社会的養護施設第三者評価結果 検索

聖ヨハネ学園

【1】第三者評価機関名 (特非)NPOかんなびの丘
評価調査者研修修了番号 S2020129
S18059



【2】種別 児童養護施設 定員 80名
施設長氏名 宮脇 弘次 所在地 大阪府
URL https://yohane-g.jp
開設年月日 1952年05月30日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 聖ヨハネ学園
職員数 常勤職員 29名 非常勤職員 21名
有資格職員 社会福祉士 6名 保育士 23名
社会福祉主事 14名 公認心理師 3名
栄養士 1名 調理師 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 44室 (イ)設備等 本館(食堂,事務室,会議室,理事長室・法人本部)及び児童棟3棟
(ウ) 幼児棟(幼児・小学低学年男女),グループケア棟(小学生男女) (エ) 学童棟(中高男女),地域小規模児童養護施設1か所
【3】理念・基本方針 ◆理念
「いのちかがやくために」
・ご利用者が かがやくために ・地域と共に かがやくために ・職員が かがやくために ・職場が かがやくために
◆基本方針
 子どもたちが「健康で豊かな心」を持ち、「自主性と協力・協調性」を養い、将来よき社会人として生活していくことができるように、日々の生活をともに過ごして援助を行う。
【4】施設の特徴的な取組 ①母体である教会との交流
 イースター、夏季キャンプ、クリスマス、お正月、日曜礼拝などを通じて、学園外の方と触れ合う機会を設けて、人とのつながりや温かさを感じることのできる機会を持っています。
②奨学金制度
 本学園独自の奨学金制度を展開しています。
③学習支援
 学習ボランティアをはじめとして塾講師による訪問学習など少人数での学習機会を設けています。また、個別の子どもの習熟度に応じた個別カリキュラムを展開しています。その結果高校生の進学状況にも好影響を与えており、高等教育への進学を希望する子どもが増加傾向にあります。
【5】第三者評価の受審状況 2021年10月22日(契約日)~ 2022年03月22日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 ◇法人・施設の概要
 現在の社会福祉法人「聖ヨハネ学園」は、明治22年に大阪市東区にて貧院(後の救児院)として創設されました。明治38年に大阪市天王寺区へ新築移転し、明治39年名称を「大阪聖ヨハネ学園」に改称しました。昭和17年に財団法人「高志学園」と改称し、昭和27年に財団法人を解散して社会福祉法人となり、平成元年には創立100周年記念式を挙行し現在に至っています。
 施設は府道枚方亀岡線沿いの小高い丘の上にあり、近隣には同一法人の高齢者総合施設及び障がい者支援施設等があります。近くには摂津峡・さくら公園があり、花見シーズンには賑わいます。
 2004年から小規模グループケアを開始、2010年から大規模改修工事に着手し、2011年には二つ目のグループケアもスタートしています。また、2020年からは徒歩で数分程度の場所に、地域小規模児童養護施設を展開していて、2施設目についても検討中です。
 
◇特に評価の高い点
■児童の進学促進に向けた奨学金制度
 本施設は、キリスト教(聖公会)精神に基づいて設立された施設で立教大学とも縁が深く、同大学の学生がボランティアを始めたのち、施設への貢献として行なった寄附金を原資にして、施設を退所し大学等に進学して自立を目指す学生に奨学金を貸与(現在は支給)することが始まった。見返りを期待しない会員の意思に基づいて運営されているが、その効果は大きく、児童の社会的自立に貢献しています。
■職員のチームワーク
 新任職員やベテラン職員から『職員同士が助け合い協力し合って互いに気持ちよく働けている』という話が聞けました。顔を合わせる職員の表情はみな明るく、その明るさは子どもたちにも光を届けると感じさせられました。
■「子どもいけんばこ」の用紙の工夫
 子どもの意見を引き出すことは重要ですが、いざ用紙に向かうと書き出しにくいものです。その用紙に子どもたちに問いかけるような表記があり、公表を望むのかどうか、名前も「かかなくていいよ」と安心感を与えています。これにイラストでも入っていれば、なお親しみを感じ書きやすくなると思えました。
■調理職員によるお誕生ケーキの取り組み
 お誕生日は特別な日です。市販のお誕生ケーキも悪くはありませんが、特別な日に子どもの好きなものを表現した、特別工夫されたケーキは(写真で見せていただきました)、カラフルで立体的・ポップで、栄養士さん調理員さんたちの温かい気持ちが伝わってくる、まさに世界に一つだけのケーキでした。
◇改善を求められる点
■マニュアルの整備とさまざまな文書化
 子どもとの丁寧な関わりや支援が日々なされているように伺えますが、そういった関わりや支援についての手順、検討、見直し、継続といったことが文書によってあまり整理されていません。日々の支援の意義を明確にし、それを業務に位置づけること心がけを文書化しておくことが求められます。この点は、前回の第三者評価受審において求められた「標準的な実施方法」等の文書化と同様と言え、また、同じく指摘のあった「中長期計画」についても、いまだ不十分と言わざるを得ません。
 過去を見直し、新たなプラン・手順を定めて具体に取り組み、また振り返るという、いわゆるPDCAサイクルで取り組むことが重要ですが、その時に必ず文書化し、いつ見直したのかを記載しておくことが求められます。この繰り返しが聖ヨハネ学園の養育支援の向上をもたらすものと期待しています。
■組織的な取り組み
 第三者評価の結果に基づき、どこをどのように改善していくかを考えるにあたり、施設として重点項目は何か、誰が中心になって取り組むかなどが浮かび上がってきませんでした。重点項目に対するプロジェクトチームなど担当委員会的なものを立ち上げ、組織的に取り組むことが求められます。
 施設運営や子どもの支援において施設長からのトップダウンだけではなく、職員が主体的に取り組む委員会活動などを通じて職員からのボトムアップを図ることが期待されます。

【地域小規模児童養護施設】
 一戸建ての中古物件を取得したものですが、幹線道路から少し入った静かな住宅地にあります。4LDKで、居室は2人部屋ですがゆとりが感じられます。傾斜地に建てられているため一見平屋建てに見えますが、本来の1階(地下)部分が、駐車・駐輪スペースで、物置スペースも確保されています。
 食事については、本体施設で調理されたものを提供して、ホームの運営を支援しています。ただ、そのことは、地域小規模施設としての意義を弱め、自主・自立性を阻害することにもつながりかねず、若干懸念を覚えるところです。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  前回の受審時に指摘やアドバイスを受けていた箇所の改善ができておらず、第三者評価への取り組みの甘さが露呈しました。様々な項目で取り組みは行っていますが、フローチャートがなかったり、記録が不充分だったり、詰めが甘かったと思います。職員の経験年数やスキルに関係なく、対応できるようなシステムの構築が今後の大きな課題と捉え、次回の受審までに計画的に取り組んでいきたいと思います。
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