【1】第三者評価機関名 | (特非)環境・福祉事業評価センター |
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評価調査者研修修了番号 | SK2022019 S2021062 |
【2】種別 | 児童養護施設 | 定員 | 45名 | |
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施設長氏名 | 福原 隆和 | 所在地 | 長野県 | |
URL | http://www.hachiyoukai.or.jp/ | |||
開設年月日 | 1947年03月01日 | 経営法人・設置主体 | 社会福祉法人 八葉会 | |
職員数 | 常勤職員 | 38名 | 非常勤職員 | 1名 |
有資格職員 | 保育士 | 17名 | 看護師 | 1名 |
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心理士 | 2名 | 管理栄養士 | 2名 | |
栄養士 | 1名 | 社会福祉士 | 4名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 31室(45名)LDK | (イ)設備等 | 多目的室、心理相談室、ステイルーム |
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(ウ) | 地域支援ホール | (エ) | けいあい里親支援総合センター | |
【3】理念・基本方針 | 理念 「人間に生まれることは、大いなる歓喜なり」の教えを継承し、すべての児童とすべての家庭の最善の利益の実現を目指します。 基本方針 児童養護施設「恵愛」は「法人理念」「児童の権利に関する条約」「児童憲章」及び「児童福祉法」の基本理念を踏まえ、すべての児童とすべての家庭の最善の利益の実現と「不利益」の最小化を目指します。権利の主体である子ども一人ひとりが“大切にされている”と実感できるための支援を行っていきます。 |
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【4】施設の特徴的な取組 | 1.地域とのつながりを強化 多様で複雑な地域ニーズに応える為、施設機能の多機能化を図り、子育て短期支援事業(ショートステイ・トワイライト)等を通して子育て支援を行いつつ、虐待防止・早期発見に努めている。また、同法人内に設置した「里親支援総合相談センター」「児童家庭支援センター」「障がい児通所支援事業所」等と連携し、きめ細やかな支援の提供を目指している。また、地域の防災拠点としての役割や、PTAや育成会・学校活動への参加を通し、地域との繋がり強化を図っている。 2.専門的かつ長期的な支援を実現するため専門職員を配置 令和2年度から職業指導員を配置、令和3年度からは職業指導員を改め、自立支援担当職員を配置し、インケアおよびリービングケアに力を入れている。アフターケアでは長期に渡りケアリーバーの抱える困難に寄り添うことで、施設が退所者の故郷となれるよう心掛けている。また、最前線で子どもを見守る保育士・児童指導員と看護師・栄養士・心理担当職員・里親支援専門相談員等専門職が連携・協働するチーム養育こそが施設の強みであるとの認識のもと、ケアニーズの高い児童への対応を積極的に行っている。 3.人材の確保・定着・育成のため、職員研修を計画に基づき実施 多様化する子ども・家庭のニーズに対応するために必要なスキルが習得できる研修内容となるよう配慮し、個人スキルはもとより組織全体の専門性の強化を図っている。また、公認心理師等の資格を有する職員等によるコンサルテーション・スーパーバイズやメンタルヘルスケアにも力を入れつつ、快適な職場環境をつくるため、各種ハラスメント防止のための取り組みを行っている。 4.児童支援育成ソフトを活用 子どもの日々の育成日誌やアセスメント・児童自立支援計画をデータベースで管理している。子どもの記録のみにとどまらず、各種議事録や周知事項等をシステム化することで、迅速な情報共有が可能となり、支援内容の透明性等が担保されている。 |
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【5】第三者評価の受審状況 | 2022年08月23日(契約日)~ 2023年03月30日(評価結果確定日) | |||
前回の受審時期 | 令和元年度 | |||
【6】総評 | ◇特に評価の高い点 ①子どもの満足の向上に取り組んでいる。 前回3年前の第三者評価は、松代から移転し、ユニット制が開始して間もない時期であった。前回の利用者調査と比較し10の設問の内、7項目で「はい」と回答した割合が増えている。「この施設は、くらしやすく、安心して生活できますか?」は46%→59%、「施設の大人の人たちから、あなたは大切にされていると感じますか?」は54%→59%、「施設の大人たちはこの施設の決まりや約束ごとをわかりやすく教えてくれますか?」と「ここでのくらしでは、あなたのプライバシーは守られていますか?」は64%→78%、「施設の大人の人たちは、あなたの良いところをほめてくれますか」と「施設の大人の人たちは、あなたが成長していくために取り組む目標、あなたの将来について話を聞いてくれますか?」は、68%→74%、最も高い評価は「施設の大人たちは、あなたがいやがるよび方をしたり、命令したり、乱暴な言葉を使ったりしないで接してくれますか?」は68%→81%となっている。内容評価の項目と関連し、子どもの満足の向上に努めている点が長所として評価できる。 ②子どもの生い立ちを振り返る取り組みにLSW(ライフストーリーワーク)を積極的に活用し実施している。 子どもの生い立ちを振り返る取り組みとして、アルバムを作成し振り返れるように整備している。適切な時期を見極め、LSWの実施を行っている。必要に応じ、看護師・心理士からも話をしてもらい生まれてからのライフストーリーを実施しながら生い立ち等の説明をしている。退所した後も訪ねてくるケースがあり、写真等も長期にわたって保存されている。アルバムは退所するときに手渡しで贈っている。丁寧な生い立ちを振り返る取り組みを続けており長所として評価できる。 ③自立支援の取り組みを積極的に行っている。 子どもが安定した社会生活を送れるようリービングケアと退所後の支援を積極的に行っている。特に自立支援担当職員を配置し、大人カフェを実施し、子どもが気軽に参加できるように心がけている。テーマは「ライフキャリアプラン」「お金についてのお話」としてローンの契約、アパートの契約等多岐にわたっている。また、学習・進学支援、進路支援も丁寧に行っている。退所後も定期的なアフターケアを実施しており長所として評価できる。 ④職場の就業環境を整えて働きやすい職場を目指している。 コロナウィルスの感染の拡大により、職場の引継等がZOOMで行われるようになり、現在も継続している。また、感染リスク管理のため日々緊張する期間が継続し、職員はユニット毎で業務が完結できるようになったが、リアルでの相談する機会が少なくなってきた。看護師と心理士が男女2人常駐し、子どもだけでなく職員のメンタルヘルスに積極的に取り組んでいる。SOSとして「困っている」「助けてください」の使えそうなフレーズや1オン1の手法を取り入れ働き方や働くことに対する価値観の変化に応じ仕事と同様にプライベートも重要視し、その納得感が仕事のモチベーションになっている。職員の個性を捉えたコミュニケーションを実施しており働きやすい職場を目指している。 ◇改善を求められる点 ①民法改正による18歳成人引き下げに対する対応の見直し 改正民法により2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられ、18歳で成人となる該当者が発生している。施設では、成人年齢が引き下げられていることの対応は現場レベルでは実施されている。また、自立支援に向けたお金の管理等についても研修が行われている。成人に対する未成年者取消権が行使できないこと、また、自己決定権の尊重が更に求められることから、18歳成人に達する前の該当者への研修、施設での金銭管理の方法、携帯電話の管理方法等について変更すべき項目があるかどうか体系的な見直しの検討を再度期待する。また、今回の改正で18歳以降の社会的養護の支援が弱くなる一面もあるので合わせて見直されることを期待する。 ②子どへの情報提供や意見表明しやすい方法の推進 子どもの利用者調査では満足度が向上しており、普段のユニットの中での子どもの要望の聞き取りができていると考えられる。この流れを更に推進していただくことを期待する。具体的には、施設への玄関は一般の玄関と子どもたちの玄関は別れて別々になっている。一般の玄関には、苦情解決の仕組み(受付窓口、解決責任者、第三者委員)やその他の相談先や様々な周知事項が掲載されている掲示板が設置されて周知されている。一方子どもたちの玄関には掲示板は設置されていない。各ユニットの中の掲示板で周知されているが、子どもたちが苦情や要望を伝える仕組みについては、一般の玄関だけではなく子どもたちの玄関にも掲示し、そのほかの機関の連絡先についても周知し情報提供の場を増やすことを期待する。また、正式な意見箱については、利用する機会が少ない。利用者アンケートでもさまざまな意見や要望が出ており、無記名のアンケートやユニットで鍵のない意見箱ですぐ公開され対応されるなど更に意見表明しやすい方法がないか検討されることを期待する。 ③データの管理方法や規定の定期的な見直し 文書や記録の管理方法については、八葉会での諸規定による文書と恵愛としての文書管理が定められ、文書管理規定に従った管理がされている。一方業務管理システムと合わせ、議事録や写真データ等電子的媒体の記録の保存が最近増加している。電子的媒体の写真等については相当の年数が保存されているが、保管、廃棄、保護等をどのようするか明示されてはいない。このため適切に管理する方法について検討されることを期待する。特に子どもの生い立ちの写真については長い年数の保管を希望する。また、管理規定等更新日から一定の年数が経過している文書は定期的に見直されることを期待する。 |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | 平成29年3月の移転開設以来、当施設は養育に関わる専門性向上のための努力を重ねて参りました。 近年は新興感染症の世界的蔓延や経済不安など、子どもを取り巻く情勢が想定を超えて変容する中で複雑多様な課題が生じましたが、我々は一貫して「子ども一人一人が“大切にされている”と実感できる」養育を心掛けてきました。そのような観点から子どもへのアンケート調査には高い関心がありましたが、前回調査と比して満足度が向上したこと等を高く評価していただいた点は自信に繋がりました。 また、前回評価結果において改善を求められた「退所後の自立支援の推進」についても、今回の評価結果では、自立支援担当職員を中心とした取り組みを高く評価していただけたことに安堵しております。 しかしながら、今回においても改善を求められる点があり、取り分け「子どもの意見表明」に係るご指摘については、令和4年6月に成立した「こども基本法」の掲げる基本理念等も踏まえつつ、積極的な改善に取り組む所存です。 |