【1】第三者評価機関名 | (特非)環境・福祉事業評価センター |
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評価調査者研修修了番号 | SK18119 50282 |
【2】種別 | 児童養護施設 | 定員 | 45名 | |
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施設長氏名 | 橋詰 邦男 | 所在地 | 長野県 | |
URL | http://www.hachiyoukai.or.jp/ | |||
開設年月日 | 1947年03月01日 | 経営法人・設置主体 | 社会福法人 八葉会 | |
職員数 | 常勤職員 | 33名 | 非常勤職員 | 4名 |
有資格職員 | 保育士 | 12名 | 看護師 | 1名 |
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心理士 | 1名 | 児童指導員 | 14名 | |
社会福祉士 | 3名 | 管理栄養士 | 3名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 31室(45名)LDKユニット | (イ)設備等 | 多目的室 |
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(ウ) | 心理相談室・ステイルーム | (エ) | けいあい里親支援総合相談センター | |
【3】理念・基本方針 | 理念 人間に生まれることは、大いなる歓喜なり 社会福祉法人八葉会は、恵愛学園創設以来の基本理念として仏陀の教えである「人間として生まれるは大いなる歓喜なり」を継承し、この具体的なこととして、命の尊さと慈悲の心を育み、希望を祈ることの大切さを伝えます。 基本方針 児童養護施設「恵愛」は、「児童福祉法」「児童憲章」並びに「児童の権利に関する条約」の基本理念を踏まえ、子どもの「最善の利益」の実現、併せて子どもの「不利益」の最小化を目指します。国が掲げる「新しい社会ビジョン」、県が策定する「社会的養育推進計画」を基に、子ども一人ひとりが”大切にされている”と実感できるようケアの個別化を図ります。また千曲市民として、地域と施設の繋がりを確かなものとするための取り組みを重点的に行います。 |
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【4】施設の特徴的な取組 | 1.地域との繋がりの強化の取り組み 子どもの生活の場であり成長を促すための最良の環境を備えた千曲市に於いて、社会的養護の下で暮らす子どもへの理解をさらに深めるため、地域住民への情理を尽くした丁寧な啓発や協力の要請を行い、地域住民一人ひとりが子ども達の“人生の先生”となり力を貸して頂けるように地域活動等へは積極的に参加し、繋がりの強化を図っている。また、PTAや育成会をはじめとする学校活動へは、できうる限り“施設として”ではなく“家庭として”参画することで新たな繋がりの可能性を模索している。 2.子どもの権利擁護への取り組み 子どもの「最善の利益」を追求する観点から、子どもの権利擁護に努めます。全国児童養護施設協議会(全養協)が作成した「児童養護施設における人権擁護と人権侵害の廃止・防止・対応に関する要項およびチェックリスト」を有効に活用し、当施設の職員に人権意識の傾向を数値化等したうえで検証・検討を行い、権利擁護の更なる推進を図っている。 3.「家庭的養護」推進への取り組み 「家庭的養護」推進に重要かつ本来的な目的は、「ケアの個別化」であるという観点から、家庭的養護に推進を積極的に行っている。清潔で快適な住環境において、暖かい栄養のある食事を提供し自立を見据えた食育を行っている。また、子どもの好奇心をその成長に繋げるために、一人ひとりが希望する習い事は全面的に推奨すると共に、音楽・工作をはじめとする芸術等の文化資本に触れる機会を多くしている。 4.職員組織体制の強化への取り組み 「児童養護施設運営指針」に掲げられている養護の支援と一貫性・継続性・連続性を子どもに保障する観点から、職員研修に重きを置き、組織全体の専門性の強化を図り、また、職員組織の安定性を確保するために「永く勤められる職場の風土づくり」が文化として根付くよう、「職員の個性の多様性」を大切にしつつ、職員同士の繋がりや協力体制を意識した仕組みづくりに努めている。 |
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【5】第三者評価の受審状況 | 2019年05月23日(契約日)~ 2020年03月12日(評価結果確定日) | |||
前回の受審時期 | 平成28年度 | |||
【6】総評 | ◇特に評価の高い点 ① くらしやすく、安心して生活できるサービスが向上している。 平成29年3月に千曲市稲荷山地籍に小規模グループケア4ユニット、幼児ユニット1ユニット、混合ユニット1ユニットに新施設が完成し、平成29年4月より長野市松代町西条地区から移転し児童養護施設「恵愛」として開所した。また6月に障がい児通所新事業「けいあいフレンズ」が開設した。南欧風の明るい建物で内部はLDKユニット化により、ゆとりある居室、建具、トイレ、お風呂、食事作りは職員がケアしやすいよう厨房が設けられており清潔で快適な住環境が整備されている。少人数での食卓を囲んだ食事、リビングでの団らん、個室での自分なりの時間を過ごすことができ落ち着いた家庭的な安定した自立した生活が送れるようになっている。特に前回の利用者調査の結果と比較すると「くらしやすく、安心して生活できる」の回答が「はい」が32%から46%に向上し、「いいえ」が44%から14%に減少した。利用者満足度が向上しており「家庭的養護」と「ケアの個別化」を積極的に推進しており特に良い点として評価できる。 ② 多機能で高機能な事業を連携しながら進展させている。 児童養護施設「恵愛」と併設し平成27年に開設し里親支援事業を行う「けいあい里親支援総合相談センター」、平成29年に児童発達支援、放課後デイサービスを行う障害児通所支援事業所としての「けいあいフレンズ」が開所した。また平成30年に児童家庭支援センター「けいあい地域子育て支援センター」が認可され平成31年4月に開所した。児童養護施設を中心にそれぞれの相互連携により多機能で高機能なサービスを提供している。更に心理相談室、家族再統合機能がある「ファミリールーム」、「多目的室」等を活用し退所後の就職、高校進学、家族再統合、里親サロンを実施している。児童福祉の精神に則り、地域の児童福祉向上の取り組みとしてショートステイ・トワイライトステイ事業を充実させており児童の福祉及び地域福祉を支援している。これらの事業は児童養護施設を母体の連携しており多機能で高機能を地域の福祉向上のため積極的に取り組んでおり特に良い点として評価できる。 ③ ソフトウェアの導入によりサービスの質の確保と事務作業の効率化に寄与している。 平成29年4月に新規事業所の開設に合わせ、児童福祉施設向けの業務管理システムを導入した。情報データベースに基づくケースマネジメントの実践で支援の質が向上している。ナビシステムによるガイド支援があり新人でも安心である。収集すべき情報が標準化され、アセスメントや育成記録、支援計画が標準できるメリットがある。今後情報が蓄積されると情報データベースを生かし高い専門性の支援ができると期待できる。ユニットケアになり、職員はユニットで過ごす時間が長くなっている。ユニットでの事務作業の軽減に役立ち本来の個別ケアに時間を振り向けることができ今後の成果を期待したい。 ◇改善を求められる点 ① 退所後の自立の支援の推進 児童養護施設からひとり立ちするこどもにとって、頼るべき親がいない、虐待等により入所し、その後の養育でも完全にいやされることができなく原則18歳で退所しなければいけない子どもにとって、施設退所後の精神的、経済的環境は厳しい。児童養護施設でも、これらの精神的・経済的ハンディキャップに対し、人生の長きにわたり継続的に支えることが求められている。「恵愛」においても、自立支援援助コースによる支援、高校卒業に伴う就職支援、高校の進学支援、計画的な家族支援等による家族支援、里親委託の推進、自立援助ホームとの連携等の取り組みを行っている。現在13名の高校生がおり、今後の退所後の支援について重要性が増している。アンケート調査では「あなたが成長していくために取り組む目標、将来について話しを聞いてくれますか」の問に対し「はい」は68%で前回の72%より4%減、「いいえ」は4%で前回の8%より4%減、「どちらともいえない」は25%で前回の20%より5%増という結果であった。引き続き将来の夢を共有し実現できる支援を期待する。自己評価等の結果からは、職場体験の効果を高める協力事業者との連携、資格取得の奨励、職員の分掌について心理担当のように専門職の配置を検討するなどの取り組みを期待したい。結果として自立後の社会的な「不利益」の最小化を目指す専門学校・大学進学率等の向上を期待する。 ② 職員の定着にむけた職場環境の整備 必要な福祉人材の確保・定着について整備している。職場環境の整備を事業計画の中でキャリアアップ、個人面談について取り組んでおり中堅の専門職が育っている。外部環境は少子化に伴い新規人材の採用が難しく競争のある状況にある。新規職員の採用や職員の定着による離職率の低減に積極的に取り組まれることを期待する。処遇加算等財政的な取り組みと共に、SDGs(持続可能な開発のための2030アジェンダ)や働き方改革に対応し職員は将来の姿が描け、定年後も様々な働き方を提供できる仕組みを目指し、メンタルヘルスやワークライフバランスを配慮した職場環境の整備や職員個人の計画的スキルアップに向けた活動を粘り強く継続的に取り組まれることを希望する。 ③ 災害等の影響を把握し、災害発生時においても養育・支援を継続するための「事業継続計画」(BCP)の作成と見直し 災害に対する取り組みについては「危機管理対応マニュアル」を策定するとともに必要な避難訓練等を実施している。また防災拠点型地域交流ホールとして「陽だまり」があり非常電源、ヘルメットや備蓄品が整備されている。夜間想定での水害・地震訓練や事業を継続するための電気、水等のインフラ復旧、食料等の確保、災害時でもつながりやすい多様な通信手段、重要な施設のデータのバックアップ、非常時の優先業務を整理し災害から目標復旧時間、目標普及レベルを想定し復旧について養育・支援を継続するための「事業継続計画」(BCP)を作成したり、新型ウィルス等による爆発的な感染などの新しいリスクを評価し定期的に見直されることを期待する。 |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | 平成29年3月に千曲市稲荷山に移転し、小規模グループケア体制のもと、子ども一人一人が「大切にされている」と実感できるための取り組みに力を入れています。地域に根差した等身大の福祉拠点とし、法人全体として事業を展開しています。平成27年に開設した里親支援センターを筆頭に、平成29年には障害児通所支援事業を開設、平成31年度からは、児童家庭支援センターを開設しました。ショートステイ事業やトワイライトステイ事業等も積極的に実施し、児童養護のみに留まらない、児童福祉全般に対応して多機能かつ高機能な施設としてサービス提供を行っています。移転後初となる今回の評価を真摯に受け止め、更なる支援内容の向上・地域福祉の充実を目指します。 “特に評価の高い点”として認めて頂いた項目につきましては、これまで施設が取り組んできた試行錯誤の実績が、結果に結びついたものとして、職員全体の確かな自信となりました。今回の結果に満足せず、支援の質の向上に努めていきたいと思います。また、“改善が求められる点”に関しましては、評価内容を職員全体で問題意識として共有しながら、全力で改善に努めます。 この度、第三者評価を実施していただいたことは、より良い支援を提供するための「良い機会」となりました。評価内容を法人全体で受け止め、成熟した社会福祉法人を目指します。「子どもの最善の利益の実現」及び、「不利益の最小化」への取り組みを普遍的なテーマとして掲げる実践的集団としての自負を保ち、今後も精進する所存です。 |