社会的養護施設第三者評価結果 検索

ガーデンロイ

【1】第三者評価機関名 (社福)大阪府社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 SK16018
SK15113



【2】種別 児童養護施設 定員 30名
施設長氏名 高田 裕之 所在地 大阪府
URL www.el-roi.jp/roi
開設年月日 2010年04月01日 経営法人・設置主体 イエス団
職員数 常勤職員 29名 非常勤職員 3名
専門職員 保育士 17名 社会福祉主事 6名
社会福祉士 1名 中学校教諭免許 3名
臨床心理士 2名 調理師 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 18室 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 【理念】
「社会、地域、家庭とつながり、生き生きと主体的に生きる人を育てる」

【基本方針】
1.法人創始者、賀川豊彦の貧しい人々を助けたキリスト教精神を引き継ぐ。
2.社会、組織、人とのつながりを大切にする。
3.様々な生活体験を通して生活スキルを身につける。
4.大人と子ども、大人同士、子ども同士、すべての信頼関係を大切にする。
5.暴言暴力を使わず、優しい言葉や行いを心がける。
6.互いの違いを認め合い、尊重し合う。
【4】施設の特徴的な取組 ①全ホーム小規模グループケア体制
ホーム配置職員の他にホーム配置のない支援員を設け、支援員がそれぞれのホームに入っている。またホーム配置職員は勤務の20%を他ホームでの勤務としホームセクト主義にならないようにするとともに養育支援の基本的な内容のズレがないように努めている。

②SV体制とコンサルテーション
職員一人に付き先輩や上司のSVを付けており、児童の養育や業務についての指導を行うとともに疑問や相談も行っている。一ヶ月に一度、全職員へのSVを行うことで養育支援の水準を確保するとともに職員の抱え込みを軽減し、職員の健全な就業環境を整えている。また処遇困難児等の処遇については大学講師を講師に招きコンサルテーションを行っている。

③デジタルとアナログの情報共有
ナビシステムの活用の他にサーバーで様々な情報を管理し、全職員がどこの場所からでも情報共有ができるようになっている。申送りについては差配表を取り入れ、翌日の申送りまでの全体の動きを出席者で確認をしている。また申送りの中で出席者から処遇困難な事例を挙げてもらいケース会議を行ったり、生活支援の在り方について話し合ったりする時間を設けている。
【5】第三者評価の受審状況 2016年05月27日(契約日)~ 2017年03月07日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成25年度
【6】総評 ◇施設の概要
 ガーデンロイは、全国に40以上の保育園や障がい者支援施設等を運営する「社会福祉法人イエス団」が平成22年4月1日に開設した法人初の児童養護施設で、近鉄奈良線から約1.7キロ、生駒山麓の自然あふれる環境に位置します。
 入所定員は30名で、小規模グループケアを積極的に取り入れ、個々の子どもへ職員が深く関わることができるような体制を整備し、併設の乳児院「ガーデンエル」と共に、児童福祉の向上に取り組んでいます。

◇特に評価が高い点
愛着形成とパーマネンシーの保障に向けた取り組み
 それぞれの子どもについて、担当職員のほかに「後ろ盾人」(以前にその児童を担当していた職員等)を立てることで、担当職員一人ひとりの抱え込みを防止するだけでなく、職員の担当替えや異動、退職にも耐えうるよう、子どもの育ちのパーマネンシーの保障に向けて取り組んでいます。

子どもと共に「暮らし」を作る創造的な取り組み
 施設名の表札に施設種別を掲げない、園庭遊具の設置を極力控えるなど、施設特有の雰囲気を最小限に抑え、家庭的養護の意味を日々模索しながら、子どもと共に生活感あふれる雰囲気づくりに取り組んでいます。その一例として、隣接する乳児院と共に展開する「ファミリーホームハンナ」は、今後の社会的養護、家庭的養護を展望するにあたって一つの大きな指標となっています。

法人本部と一体となった運営管理と、施設長のリーダーシップ
 当施設は全国規模で多数の事業所を運営する大規模法人に属していますが、法人が採択した「ミッションステートメント2009」をはじめ、法人本部での決定事項や理念を施設長が施設へ持ち帰り、その実現に向けて、職員への伝達・共有を丁寧に行っています。施設経営についても、試験的に企業ベースの経営分析手法を取り入れるなど、施設長のリーダーシップの高さが伺えます。また、職務分掌は全職種について丁寧にその職務内容が記載されており、職員集団として、それぞれの役割分担の明確化にもつながっています。

子ども個々との関わりと意向等を尊重した養育・支援の実施
 すべての子どもを対象に毎月1回、職員とその担当児との個別時間を確保し、コミュニケーションの場を設定しています。また、一緒に買い物やお出かけの機会を持つなど職員と担当児との関わりを強化し、信頼関係を構築するための取り組みがなされています。その折に聴取した子どもの思いや意見等は記録され、ホーム運営や養育・支援に役立てています。同時に、「遊びと学びの調査」や「生活に関するアンケート」を実施し、子どもの意向等を尊重した養育・支援の取り組みは大いに評価できます。

スーパービジョン体制の確立
 組織としてスーパービジョン体制が整備され、より良い援助関係構築のための取り組みがなされています。具体的には主任や副主任等がスーパーバイザーとして位置づけられ、新任職員を含むホーム支援職員に業務上の知識や技術を伝えたり、対人関係上のストレス等への助言や援助を行っています。また、心理療法担当職員も「なんでも相談」として職員の相談に対応しています。これらのスーパービジョン体制は有効に機能しており、職員の抱える課題等に対応し、施設全体の支援の質の向上に役立たせています。

◇改善が求められる点
事業計画の子ども・保護者への周知
 事業計画は概して抽象的な内容になりがちであり、子どもや保護者に伝わりにくいものですが、法人・施設が目指す姿勢やその具体的な取り組みについて、分かりやすい表現や図表・イラスト等を取り入れることにより、親しみやすいものとなります。施設が保護者や地域、関係機関と共に子育てしていくという「共同子育て観」を表明するためにも、広報誌の発行も視野に入れながら取り組むことが期待されます。

地域との連携・交流
 当施設の立地条件や交通の便は必ずしも良くなく、様々な制約がありますが、法人の創設者、賀川豊彦が地域社会に根差したセツルメント活動を展開したことにも照らし合わせて、今後はアウトリーチも含めた地域連携・地域交流のかたちを模索することが求められます。

マニュアル類の整理
 規程・マニュアル類は、必要に応じて年々追加作成され、あるいは見直しがなされ、より充実したものになってきていますが、なかには新・旧が入り混じっていたり、規程、マニュアルの保存場所が統一されていなかったりして使いにくいものになっています。例えば、規程類は規程用のファイルに、マニュアル類は業務標準マニュアル「ガーデンロイの職員として子どもに関わるあなたへ」を中心としたマニュアル用のファイルに綴じるなどの整理をしながら、活用のしやすいものとして整備しておくことが望まれます。

強引な引取り等に備えての対応整備 
 施設開設以来、保護者等による強引な引取り事案はないとのことで、これに関する対応の方法等の取り決めが定められていませんが、保護者の虐待等を理由とした入所が増大している状況から、保護者等による強引な引取りを想定した対応や他の子どもの安全確保等について話し合い、それらをマニュアル化して対応に備えておくことが望まれます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  改善が必要なところが明確になり、施設としてサービスの質の向上を具体的に取り組むべきポイントを示して下さいました。当施設はH29年4月で8年目を迎える新しい施設であり、未だ歴史は浅く高学齢児は居ませんが、第三者評価結果は職員会議などで共有すると共に、子どもの最善の利益、地域との関係のあり方について改善していきたいと思います。
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