【1】第三者評価機関名 | (一社)Riccolab. |
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評価調査者研修修了番号 | SK2019009 SK2019011 |
【2】種別 | 児童養護施設 | 定員 | 35名 | |
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施設長氏名 | 佐藤 昇吾 | 所在地 | 山梨県 | |
URL | http://kuzuha.or.jp | |||
開設年月日 | 1947年04月16日 | 経営法人・設置主体 | 社会福祉法人葛葉学園 | |
職員数 | 常勤職員 | 20名 | 非常勤職員 | 10名 |
有資格職員 | 社会福祉士 | 1名 | 保育士 | 5名 |
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児童指導員 | 11名 | 臨床心理士 | 1名 | |
栄養士 | 2名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 居室3室(2室 定員10名228.98㎡/1室 定員9名265.72㎡) | (イ)設備等 | 地域小規模児童養護施設(定員6名202.01㎡) |
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(ウ) | (エ) | |||
【3】理念・基本方針 | (1)理念 施設運営においては、子どもの最善の利益を考慮し、心身ともに健やかな成長を促すために、物心両面における環境条件を一つ一つ整え、生きる力の源となる自尊感情(自己肯定感)を育て、より良い人間関係を築くための素地と思える共感性を育み、社会に生き抜く健康な人格を描き支援し、創設者鈴木代作の思いを継承・踏襲し、「健康観」を深く思うところとします。 他方、社会福祉に携わる私たちは、社会的弱者に手を差し伸べ寄り添いながら、持てる力を最大限に発揮、あらゆる角度からサポートせねばなりません。昭和・平成・令和の時代と共に変遷する要保護児童とその家庭に寄り添い培った支援の過程を、地域の子育て支援或いは地域福祉を視野に入れ、すべての方々が幸せに暮らせる社会創りに、地域の皆様とともに目指し、共生・共助の地域づくりに貢献してゆくことを法人の礎とします。 (2)基本方針 安心、安全を基本とした生活主体の援助の中で心身の健康を育む。援助の方針には「自主・自立(自律)性を育てる」を掲げ、完全な人などはおらず、「出来る事は行い、出来ない事は人に頼り、教えを乞うことが出来る」こととし、大人との関係性の再構築を通して程良い甘え、依存する術を学ぶことが、適応的な社会生活を送る上では大きな力になると考えている。 |
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【4】施設の特徴的な取組 | 家庭的養護推進計画のもと、子ども達に対して、個別、専門的なケアが行えるように本体施設の定員を下げ、より家庭的な環境での養育を目指し、当初の計画通り平成31年度には地域小規模児童養護施設を開設している。地域からも理解を得ながらの開設となり、子ども達へ生活の選択肢を増やすことが出来ている。子どもの養育については、統一した対応ができるよう「葛葉学園支援マニュアル」を作成し、共有する事で社会人、養育者として子どもに示す姿を統一するように努めている。また、定期的な第三者評価の受審、内部での自己評価の他にも、家会議や援助会議を設け、子どもの様子と支援内容の共有、児童精神科医によるSVを行う事で、職員個人、各家の孤立を防ぎ、養育を客観視する機会を設けている。また、外部研修に参加する機会を設ける事で、個人の養育の質を向上し、研修報告で共有する事により職員集団の専門性、質の向上と共に支援内容を統一する機会としている。職員の退職により養育者が変わる事は望ましくない事であり、永続的に働けるような職場、意識づくりを職員全体で考えていけるように、定期的に職員間で「働きやすい職場づくりアンケート」を実施し、環境の改善に努めている。 子どもの生活については、自由度の高い生活、選択肢を増やし豊かな生活が送れるように適宜検討を行っている。また、近年では、高校卒業を迎える子どもには措置延長を視野に入れ進路決定を行うなど、最善の利益を求めた生活に努めている。食事については、以前は調理員がメイン厨房で調理したものを配膳し食事を提供していたが、子どもが食をより身近に感じられる方法を考え、家庭生活と同じように、子どもの意向を聞きながら献立を作成する機会を設けたり、一緒に食材を購入し調理までの取り組みを、子どもが目にしたり手伝う事ができるように、家のキッチンで行っている。 |
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【5】第三者評価の受審状況 | 2020年04月24日(契約日)~ 2021年02月16日(評価結果確定日) | |||
前回の受審時期 | 平成29年度 | |||
【6】総評 | ◇特に評価の高い点 ○「施設が目指す養育・支援の根拠を明確した支援マニュアルを作成し、施設全体で支援の姿勢や方向性を共有しながら支援にあたっている」 これまで施設では、援助や基本方針、重点目標、生活指導の指標等、基本的な支援姿勢を養護ガイドへまとめ、年度初めに職員へ配布して理解を図ってきたが、施設が大切にしている支援のビジョン共有と、支援水準の維持を目指し、より具体的な対応方法等を示した支援マニュアルを完成させ、施設全体で方向性や認識を共にしながら支援にあたっている。マニュアルには、職員の社会人として心構え、支援の基本姿勢、職員の役割、安全安心の生活を送るための決まり、支援内容と根拠などが記載され、職員が自身の支援に迷った際には、立ち返ることのできる拠り所としても活用している。また、より現状に合った内容となるよう、各項目の内容や表現について会議で職員が確認を行う等、施設の理念や基本方針に則った支援に向け取り組んでいる。 ○「子どものプライバシー空間を保障するとともに、自分らしい生活を営むことができるように取り組んでいる」 施設では平成31年度に地域小規模グループホームを開設する等、計画的に生活単位の小規模化を進めている。本園も含めてそれぞれの子どもへ個室を提供するとともに、例えば、室内で生き物を飼う等、子どもが自身の嗜好や趣味に合わせて、居室内を自分らしく使っている状況がうかがえる。職員は子ども一人ひとりの意思の把握に努めつつ、それぞれの個性を尊重した養育・支援となるように取り組みを進めている。 ◇改善を求められる点 ●「子どもの現状把握に必要な項目を検討し、チェック方式で視覚的に確認しやすい工夫を取り入れる等、施設独自のアセスメントシートの作成を進められたい」 入所する子どもの情報は、関係機関から得られる書類等から得ており、児童記録表や児童台帳、育成記録等へ綴じ込み、それらの情報を自立支援計画や支援に反映している。なお、計画作成時には、生活指導の指標の8領域に基づいたアセスメントを職員が実施して、文章による現状報告を行い、子どもの様子を把握している一方、施設独自のアセスメントシート作成が長年にわたり重点課題に挙げられている。アセスメントは自立支援計画の基礎となるため、職員会議で子どもの現状把握に必要な項目を検討したり、可能な個所はチェック方式で視覚的に見やすい構造に工夫する等、使いやすさと確認しやすさを取り入れた書式の作成を進められたい。 ●「事業計画の進捗管理方法を明確にすることにより、着実に課題を達成する推進力を高めていくことが期待される」 単年度の事業計画書のなかで検討課題を明確に掲げて運営会議で検討を図りながら取り組む一方、事業計画全体を年度途中で総括するしくみが用意されていない状況は改善が望まれる。今後は、時期を定めて進捗状況を把握し職員全体で共有するしくみを導入するとともに、経年の課題となっている性教育やアセスメントシートの作成等も含め、課題達成に向けて数年先までの実施スケジュールを立案する等により、着実に課題を達成するための推進力を高めていくことが期待される。 |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | 子ども達のより良い生活と、それを実現をする為の支援へ向けて、各項目について丁寧なヒアリングの上で評価をして頂きました。 施設として積極的に取り組んでいる事が評価されたことは、私たちの自信となり、また、長年の懸案事項については、改めて指摘を受けることで進展させるべきと考えさせられる機会となりました。今回の受審結果をもとに、子ども達へより良い生活が提供できるよう、職員での共有を図り邁進してまいります。 |