社会的養護施設第三者評価結果 検索

新潟天使園

【1】第三者評価機関名 (公社)新潟県社会福祉士会
評価調査者研修修了番号 SK18105
24008
S2020068


【2】種別 児童養護施設 定員 40名
施設長氏名 高野 善晴 所在地 新潟県
URL http://niigatacaritas.or.jp/
開設年月日 2007年04月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人新潟カリタス会
職員数 常勤職員 22名 非常勤職員 4名
有資格職員 社会福祉士 5名 保育士 13名
臨床心理士 2名 公認心理師 1名
栄養士 1名 調理師 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 本園ABDEユニット(定員6~8名)150㎡、本園Cユニット 180㎡ (イ)設備等 本園多目的ユニット 23㎡
(ウ) 小規模グループケア施設 虹の家 16㎡ (エ)
【3】理念・基本方針 (法人理念)
キリスト教的人間観に則り、個人は外見上有用無用によらず、すべて神から愛されて生をうけ、一人一人に固有の使命が託されていることを基本理念とする。

(新潟天使園理念)
児童憲章の理念とカトリックの精神に基づき、子ども一人ひとりが健やかに成長できるように人権を尊重しながら支援を行います。
また地域社会のニーズを把握し、関係機関と連携を図りながら貢献できるように福祉サービスの提供に努めます。

(基本方針)
1.個の確立(自立心)
   集団の中で一人ひとりの人格を大切にし、心身の発達段階に応じた基本的生活習慣を習得できるように支援します
2.社会性の確立(生きる力・自立支援)
   自分も人も大切にすることに気づくことのできる子どもに育てます
3.信頼関係の確立(心の成長)
   職員と子どもはキリスト教的愛と人間観に基づき、共に培います
4.地域社会における家庭や関係機関との連携(社会的養護)
   地域と社会的養護の融合を図り、多様なニーズに対応する社会的養護の施設を目指します
5.支援内容の充実(福祉サービスの充実)
   職員は資質を向上させるために、積極的に研修に参加する等自己の研鑽に努め、福祉サービスに対応できる能力を身につけます
【4】施設の特徴的な取組 支援の質とは何かを絶えず自分たちに問い続けながら取り組んでいる。
一人ひとりの支援が異なり、自分たちの支援がどこまで必要か、また向上させることの可能性を追求できるのか、不安ながら、あきらめずに前を向いて取り組んでいる。
【5】第三者評価の受審状況 2021年05月01日(契約日)~ 2022年01月07日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 【特に良いと思う点】
〇施設の運営計画(事業計画)に「地域社会への公益的取り組みの推進(敷地や建物の管理と地域との連携)」を掲げ取り組みを実施している。
 施設は地域支援センター「コミッテ」を建設するに当たり、地区の児童関係、福祉関係の機関を訪ねそのニーズ把握するなどして施設としての地域での役割を模索し、現在も継続しているところである。「コミッテ」等を地域の子育てにかかわる団体等の勉強会や会議に利用できるように提供し、場合によっては施設職員も一緒に参加するなどして施設設備を活用した交流とニーズ把握に努めている。また、園長が地域から依頼を受けて子育てに関する講演を行うなどして、施設の持つ専門性を地域に還元している。

〇「養育・支援の質とは何か」「自分たちの役割は何か」を絶えず自分たちに問い続けながら、子どもたち一人ひとりに丁寧に向き合っている。
 園長や基幹的職員は、養育・支援において子どもや保護者との関係性が大事だと考えており、入所前からのアセスメントを丁寧に行うとともに、入所時から担当職員を決めて子どもや保護者との信頼関係の構築に努めている。施設は、子どもの成長過程を一緒に歩み、積み上げていく支援を実践しており、子どもや保護者をはじめ、関係機関の安心感が得られ、深い信頼関係が構築されている。
 ユニット化による小グループの中で、職員は、子ども一人ひとりの生活環境を整えながら、個々に適した養育・支援を考え、子どもの思いや意見・自己決定を大切にしながら子ども本人と一緒に生活の仕方を考えている。また、「子ども会議」や個々の子どもと話し合う「子ども応援会議」、子ども向けの「権利擁護チェックリスト」によるチェックを行うなどして、子どもからの思いを聞く機会を積極的につくるなど、一人ひとりの人権を大切にし、心身の発達段階に応じて、子どもが自分自身で決めること、子どもたちが自分の力で立ち上がれるように支援することを実践している。
〇職員一人ひとりが社会的養護の使命と責任を認識し、個々の子どもに合わせたきめ細やかなケアや発達支援の質を高めるため、多職種連携によるチーム養育を実践している。
 近年は、特別な配慮を必要とする子どもが多くなってきており、より家庭的環境の中で安心感を得、大切にされる体験を積み重ね、自己肯定感を育んでいくことが重要である。そのため家庭支援専門相談員(FSW)や心理職、担当職員、ユニット職員のチームによる継続的支援と安定的な関係性を大切にしている。特に困難な課題を抱えた子どもへの対応や支援では、心理面のケアや個性の理解と配慮が必要であり、主治の医師や児童相談所、幼稚園、学校、保健所等の専門職および関係機関とも連携して、より手厚いチーム体制で「療育的」な関わりも含めた質の高い個別的な支援を実践している。

【特に改善が求められる点】
〇職員の経験値や能力に配慮した教育・研修の機会を確保することが望まれる。
 社会的養護施設は、公的責任で子どもを社会的に養育し保護するとともに、養育に困難を抱える家庭への支援を行う重要な社会的役割を担っており、その責任は大きい。園長をはじめ職員は、その責任の重さをしっかりと認識して、日々一人ひとりの子どもに真剣に向き合い、退所後の自立を見据え、チームで養育・支援を実践している。職員には高度な専門性が求められ、子どもたちと長い時間を一緒に過ごし、巣立っていく姿を見送るという児童養護施設の特徴から、職員の異動はほとんどなく、経験が長い職員が多く、現場を支えている。
 近年、入所する子どもは中高生が多く、支援困難なケースが増えてきており、意思決定が困難な子どもや様々な事情や背景を抱える家庭への配慮・対応に苦慮している。現状は現場の職員がその状況に合わせて創意工夫して対応しているところがあり、これまでの経験値に加えて、職員個々の能力に配慮した教育や研修を組織的に実施していくことが望まれる。
〇子どもが自ら判断し行動することができるような、よりよい支援が望まれる。
 入所前からの丁寧なアセスメントの成果もあり、信頼関係の構築ができている反面、子どもたちが失敗しないようにと、つい必要以上に言葉をかけたり、行動する前に指示をしてしまい、過干渉になってしまうことを職員は課題だと考えている。子どもたちは退所した後には、周りのサポートを受けながらも自立した生活をしていかなければならない。子どもはできなかったことができるようになることで自己の成長を実感し、そのことを職員が認めてあげることで自己肯定感を高めていく。そのような体験を日常生活の中で数多く経験することで、退所後に自信と安心感を持って生活していく力となっていくのだと考える。子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、自立へのサポーターとしてどのような支援が適切なのかを検討していくことが望まれる。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  具体的で詳細な内容の項目であり、日常的には意識していないで取り組んでいることも、目的や意図することを確認しまた明確にすることで問題点や課題を実感として受け止めることができました。 第三者の視点を役立て、さらに取り組む内容の点検整備を行い、日頃の業務に関する取組に生かしていきたいと思います。
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