社会的養護施設第三者評価結果 検索

平安徳義会養護園

【1】第三者評価機関名 (社福)大阪府社会福祉協議会
【2】種別 児童養護施設 定員 91名
施設長氏名 木塚 勝豊 所在地 京都府
URL http://www1.ocn.ne.jp/~tokuchan/toku.page.top.index.html
【3】実施調査日 2014年04月21日~2014年11月04日
【4】総評 ◇特に評価が高い点
1.施設運営全般
1888年、京都市内で民間の篤志家により孤児、貧困児童の救済を目途に孤児院として開設されました。以降、「来る者は拒まない」という精神で施設運営を行い、1919年に保育園、1933年に乳児院を併設しました。戦後、児童福祉法上の認可施設となり、1966年に乳児院と共に現在地に移転しました。1996年の建て替えを機に、居室を全て小舎制(三階建て、中央の螺旋階段を中心に各階三方向に独立したユニットを配置するという構造)とし、2001年に地域小規模児童養護施設「ミニトクホーム」を開設、以降2つのユニットが小規模グループケアの認可を受けています。時代が求める施設の小規模化を先取りした施設運営を行っています。
また、評価の意義が組織の中で理解されており、柔軟な発想をもって自己評価や第三者評価の取り組みを施設の改善に活かしている点は評価に値します。
2.基本方針の内容
毎年度見直される基本方針(重点目標)は、子どもの権利擁護から施設小規模化、家庭的養護の推進まで、今、社会的養護施設に求められている項目を網羅したものになっています。
3.ユニットの構成
子ども達の生活単位であるユニット(ファミリー)は、縦割りの構成となっています。幼児から高校生までが一つのファミリーで起居を共にするという、より家庭に近い子ども集団の構成となっています。
4.食事面での取組
各ファミリーでは、誕生食(誕生日を迎える子どもの好みのメニューを喫食)と月一度のファミリー別自由献立を実施しています。一定額の範囲で、担当職員と子ども達が、メニューの決定、食材の買い出し、調理の全てを自分たちで行うという取り組みです。
5.系列の乳児院との連携
同一敷地内に併設された乳児院とは緊密な連携を採っていますが、特に措置変更に当たっては、両施設の職員で構成された支援向上委員会において養育支援の連続性についての検討を行い、円滑な措置変更を実現しています。
6.学童保育と幼児の設定保育の実施
小学生(5年生まで)には放課後に専任の学習指導員を配置した「Qちゃんルーム」で学習指導や集団遊びが行われています。幼児は3歳児から幼稚園に通園することに加えて土曜日には施設内で年齢別に設定保育が行われており、きめ細かい発達の支援が実施されています。グランドは広く外遊びの環境も充実しており、学びや遊びの場は充実していると評価できます。
7.支援マニュアル「あっ、そうだくん、こうだくん」の取り組み
職員向けの支援マニュアルで、1日の流れにそって、食事、掃除、入浴、洗濯、就寝など、それぞれの具体的な方法やきめ細かい留意点が「子どもにとって何が大切か」の視点から記載されています。例えば、お弁当におかずを入れる箸のこと、おねしょの布団の処理方法など、家庭でもできていない内容も多く、職員の熱意が感じられる内容で、「あっ、そうだくん、こうだくん」との冊子の名称も特色ある取り組みと思われます。さらに重要な項目が追記され充実していくことを期待します。

◇改善が求められる点
1.運営理念への視点の追加
毎年度見直される基本方針(重点目標)の内容は充実していますので、今後は法人・施設の運営理念そのものを示す文書にも子どもの権利擁護および家庭的養護の推進の視点を盛り込むことが求められます。
2.事業計画等の周知
運営理念、基本方針、中長期計画、事業計画等について、職員のみならず保護者や子ども達への周知の取組が求められます。
3.リスクマネジメントの観点での取組
ヒヤリハット事例の分析によるリスクマネジメントの徹底が強く求められます。
4.施設の有する子育て支援のノウハウの地域への還元
系列の乳児院とも連携して、施設の持つ子育て支援のノウハウを地域に還元する事業、例えば子育て支援事業などを実施するなど、施設機能を地域に開放し、地域支援を推進することが望まれます。
5.職員一人一人の教育・研修計画の策定
全体の研修計画では園外研修、園内研修等多彩な研修が計画されています。今後は検討されているキャリアパス制度の導入と併せて、策定されている職員個々人の研修受講歴等を基にして、職員一人一人についての育成プランの策定とそれを実現するための研修計画の策定が望まれます。
6.被措置児童等虐待防止の取り組み強化
被措置児童等虐待防止については「京都市版マニュアル」による職員への周知と研修が行われ、子どもにも毎月個別面接を行って早期の発見を図っています。
今後は、被措置児童等虐待の具体例や問題発生時の施設での対応の流れ、改善に向けた仕組みなどを記載した施設版マニュアルの作成や子どもへの周知徹底が望まれます。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 今回受審した事で、社会が児童養護施設に求めている今日的な有り様について、再認識し整理出来ました。
 また受審を行うそれぞれの過程において、職員自身がそれぞれのサービスにおける「気づき」を大切にしその後、職員間で施設の現状の課題を確認できた事は得るものが大きかったと感じました。
 評価をいただいた所に関すると、更なるサービスの向上が図れるように心掛けたい。また改善が必要な所に関すると、すぐに取り組める所(自立支援計画の雛型、書き方の改善。記録力の向上をはかる取り組み。意見箱の常設。高校生会の活性化)は早速、会議の議題にあげて取り組んでいます。
 毎年の自己評価を丁寧に行いながら、サービスの向上を進めていきたいと考えます。
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