社会的養護施設第三者評価結果 検索

武田塾

【1】第三者評価機関名 (特非)ふくてっく
評価調査者研修修了番号 SK18235
SK18234
0501B093
1102C009
1801C022
【2】種別 児童養護施設 定員 55名
施設長氏名 石井 芳明 所在地 大阪府
URL https://takedajuku.or.jp/
開設年月日 1952年05月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人武田塾
職員数 常勤職員 31名 非常勤職員 24名
有資格職員 保育士 8名 社会福祉主事任用 18名
社会福祉士 3名 栄養士 1名
調理師 3名 心理士 5名
施設設備の概要 (ア)居室数 本園1階幼児ユニット(8名)、2階男子ユニット(6名)と男子フロア(15名)、3階女子ユニット(8名)、地域小規模3ホーム(計18名) (イ)設備等 食堂、厨房、デイルーム、事務室、会議室、地域交流ホール
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 【施設の理念】「児童と共に在る」と「少人数の家庭的な子育て」を基本とする。
  一人ひとりが人として、支え合い、慈しみあえる施設づくりを行う。
【施設の基本方針】
①家庭的養育と個別化、子ども一人ひとりに即したルールづくり ②発達の保障と自立支援 失敗してもやり直せる風土づくり ③回復を目指した支援 心理・医療支援の充実と社会資源の活用 ④家庭との連携・協働 かかわる全ての地域資源との連携に努める ⑤自立支援 インターンシップ 先の見通せる支援への取組 ⑥食支援の充実 自分の生活に積極的にかかわる仕組みづくり
【4】施設の特徴的な取組 ①小規模化及び地域移行を目指した取り組みを積極的に展開している。
行政単位の異なる奈良県三郷町において、地域小規模児童養護施設を2か所、分園型ユニットケア1か所を定員18名で実施している。地域に子どもの養育に積極的にかかわっていただき、お互い様の精神で、「共に在る」の生活を確立していく。
②食支援の充実を特別プロジェクトとして取り組んでいる。
本体施設の生活単位をより小規模化し、ユニットを3ヶ所定員22名としている。2ユニットにおいて、完全自主調理体制を整備し、自分の生活により積極的に関与できるシステムの構築を目指している。幼児ユニット及び男子フロアにおいても、給食調理システムからの分離を目指して、朝食・弁当の自主調理に取り組んでいる。
③先の見通すことのできる支援を目指して、大阪府中小企業家同友会の支援を得て、インターンシップに取り組み、信頼できる大人とつながりから社会性を育む取組みが行われている。
④法人内の別棟で、ワンルームマンション様式の部屋を使い、ひとり暮らし体験を実施している。自分の生活を大切にする意識を持ち、実際のひとり暮らしを体験できるようにしている。
⑤施設外のクラブ活動への参加。意欲をもって生活ができるよう、取り組みを行っている。
【5】第三者評価の受審状況 2020年05月22日(契約日)~ 2020年10月16日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 【はじめに】武田塾において、子どもたちは生活環境や職員の対応について非常に良好な評価をしています。本評価では、武田塾がさらなる質の向上を目指されている姿勢に鑑み、「a評価」が各項目の目指すべきレベルに到達している状況という原則に従って厳格に評価することによって、施設長以下職員各位の努力に応えるものです。
【特に評価が高い点】
◆創設者、武田慎治郎氏の思想「共に在る」が受け継がれ、「少人数の家庭的な子育て」が養育・支援の根幹となっています。
◆職員は、「共に在る」の精神で子どもの気持ちを尊重し、子どもの表出する感情や言動を受け止め向き合っています。生活ルール等、可能な限り子どもに判断させ、子ども自身が共生の意識を育む支援をしています。
◆施設長は、その役割と責任を職員に対して表明するとともに、頻繁に各現場に出向いて子どもに寄り添って柔らかい雰囲気づくりや日々の様子について職員の意見を聞き、助言に努めています。
◆常勤看護師が配置され、医療機関との連携、感染症の予防や発生時の安全を図るとともに、「こんなときどうする」というファイルを作成して、各種の健康管理等にかかる注意や手順を示しています。子どもの口腔ケア、服薬管理、清潔保持のために職員の行動が重要だとして支援職員を指導しています。
◆各ユニットにおける完全自主調理を実施し、子どもが自分の生活により関与できる場面を作るとともに、適時適温でおいしくいただけるようになっています。
◆大阪中小企業家同友会の支援を得てインターンシップを実施する中で、社長との1対1の対話など、仕事について直に学ぶことができる貴重な体験機会を設けています。
◆「未来塾」は、職員が一体となって未来を話し合う場や、若い職員の啓発の場としての意義が期待されます。
【改善を求める点】
◆子どもや保護者等への周知の取組として福祉サービス第三者評価では、「理念・基本方針」「事業計画」「プライバシー保護の取組」「サービス選択情報」「サービス開始・変更に際しての同意・自己決定」「苦情解決の仕組み」「相談方法」「個人情報保護の取り扱い」など、多岐に亘る観点で課題としています。それぞれ、施設として真摯に取り組むことを期待します。
◆法人理事会と直接処遇職員との接点が少なく、法人が目指す高い目標に向けた運営方針に対する職員の理解が行き届いていません。諸課題について具体的に説明するとともに、職員からの意見をくみ上げて、意識の共有化を図る取組みが大切です。
◆第三者評価や自己評価結果から課題を文書化し、職員間の共有を図って改善への見直しへ繋ぐ仕組みの構築を期待します。
◆健康管理規定「こんなときどうする」の形式を、養育・支援全般に及ぶ「標準的実施方法」に拡大することを期待します。
◆近年の傾向として学習意欲が乏しく、また身体虚弱や極端な運動嫌いの児童が増加する中、不登校児が若干名在籍しています。武田塾では、児童が主体的に学習塾を選択して通う支援に取り組むなどの努力が見られますが、子どもが他児との繋がりを持つ機会を保障するための通学支援の取組を強化することを期待します。
◆共用部の整理整頓にかかる生活習慣について、コロナ禍に伴う来訪者制限もあって業者委託も難しく、破損や汚れ等の補修が追い付いていません。生活環境の改善と子どもの生活力向上のために、整理整頓の習慣づけが大切です。
◆PCナビシステムの有効活用により、アセスメント手法や、様々な困難ケースへの対応の手順を、組織としてさらに標準化したうえで個別の自立支援年計画を策定することが肝要です。そのためには、記録の残し方についての職員研修が欠かせません。委員会活動の成果を期待します。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 2020年度第三者評価受審にたいしましては、たくさんの気づきをいただきました。
施設にとっては、今年はコロナ禍により初めて経験することばかりであり、対応に苦慮し、子どもたちも職員も疲弊してしまった年でした。
その状況のなかで、対応していただき、ありがとうございました。
自分たちが「伝えた」ということに意識が働きすぎ、「どう伝わったか」の検証が行き届いていなかったことに、改めて気づきました。それでも、同時に実施していただいた児童アンケートで大半の入所児童が、毎日の生活や職員の対応にある程度満足していることを励みとして、施設の充実を図っていく所存です。
新たな視点を持ち、職員一同しっかりと子どもたちと向き合っていこうと思います。
項目によっては、厳しい評価もいただきましたが、今後を見据えると、施設としての課題が明確になったこともあり、さらには、この評価をもって終了ではなく、今後の取組にもご支援いただけるという安心感を施設全体として感じ取ることができました。
法人設立100周年に向けて、全体で取組んでいこうと思います。
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