに従事している職員を評価していきたい。児童養護施設があるから、自殺者がいなかったり、社会の困窮者が減っている。もっと施設から、児童養護施設の重要性等、社会に向けてアピールしてください。」という励みの言葉もいただいたことがある。 本園はその立地の関係から、障害特性を持つ児童の入所が多いという特徴がある。その支援は養育だけでなく、医療や関係機関とも連携を要するため、労力を要する。ただ同時に処遇困難な児童の対応を学ぶ事で、職員にはスキルアップの機会にもなる。謙虚に日々勉強を続けていきたい。 児童養護施設は新しい局面を迎えている。地域分散化・小規模化・高機能化・多機能化が国の方針で位置づけられ、努力しないと置いてけぼりの状態である。 今後も研鑽を積み、児童が生活しやすいだけでなく、職員の働きやすい環境やバランスを模索していく。今後さらに施設の地域分散化や小規模化が進むことから、今以上に地域へ児童養護施設を理解していただく努力を継続していくこと、地域から必要とされる施設になるよう努力が求められる。相応の覚悟を持って歩まなければと思います。その指針としての評価ありがとうございました。 |