社会的養護施設第三者評価結果 検索

原峠保養園

【1】第三者評価機関名 (株)マスネットワーク
評価調査者研修修了番号 SK15161
SK15160
60792
SK15091

【2】種別 児童養護施設 定員 30名
施設長氏名 土屋 彰 所在地 長野県
URL http://haratouge.jp
開設年月日 1969年09月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人原峠保養園
職員数 常勤職員 13名 非常勤職員 5名
専門職員 施設長 1名 庶務兼指導員 1名
指導員 2名 保育士 8名
調理員 4名 特別児童指導員 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 13室 (イ)設備等 園舎東
(ウ) 食堂 (エ) 体育館
【3】理念・基本方針 当園の立地条件から「豊かな自然環境で自然と関わらせながら子どもを育てる」を理想として、心身の健康を回復し、自立した個人として生きていくための支援をする。※これらの支援活動の際は「子どもの最善の利益のために」をその基本理念とする。
【4】施設の特徴的な取組 1、自然体験活動を重視する。自然の厳しさや恵みに触れさせる。除雪 農作物の栽培 野菜・山菜等の収穫の喜び 草花・小動物との関わり 山野草や小鳥の自然観察
2、園生活を通しての生活共同体的な生活経験を豊かにさせる。規律ある生活(生活リズムの確立) 役割分担(当番活動等)と感謝の心
3、中学校の分室と提携して学業の遅れに対する焦燥や不安の解消、学力の増強を図ると共に園内の学ぶ気風を醸成していく。生活の時間的空間的流れ中での学習の場の確保  子どものニーズに即した指導体制  学習習慣形成
4、入所当初は不安感のある雰囲気の中で生活しているが、将来において子どもが、環境にうまく適応できるように配慮する。周囲の協力  相互理解への気づき  自尊心を高める(自分の良さに気づかせる)  安心できる場づくり
5、退所後の社会生活を考え、基本的生活習慣をしっかり身に着けさせる。特に、返事、笑顔、挨拶は相手の立場になって考えさせ、心から納得して実践できるよう擁護者と共に考えながら実践していく。
【5】第三者評価の受審状況 2015年07月01日(契約日)~ 2015年11月19日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成24年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
<豊かな自然環境を活かした支援>
 食事は、園で収穫したての野菜なども使用し、地産地消、食材の命に感謝するとともに子どもの健康状態に配慮している。一方、子どもの嗜好など「食べたいものノート」の活用により多様なメニューが提供され、食育を基本とし、食生活の工夫に積極的に取り組まれている。愛情が詰まった手造りの温かい食事は、身体だけではなく心まで子どもたちを健やかに育んでいる。
 施設の裏山では、春には山菜を摘み、秋には木の実拾いなど自然の恵みを享受している。
 また、坂の上に位置し、登下校時、歩くことで自然に体力がつき、生きていく上で基本となる身体の健康を保障している。
 野生の動物や鳥を観察し、虫を捕まえ、山羊や鶏の世話を通して、命の営みを学んでいる。冬の雪かきや秋の落ち葉集め、畑の収穫作業など子どもと職員が協働して行う活動は、助けあい、認め合い、協力し合い、感謝しあう態度が自然に身についている。
 施設は、「豊かな自然環境の中で自然と関わらせながら子どもを育てる」という運営方針を中心として支援に努めている。

<見守りの姿勢を大切に、常に子どもの側に立ち、支援している>
 常に目の前の子どもの姿、言動を基に「安心・安全」を第一に配慮しつつ、子ども側に立って、励まし、アドバイスし、注意声掛け等により、子どもの可能性を信じて見守るという姿勢を大切にして支援にあたられている。 見守りの中で、子どものつまずきや失敗、できなかったことができるようになる事で自己の成長を実感し、また、そのことを職員や周りの方々が気付き認めてあげることで自己肯定感が得られるよう支援されている。<園長のリーダーシップと共に歩む姿>  園長は、子どもと向き合い、職員と一緒に子どもの成長・課題解決に携わり支援し、子どもや職員とのコミュニケーションを積極的にとり、信頼につなげている。豊かな自然の中で健やかに過ごし、自分を理解して子どもが旅立つ支援が行われている。これから社会的養護充実のためにどのように対応していくか、施設の小規模化を目指し、より家庭的な生活を実現していくために、のびのび過ごせる自然をどのように活かし推進していくかに取り組まれている。

◇改善が求められる点
<標準的実施方法の策定>
 要覧を毎年度作成し、職員の役割や係ごとの計画と運営内容が明示されているが、支援の全てに渡ってはいない。さらに、会議等で検討された事項が職員全体で共有されているが、組織的な養育の資質向上までには活かされてはいない。
 標準的実施方法には、プライバシーへの配慮、施設の環境に応じた業務手順なども含まれ、支援全般にわたっての策定が求められている。
 標準的実施方法の策定により、職員による養育、支援の水準や内容の差異を極力なくし、基本的な部分が共通化され、その上で個別性に着目した適切な養育・支援の実践が望まれる。また、見直しは、PDCAサイクルによる継続的な実施が期待される。

<専門職の役割の明確化と取り組み>
 様々な事情を抱えた子どもたちが混在してくる中、社会的養護推進を目指し支援していくには、職員の資質向上への積極的、計画的な取り組みが必要と思われる。被虐待児や課題を抱えた子どもや地域のニーズに応えるためにも、専門職としての基幹的職員、家庭支援専門相談員、心理療法担当職員等の役割は大きく、役割の明確化と積極的に取り組むことにより、職員の資質向上につながることに期待したい。

<自然を活かした生活の場としての安全と環境に配慮した取り組み>
 園は、昭和の時代に医師松井鳳平氏が小児結核療養所として創設され、現在の児童養護施設に至っている。自然豊かなこの地で子どもたちにとって環境の良い生活の場であったが、時代とともにさまざまな家庭環境での子どもたちの生活支援の場としては、園としても課題と感じられている。今後、改築予定計画も進行中である。
 さまざま工夫もされ安全への取り組みがなされ、規程の作成、マニュアルなどにより安全確保に努められている。しかし、子どもが活動する生活の場として、環境の安全、例えば屋外照明の改善、安全に配慮したフェンス設置、また、室内での居室環境、共同スペースの環境など、社会的養護施設の将来像に向け、より過ごしやすい生活の場の提供に期待したい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント ・当園の特色をつぶさに見聞され、きめ細かな評価をしていただいた。
・殊に、当園ならではの食育や子どもと職員との協働作業に陽を当てていただいたことに感謝と共にさらに一歩前進を決意しました。
・ ご指摘された課題を真摯に受け止め、改革委員会を中核に、さらに「子どもたちの最善の利益のため」に全職員で取組み努力邁進していきたいと思います。
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