社会的養護施設第三者評価結果 検索

名古屋若松寮

【1】第三者評価機関名 (特非)メイアイヘルプユー
評価調査者研修修了番号 SK2019008
S2019013
東京都H0902001


【2】種別 児童養護施設 定員 38名
施設長氏名 平井 誠敏 所在地 愛知県
URL https://www.syoutokukai.or.jp/wakamatsu/
開設年月日 1939年07月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 昭徳会
職員数 常勤職員 29名 非常勤職員 3名
有資格職員 社会福祉士 2名 栄養士 1名
臨床心理士 1名   調理師 2名
        
施設設備の概要 (ア)居室数 28室、地域小規模児童養護施設:1カ所(6名定員) (イ)設備等 管理棟(事務所、厨房、多目的室、セラピールーム、静養室など)
(ウ) 児童棟(各2ホーム:計4ホーム)、自立支援棟2棟 (エ)
【3】理念・基本方針 <理 念>
 幸福(しあわせ)

<基本方針>
 1.ひとりひとりに、思いやりのある心をもって接します
 2.ひとりひとりを尊重し,その人に合った支援、援助をします
 3.ひとりひとりを大切に、まごころで接します
 4.私たちは、すべての人の幸福を目指し、たゆみなく援助技術の向上に努めます
 5.わたしたちは、お互いに助け合い、よりよい生活ができるよう努めます
【4】施設の特徴的な取組 ・8名定員の4ホーム制であるため、子ども一人ひとりに合った柔軟な支援ができる
・行政(管轄課)や児童相談所との連携が図れている。子どもたちの最善の利益につながるように支援している
【5】第三者評価の受審状況 2021年02月01日(契約日)~ 2021年04月14日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 <特に評価の高い点>
1. 施設長は事業所の基盤整備と新たな事業展開の推進に向けリーダーシップを発揮し、中・長期的な展望のもと経営の強化に努めている
 当事業所が市から事業移管されて5年目を迎えるなかで、施設長は事業所の基盤整備と新たな事業展開の推進においてリーダーシップを発揮している。
 養育、支援の質の向上に意欲を持ち職員を外部研修に積極的に参加させるとともに「現場で経験を積み重ねることが重要である」という認識のもと、職員に対しては主体的に子どもや親と向き合って取り組むよう求めている。子どもたちの生活に関する事項は、基本的には業務課長を中心にグループリーダーやホームリーダーに任せて、必要に応じて助言するように心がけている。
 また、中・長期的な展望のもと意欲的に新規事業に取り組み、各ホームの定員の縮小や地域小規模児童養護施設の開設準備を進め、さらに児童家庭支援センター設置などの構想も掲げて、職員に周知している。また、事業所内では少しずつ権限移譲も行うなど、事業所の経営の強化に指導的な役割を果たしている。

2. 退所時および退所後については地域資源を積極的に使い、連携して子どもの支援を展開している
 近年、18歳を過ぎても、一定の条件下であれば児童養護施設に在籍することが可能になってきている。当事業所では、その制度を利用しつつも、さらに子どものための新たなサービス種をつくり、活用している。
 同法人内の自立援助ホームを実施主体として、市の単独事業である「児童養護施設等退所児童就労支援事業」を展開している。この事業は、自立援助ホーム在所中の就職活動支援や、職場見学・職業体験、施設退所後の転職・離職相談、生活相談などを、さまざまな相談機関と連携し、実践するものである。
 既存の法律内だけにとどまらず、子どもの現状に合わせたサービスをつくり出して法人として取り組み、さらには教育・福祉・法律の専門家や職親などと協力・連携し、地域の取り組みとして子どもたちを支える活動を組み立ててきていることが斬新であり、優れていると言える。

3. 完全ホーム調理化を目指し、実践している
 食事は、おいしく、楽しみながら食べることで、子どもの心身の健康づくりの基盤となっている。同時に、食事は、子どもたちが社会で生きていくときの生活力や社会性を養うための基盤でもある。それらの子どもにとっての必要な力を育むために、当事業所では、ホーム内で職員が調理することを試行し始め、次年度には完全実施する予定である。
 このことによってコミュニケーションが豊かになり、子どもは大人の手作業を手伝いながら学んでいくことができる。また、決められた献立でも、やり取りによって、子どもの好みや体調に合わせて苦手な食材を除けたり、柔らかくするなどの調整ができる。そのような状況に合わせて、変更・調整していく体験を重ねることは、子どもの発達や成長にとって大変望ましいことである。


<特に改善が求められる点>
1. 法人の職員育成体制は整備されているが、事業所の職員育成(研修)計画の評価や組織的なOJTの取り組みは必ずしも十分ではない
 法人の方針に基づいて職員育成を行っているが、当事業所における職員の育成・研修計画に対する評価、組織的なOJTのしくみ、指導内容の標準化は、必ずしも十分ではない。
 法人は「職員の育成」を最重点課題として位置づけ、毎年度「人材育成方針」を定めて法人主催の研修や各事業所主催の研修、人事評価制度をもって「三位一体の人材育成」としている。当事業所はそのしくみのもと、法人主催の研修や外部研修に職員を参加させるほか、他の児童養護施設の視察、事業所内におけるケース検討会を行っている。
 しかし、職員育成(研修)計画の実施状況を評価する機会は、明確にはなってはない。また「支援ガイドライン」は明示しているものの、組織的にOJTを推進する体制・しくみが確立しておらず、指導内容が標準化されていない。OJTも、指導する職員ごとの任意となっている側面がある。
 当事業所としても、支援の質の向上や、ホームごとのばらつきの改善を課題としている。さらなる取り組みの強化を期待する。

2. 職員の経験値の見える化・標準化によって支援内容を共有し、職員の育成に取り組み、その充実を図ることを期待する
 当事業所では、支援の標準化や職員の支援観の統一を課題として「支援ガイドライン」を作成し、これを全職員が所持している。支援ガイドラインの記述内容は「第1.職員の基本姿勢」「第2.養育及び自立支援への具体的な指針」「第3.より良い生活を送るために子どもが守るルール」に大別され、構成されている。業務推進にあたって、支援ガイドラインで手順化した内容は、児童管理システム、記録の書き方、引き継ぎ、予定表について、入所に伴う手続き等、退寮に伴う手続き等である。また、リスク分野及び法例遵守マニュアルがある。
 今後の取り組みとして、支援ガイドラインは「指針」を示したものであるため、さらにこの指針をもとにした「養育・支援の具体的な実施方法の明確化」、すなわち「標準的な実施方法の具体化」が求められる。職員の経験値を結集し「見える化」することは専門職の責務であり、後輩育成のためのツールでもある。
 標準的な実施方法を具体化するための取り組みは、職員の経験知を活かすことや制度の改定などの影響を受けるため、見直し等を計画的に進める必要がある。養育・支援の実施方法の標準化が必要な分野、そしてその内容を検討する委員会・プロジェクトチームについて検討し、実践していくことを期待する。そのためには、作成した文書の活用が重要となる。例えば、人材育成への活用についても検討することを期待する。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  前回の第三者評価同様に、細かく聞き取りを行ってもらったことで、自分たちとしては「やっているつもり」でしたが、まだまだ足りない部分が多く見られることに気づくことができました。
 社会的養護を必要とする子どもたちがいる限り、児童養護施設として私たちはそれぞれの役割を見直し、すべての子どもたちの幸せにつなげていけるように、最大限の努力を積み上げていきたいと思っています。特に、評価によって指摘された弱い部分の底上げを図っていきます。
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