【1】第三者評価機関名 | (特非)よこはま地域福祉研究センター |
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評価調査者研修修了番号 | SK15074 S24402 S25160 SK15078 |
【2】種別 | 児童養護施設 | 定員 | 本園64名、地域小規模児童養護施設6名 | |
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施設長氏名 | 飯塚 富美 | 所在地 | 神奈川県 | |
URL | https://www.shinsengakuen.org/ | |||
開設年月日 | 1948年04月01日 | 経営法人・設置主体 | 社会福祉法人心泉学園 | |
職員数 | 常勤職員 | 37名 | 非常勤職員 | 12名 |
専門職員 | 保育士・指導員 | 28名 | 栄養士 | 1名 |
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看護師 | 1名 | 臨床心理士 | 1名 | |
里親支援専門相談員 | 1名 | 職業指導員 | 1名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 個室32、2人部屋8(7つのユニット) | (イ)設備等 | ユニットごとにLDK,風呂、トイレなど。地域小規模児童養護施設(カツ子スマイルハウス) |
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(ウ) | 事務、管理棟、海のホール、自立訓練室、親子訓練室、地域交流ホール | (エ) | 心理用ログハウス、職員宿舎 | |
【3】理念・基本方針 | 【心泉学園の理念】 「一国の繁栄を左右するのは、教育と福祉の豊かさにある。」という創始者の言葉を礎として、日本の未来を担う子ども達の「生命の尊厳」と「子どもの最善の利益」を守るために、①子どもが自然体で日常生活を送ること、②一人ひとりの入所児童を職全体で見守ること、③日々の家事業務を通じて、親(大人)の姿を子どもに見せることにより、いつの日か退所児童の「心の故郷」となるべく、入所児童一人ひとりの日々の変化を成長とし、我々職員の喜びと希望と捉え、自立に導くことに努める。 【運営指導方針】 1.集団生活を通じて児童の基本的生活習慣の確立と豊かな人間性、情操を養い社会への適応と自立を図る。 2.保護者と児童相談所との連携を密にして、自立支援計画をもとに個々の方向性として、児童の早期家庭復帰の促進や、自立に向けての援助等のための条件を整える。 3.小規模化による家庭的な、より安定した生活環境を整備し、より安定した生活と人間関係の構築を図り、自立した生活訓練の場を確保する。 4.開かれた施設を目指して施設と地域社会との交流を緊密化し、施設設備の解放と地域活動への積極的参加を図る。 5.家庭養育支援センターを併設し、里親の開拓と支援、社会的養護の啓発に努める。 |
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【4】施設の特徴的な取組 | ・子ども一人ひとりを職員全員で見守り、支援する組織体制 ・多種多彩なボランティアの導入 ・子どもの意向を積極的に聴取し、支援に活かす「ピース・アドボ」の取り組み ・より家庭的な食事に配慮した「食育」の取り組み ・地域に向けた施設開放と施設機能の積極的な提供 ・各ユニットの小規模化や家庭養育支援センターを通じた里親の育成・支援など、家庭的養育を推進する取り組み ・安全で快適な生活環境づくりに向け、職員と子どもが協働して行う「KEB(環境美化・園内事故防災)委員会」の取り組み など |
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【5】第三者評価の受審状況 | 2017年04月07日(契約日)~ 2017年12月04日(評価結果確定日) | |||
受審回数 | 1回 | 前回の受審時期 | 平成25年度 | |
【6】総評 | 【特に評価が高い点】 ◆子どもの意向を積極的に聴取し、支援に活かす仕組み(ピース・アドボ) 施設では、子ども一人ひとりの思いを職員と共有し、各々が安心で安全な生活を送るための取り組みとして、「ピース・アドボ」と名付けた活動を、平成21年2月から継続して実施しています。名称の由来はピース(PEACE:安心・平和)とアドボカシー(ADVOCACY:権利擁護)を組み合わせたもので、“みんなでつくる「あんしん」生活のための取り組み”として発足した経緯があります。 子どもからの希望や職員からの提案等に基づいて、随時個別に面談を実施し、子どもが日頃感じている不満や不安、要望等について積極的に聴取するほか、全入所児童を対象に「ピース・アドボ集会」を定期的に開催して、児童相談所や第三者委員等を交えながら子どもたちと施設職員が相互に意見交換し、より安心・快適な生活環境づくりのための話し合いを実施しています。集会では、様々なテーマで問題の解決策や生活上のルール等について話し合い、自身を認め他者を尊重する大切さ、協調性、社会性等を学ぶ有用な機会にもなっています。 子どもから積極的に意見を聞くことで、日常の養育支援の内容に子どもの意向を反映し、改善に活かしているほか、子ども同士のいじめや性に関する問題など、職員には見えにくい潜在的な問題もいち早く察知し、早期の対処と事故防止につなげています。また、子どもの心情や子ども同士の関係性を十分配慮した、きめ細やかな対応も可能となっています。「ピース・アドボ」は、自由な意思表示と権利擁護の共通のキーワードとして、子どもと施設職員の強い信頼関係の構築の礎となっています。 ◆より家庭的な食事の提供に配慮した「食育」の取り組み 施設では、自立に向けた子どもの心身の健全な成長に鑑み、より家庭的な環境での食事提供に力を入れています。施設の食事は「家庭的な雰囲気と美味しさ」を重視し、管理栄養士が毎日の献立を作成しているほか、7つの小規模ユニットに一人ずつ経験豊富な調理師を専任配置し、各ユニットのキッチンで調理して提供しています。調理師はそれぞれイタリアンや中華、和食などの得意分野を持つことから、同一の献立であっても微妙な風味の違いが生まれ、それぞれのユニットの特色となっています。一般家庭と同様、ユニットごとに特色のある食事が、子どもにとって「おふくろの味」となっています。また、調理師は食事作りだけでなく、食事場面を通じて子どもから話を聞いたり宿題をみてあげたりと、直接子どもと関わることから、暖かな家庭の雰囲気を醸し出し、子どもの安心感を高めることにも繋がっています。 また、ユニットごとに入所児童と職員が協力して食事作りを行なう機会も複数設定しており、子どもと職員が献立を考え、食事作りを行なう「自由献立」や、子どもの要望に沿って調理師が主導し調理を行なう「心泉'ずキッチン」を定期的に開催し、子どもが調理を体験したり、予算の範囲内で食材を購入することを経験できる機会も確保しています。 そのほか、季節ごとの行事食に加え、新規入所時の「ウェルカムメニュー」をはじめ、誕生日を祝う「お誕生日メニュー」、施設を退所する際の「グッドラックメニュー」など、子ども一人ひとりの個別性に応じた特別メニューの提供も実施しており、直接子どもからリクエストを聞いたり、生活状況のアセスメントから嗜好把握を実施して職員間で協議を行なうなど、管理栄養士を中心に複数職員が相互に連携して対応を実施しています。 ◆安全で快適な生活環境を子どもと一緒に推進する仕組み 施設では、人権擁護や行事、巣立ちなど、複数の委員会を設け、子どもの自立と健全な成長に向けた活動を行なっていますが、施設独自の特徴的な取り組みとして「KEB(環境美化・園内事故防災)委員会」を立ち上げ、施設内における事故・災害防止とともに、子どもたちの生活がより安全で快適となるよう、環境整備を推進しています。 委員会では、2か月ごとに様々なテーマで活動目標とスローガンを掲げ、各ユニットにポスターを掲示して子どもと一緒に活動しています。環境整備と美化の取り組みとして、施設の正面入り口に花を植える活動をはじめ、「お掃除チェックリスト」を作成して施設内共通の掃除手順を実践するなど、日頃から子どもたち自身が環境美化と整備に取り組む、自治的な活動にもなっています。 事故防止・防災に向けた取り組みでは、「ヒヤリハットMAP」を作成し、段差や死角、危険な遊びをしがちな場所など、施設建物及び敷地内の危険個所を図で示して職員間で共有するとともに、子どもにも説明して注意喚起を行なっています。また、「町内ヒヤリハットMAP」を作成し、踏切や路地、交差点など施設近隣の危険箇所を明確化して職員間で活用し、子どもの事故防止に活かしています。そのほか、防災訓練とは別に、委員会を通じて県立防災センターでの災害体験を行なう機会を設定し、子どもの防災意識を高める取り組みも行なっています。 【改善が望まれる点】 ◆自立支援計画の見直し・評価に関する記録の整備と、計画の策定手順の明確化が望まれます 施設では、詳細なアセスメントをもとに複数の専門職が協議し、子ども一人ひとりの特性に応じた自立支援計画を策定していますが、年度ごとの支援計画策定にあたり、前年度の支援計画の見直しと評価について具体的な記録がなされていないほか、見直し・評価を次年度の支援計画に反映する手順が明確化されていません。また、子どもの状況に変化が生じた際の支援計画変更の手順についても、明確なルール化が図られていません。 子どもの実情に応じた効果的な支援の実施にあたっては、支援経過や振り返り・評価の結果などを明確化し、全職員で共有することが大切であると考えられます。職員間での認識共有化に向けた記録のあり方について改善を図るとともに、支援計画の客観的な評価や、子どもの変化に応じた計画内容の見直し、次期支援計画の内容への反映など、計画策定の一連の流れを整備する取り組みが期待されます。 |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | 今年は法改正後初めての監査と共に法人監査も順番だったので、第三者評価機関の受審は、慌ただしい中での書類や自己評価の準備となってしまいました。現地調査のヒアリングを踏まえて行う自己評価は、いつもよりも意見が活発でした。グループ毎に意見交換をした後更に委員会で擦り合わせをしてみると、職種や立場によって意識や受け止め方の違い、今まで無意識に個人の価値観でスルーしていた事が表出しました。改めて振り返る機会を得て、職種ごとに感じている仕事や子どもへの想いを直接語り、聞くことで、他職種への理解が深まり組織としてコンセンサスの促進を図る事が出来ました。 2回目の受審でしたが、第三者の方々に検証評価を行っていただく事で、前回との比較を含めて現状の把握と課題が明確となり良かったです。非常に丁寧な現地調査をして頂き、職員共々安心感の下、出来ていることには自信を持ち、前向きに浮き彫りとなった課題に取り組めそうです。日常業務プラスアルファで時間の確保が大変でしたが、得たものが多くありました。評価結果を真摯に受け止めて、組織的に子ども達の支援に生かす努力を重ねたいと思います |