社会的養護施設第三者評価結果 検索

旭川育児院

【1】第三者評価機関名 (特非)北海道児童福祉施設サービス評価機関
評価調査者研修修了番号 北海道第0142
SK18195
S18004
S2019002

【2】種別 児童養護施設 定員 70名
施設長氏名 多田 傳生 所在地 北海道
URL http://asahikawaikujiin.hjk.ne.jp/
開設年月日 1921年10月24日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 旭川育児院
職員数 常勤職員 39名 非常勤職員 18名
有資格職員 社会福祉士 6名 保育士 18名
臨床心理士 1名 栄養士 1名
看護師 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 本館:4ユニット24室、小規模グループケア:2棟 (イ)設備等 体育館
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 ・子ども達が安心して暮らせる施設
・子ども達の人権と権利が守られる施設
・子ども達の成長と発達が保障される施設
・子ども達の社会的自立を最大限支援する施設
・地域に根差し地域に開かれた施設
【4】施設の特徴的な取組 1.子どもの権利擁護と最善の利益の追求
 「子どもの権利ノート」を活用した一人ひとりとの面接、意見箱の活用、苦情解決窓口の設置などを通して子ども達の意見を汲み上げ、対応しています。
 また、当院独自の奨学金制度により大学・専門学校等への進学を経済的に支援することにより、子どもの未来の選択肢を拡げ、最善の利益を追求できるようにしています。
2.多様な体験活動を通した子どもの成長支援
 旭川育児院では、毎週の剣道の稽古とピアノのレッスン、サマーキャンプや温泉旅行、その他様々な行事を実施しています。また、地域の方々から、コンサートや演劇、旭川近郊へのドライブなどに招待して頂くことがあり、子ども達の貴重な体験となっています。
3.職員の資質向上への取組
 旭川育児院では、外部の研修会への職員の積極的な参加を推奨したり、院内研修で児童精神科医や行政の保健師等を招いての勉強会を実施したりと、職員育成に力を入れています。
4.関係機関との連携
 小中学校との細やかな連携の他にも、心に傷をもつ子どもについては精神科医等と連携したり、市の適応指導教室や児童発達支援事業所の利用したりなど地域の社会的資源を積極的に活用しています。
5.地域住民との関係づくり
 旭川育児院では、独自の地域交流行事の開催、町内会行事等への子ども達の参加を通して地域との交流を深めています。また、当院の施設を災害時の緊急避難場所としており、年に一度、実際に地域住民が当院の体育館に避難する災害訓練を実施しています。
6.施設の多機能化への取組
 「地域・自立支援部」を創設し、24時間365日の子育て相談、市の子育て短期支援事業の受託、退所児童の進学先又は就職先での困り感への支援などを行っています。また、里親支援専門相談員は、旭川児童相談所の里親主査と連携、里親・里子への各種支援を行なっています。
7.職員の労働環境の改善
 職員の定着化を図るため、4週6休制から4週8休制への移行、職員の増員、リフレッシュ休暇の導入を実施しました。また、職員のモチベーションアップのため職員体制を見直し、新たな役職も設置しました。

【5】第三者評価の受審状況 2019年08月15日(契約日)~ 2020年03月23日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
1.積極的に行われている地域住民との交流と連携
 「運営理念」で「地域に根ざし、地域に開かれた施設」と明示し、町内会行事(凧揚げ大会、カルタ大会等)や地域交流行事(ゲートくぐり大会、創立記念祭等)には、職員が準備、運営に携わり、地域住民との交流を深めている。
 また、災害時に備えて、施設内の避難訓練や消火訓練だけでなく、地域住民との合同災害訓練を行っている。近隣の高齢者施設と災害時の応援協定や福祉避難所の指定等人材派遣に関する協定書を締結している。
2.アフターケアや自立支援の推進に向けた積極的な体制整備
 昨年度から「地域・自立支援部」を設け、家庭支援専門相談員を含む4名の職員を配置し、アフターケアや自立支援及び地域の子育て支援を推進する体制を整備した。特に、アフターケアや自立支援に関しては、法人独自の奨学金制度である「自立支援資金給付事業」と北海道の「社会的養護自立支援事業」を積極的に活用し、多くの進学者・就労者の支援を行っている。
 「地域・自立支援部」は、道外の大学等へ進学した子どもとの面談等の支援にもすぐに対応できる即応性を発揮している。活動を始めて2年目であり、今後の課題も多い現状ではあるが、独立した部門として設置し、複数の専門職を配置することで支援の実効性を上げられる体制を積極的に整えたことは高く評価できる。
3.施設情報の公開と新たな発信
 「運営理念」や「現況報告書」、「財務諸表」等の施設情報をホームページで積極的に公開している。施設見学者や地域交流の場においても要覧等を活用して、施設への理解を深めるように、丁寧な説明が行われている。今年度からは、機関誌「ヤイライケ」を創刊して更なる地域発信を続けている。

◇改善を求められる点
1.子どもの権利擁護の保障につながる取組の工夫
 子どもの権利擁護については、運営理念や諸規程に明記し、施設内研修を実施するなど職員への周知徹底を図っている。しかし、被虐待経験のある子どもや障がいのある子どもなど対応が難しい子どもが多く、自分や他の子どもの守られる権利についての理解も少ない状況から、日常的に分かりやすく学べる機会を設けることが重要と思われる。入所時には子どもの権利や被措置児童等虐待について説明しているが、子ども向けの「しおり」等の資料の作成と継続的な活用、アンケートや子ども会等の子どもの意見を確認できる多様な方策の導入などの取組の工夫が望まれる。
2.望まれるスーパージョン体制の確立
 発達障害を抱えた子どもや被虐待の影響を受けた子どもの入所傾向は、依然として高い傾向にある。これらの子どもたちの養育・支援には多くの困難が伴い、質の高い専門性が必要となる。常勤職員の平均在職年数が短い旭川育児院においては、職員が一人で問題を抱え込まずに、専門性の向上を図り、組織力を高めることが喫緊の課題であり、そのためのスーパービジョン体制を早急に確立することが望まれる。
3.子どものプライバシー保護に留意した更なる取組を
 子どもの適切な養育・支援、質の確保にあたり、規定やマニュアルを整備して取り組んでいるが、子どものプライバシー保護に配慮した養育・支援においては、「他人の干渉を許さない、各個人の私生活上の自由」というプライバシー保護の視点と個人情報保護の視点が混在となっている。子どものプライバシー保護に留意した規程・マニュアル等の見直しを望みたい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 総評欄に記載されている特に評価の高い点については、今後も引き続き充実・強化に努めます。
また、改善を求められる点については、次年度の事業計画の重点項目に位置づけ、規程等の整備、スーパービジョン体制の確立に努めます。
今回の審査結果を真摯に受け止め、子どもの権利擁護と子どもの最善の利益を優先にした養育支援の実現に向け、職員一丸となって努力を積み重ねます。
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