社会的養護施設第三者評価結果 検索

播磨同仁学院

【1】第三者評価機関名 (株)第三者評価
評価調査者研修修了番号 SK15176
SK18159
S16045


【2】種別 児童養護施設 定員 65名
施設長氏名 山本 千代 所在地 兵庫県
URL http://harima-doujin.sakura.ne.jp/
開設年月日 1955年08月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 播磨同仁学院
職員数 常勤職員 26名 非常勤職員 18名
有資格職員 栄養士 1名 調理師 2名
看護師 1名 家庭支援専門相談員 2名
社会福祉士 3名 精神科医師(嘱託) 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 52室 (イ)設備等 親子訓練室 ショートステイ室 心理療法室 医務室 静養室 
(ウ) 地域子育て支援スペース 病後児保育室 (エ)
【3】理念・基本方針 『 法人理念 』    すべての子どもたちに 限りない愛を!

恵まれた地域の中で次世代に生きる子どもの心と体を育むために
「児童の権利条約」を遵守し子どもたちが安心安全に生活できるよう そのサービスに努め
個性豊かな育ちができるよう 明るくたくましい子育てに励みます


『 基本方針 』

児童養護施設は子どもたちにとって生活の中心となる場所です。私たちは施設の健全な環境づくりに努力し児童の権利条約を遵守し、子どもたちが出来るだけ温かく心安まる雰囲気の中で、安心安全に生活できるようそのサービスに努め、子どもたちの生活の充実をはかるために人間関係、創造活動、日常生活技術等の学習が行えるよう、一人ひとりの計画を立て、個性豊かな育ちが期待できるよう力を注ぎます。
 私たちは地域の皆さまに支えられ、常にその愛を背中に感じながら育つ子どもたちが大好きです。だから子どもたちがいつでもこの施設を憩いの場所と感じとってくれるよう、心を込めて夫々の年齢に応じた子育てに専念しています。
 そのために施設職員は当法人管理規定を遵守し、特に懲戒権乱用禁止の精神を固く守り、虐待情報の交換発信に努めます。また守秘義務の精神の徹底は必須であり、個人情報の流出禁止の高揚に努めます。被虐待児の増加とその対策には、職員の資質向上が先決であり、その気力の充実を大切にし、幹部職員の働きに期待することが大なのです。近年の社会情勢は、人の命の尊厳が軽く見られがちですが、職員は日々の生活の中で徹底して子どもたちに命の尊厳を教えていかなければなりません。そのためには職員自身が日々の生活の中で他人を思いやる精神の徹底に努め、責任ある生活を送ることが大切なのです。
【4】施設の特徴的な取組 (1)養育・支援では特に食生活について力を入れています。食についての知識と経験を子どもたちが積めるよう自由献立の実施とアレルギー対応として誤飲・誤配の防止に努めています。季節に応じた食材選び、一緒にメニューを考える、食材の購入から調理、喫食までを行います。しかし高齢児たちの社会自立を視野に入れると、まだまだ経験値の不足を認識しており、中高生たちによるお弁当作りに挑戦しています。女子は、メニューを考え、下ごしらえから調理までを、男子は調理されたものをお弁当箱に詰める作業を自分たちで実施しています。また喫食後の感想やアイデアを聞き、取り組みの改善を行うようにしています。幼児たちも「米を研ぐ、家庭用のサイズの炊飯器で炊く」といった身近な体験を通して、子どもたちが感情豊かな育ちができるように心がけています。

(2)感染症の防止、発生時の対応に向けての取り組みとして、感染症の発生時のマニュアルを作成しています。また毎年嘔吐物の処理に関してデモンストレーションでの研修を行い、見直しを行う等改善を行っています。用具は各ユニットに設置し、複数の箇所でも使用できるよう準備しています。また有事に備え、非常食の準備のみならず、「炊き出し」の実施、その際には電気がない中で過ごす、紙皿、紙コップを使用しての喫食をするなど、有事発生を想定した環境下での経験を子どもたちができるようにしました。
 令和2年2月から新型コロナウィルス拡大が世界中で懸念されており、当院でも正しい情報を収集し対応できるよう努めております。手洗い・うがいの周知徹底はもとより、子どもたちが触れるドアノブ等の共用箇所の消毒の実施、喫食時の密をさけた配席、食事時間を分けるなどの対策をとっております。感染予防・拡大防止のためにマスク、消毒液、手袋、フェイスシールド、エプロン等の衛生用品、非接触型体温計、ディスペンサー、パーテーションなどの備品を準備しています。

(3)高齢児の自立支援に向けて、地域の企業の方々の協力で高校生たちが就業体験をさせていただきました。多職種に渡る企業の中から子どもたちが職種を選択し、職場体験をさえていただきました。報告会では施設の卒業生からの体験談を聞くなど、社会自立を控えた子どもたちの就労意欲向上できるよう取り組んでいます。大学進学の希望者には奨学金の説明と申請、就職時の身元保証事業の申請も行っています。また大学進学した卒業生を長期休暇中の宿泊受け入れなどのアフターケアにも取り組んでいます。子どもたちの学力向上に向けて低年齢児(年長)から公文学習に取り組んでいます。学習課題は子ども一人ひとりに合った内容で取り組むことで、学力だけでなく忍耐力と自信を身に付け、子どもたちが自己肯定感を持てるよう心掛けています。

(4)地域交流活動として地域の高齢者向けの給食サービス、地域の子どもたちに向けて工作教室やクッキー作り、外部講師を招いての講演会の開催等、施設の機能を活かした取り組みの中で少しずつですが地域の二―ズ把握に努めております。

(5)精神科医による心のケアを実施しています。愛着障害、発達障害、精神症(害)などの課題を抱えた子どもたちが入所しており、その症状は重篤なものも増えており、そのため施設職員は専門性を問われており、精神科医師からアドバイスをもらいながら、子どもの抱える課題とどう向き合っていくかが今後も大きな課題であると認識しております。またカンファレンスには施設職員だけでなく、学校関係、児童相談所からも参加してもらうことで関係機関との共同に努めております。
【5】第三者評価の受審状況 2019年08月22日(契約日)~ 2020年09月16日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評  当初2020年3月初旬に訪問調査を計画していましたが、新型コロナウイルス COVID-19 県内での広がりを警戒し、沈静化する時期を見計らい自主的に6カ月延期し、9/7(月)に訪問調査を実施しました。当日は、台風10号「ハイシェン(Haishen/海神)」が猛発達し、北九州地方に接近、悪天候が予想され、JR西日本の新幹線や電車も一部計画運休する状況で、子ども達の通う学校も臨時休校となる状況ではありましたが、何とか困難を乗り切り、調査を実施出来ました。新型コロナウイルス COVID-19対策として、施設の全面的なご尽力の基、①訪問時の検温、体調確認 ②マスク着用 ③会場に広いホールを使用 ④シールドを設置し、近距離、対面不可 ⑤人数制限、座席指定 ⑥換気対策等、安全・安心な環境を構築して頂き、全員参加で真摯にご対応頂きました。

特に良かった5点
1)どんな組織にとっても、先が見えない時代の事業承継は容易ではありません。現-3代目の理事長兼施設長が、民間の一部上場企業でも勤務経験のある副施設長を厳しく育て鍛え上げ、支える管理職・職員等の周りの人的環境も整わせ、バトンがいつ渡っても良い様に準備が出来ている点。
2)「自立支援計画策定」をマニュアル『自立支援計画策定の手引き』により組織的に取り組まれており、開始、見直し、まとめまでが理解できるものであり支援に生かされると思われます。また、精神科医からの意見も記載してあり多様な側面からの計画となっている。
3)リービングケアの取り組みとして、高校生女子がお弁当を献立が調理まで行っていることが大変であるが、退所後にとても生かされる取り組みであり、また継続して実施できていることは職員のフォロー体制か機能していることが素晴らしい。
4)作成されている『巣立ちのために』(卒園生に向けた自立のためのガイドブック)が大変良く出来ています。内容がかなり多岐にわたり、入所児童のリービングケアにも活かしている。最も評価できる点は、卒園生からの困りごとを集め、そのアンサー集という生きた資料であること。入所児童にとって自立することはある種におけるファンタジー感があるが、一緒に生活していた卒園生が困りごととして話した内容であるため、現実感をもって取り組むことができる。
5)看護師が指導する健康管理が優れている。常勤の看護師がいる時点で十分すぎるメリットがあるが、服用管理が徹底されている。定期服用が必要な児童のリストの作成、服用した後の押印健康だよりを作成し季節に合わせた感染症などの対策の情報発信、嘔吐処理などの園内研修を実施している。現在のコロナ禍においても重要な役割を担っている。

★ b評価となった評価基準6点(進化の芽がここに眠っていると考えて下さい)
(1)15番 Ⅱ-2-(1)-② 人事考課
(2)33番 Ⅲ-1-(3)-① 子どもの満足の向上を追求する仕組み
(3)34番 Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決のフィードバック
(4)37番 Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な仕掛け
(5)39番 Ⅲ-1-(5)-③ BCP(Business continuity planning:事業継続計画)
(6)44番 Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する情報の共有・活用

21世紀は、益々、新たな感染症や異常気象(極端気象)による自然災害が脅威になると思われますが、今後も「正しく怖れ」困難を乗り越えましょう。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  過日は大変お世話になり、ありがとうございました。第三者評価を受審し、日常の仕事のあり方をもっと厳しくする必要性を痛感しております。働く職員の力の差が大きすぎ、経営側としてその対応に苦慮しております。働く大人の生き生きとした姿に満足し、この場で生活する児童らの喜びの顔が継続することを期待し、将来の希望に繋げたいです。
第三者評価結果はこちら