社会的養護施設第三者評価結果 検索

南さつま子どもの家

【1】第三者評価機関名 (公社)鹿児島県社会福祉士会
【2】種別 児童養護施設 定員 46名
施設長氏名 上薗 昭二郎 所在地 鹿児島県
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【3】実施調査日 2014年08月26日~2014年12月26日
【4】総評 ◇特に評価が高い点
1.子どもたちへの関わりについて、深い深度から多角的に検討され、子どもの権利と共に、子どもたちが今まで学んでくることのできなかった日常の生活のなかのルールや知恵を学びなおし、社会に自立していくことができる力を引き出していこうとしています。
2.「子どもと家族の相談室」を独自事業として13年にわたって継続し、特に不登校、引きこもりの子どもと親に対し、支援を提供してきたことは児童養護施設の社会的役割として特筆に値します。
3.研修ではCSPやCPIなどの子どもと親に対する関わりの実践的トレーニングを全職員が受けていること、海外研修への参加等研修に積極的に取り組んでいること。
4.小舎制養育研究会に所属し早くから施設の小規模化を目指してきたこと。
5.鹿児島県における児童養護施設の牽引的施設としての役割を果たしてきたこと。特に故上薗敏子前園長の時からの児童養護のコンセプトを継承し、発展させてきたことなど高く評価が出来ます。入所児童の平均年齢が15歳を越えているという施設の現状を踏まえ、大学や専門学校まで射程に入れた養育が目指されています。

◇課題と期待される点
一方、管理運営面におけるマニュアル等の不整備が散見されますが、この点について施設長から具体的な話を聞くことによって日常的な実践は怠ることなく連綿と遂行されていることが理解できました。しかしマニュアル文化に対する批判的な視点は理解できますが、今後の園の在り方を考えるとき、園の特性にマッチしたマニュアル作りは必要であると思います。マニュアルについては「南さつま子どもの家の生活の流れ」や「記録のとりかたについて」の文書など優れた独自のものを準備されているので、他の領域でも同様の既成のマニュアルとは異なった、南さつま子どもの家における独自のスタンダード版を準備されればよいのではと思います。
直接処遇職員の平均勤務年数が5年、平均年齢が31歳と若い職員が主流となっている現況で、南さつま子どもの家の子どもに対する関わりのポリシーの継承を望むためには忍耐強い丁寧な管理職・幹部職員の応対が不可欠です。民主的で自由な意見を闊達に表現し、実践できる若い力が漲る職場を創りあげていかれることを期待いたします。
また、中長期計画のなかで本年度より全面改築を実施し、来年4月からは完全小舎制となる予定になっています。さらに地域に分園型小規模グループケアやファミリーホーム開設なども将来構想に組み入れられています。ケアの単位の小規模化、ケアの継続、安心安全な生活保障という子どもを中心に据えた経営がなされていくだろうと思います。同時に鹿児島県の児童養護施設及び社会的養護の分野で牽引的役割を担っていかれることにも期待したいと思います。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 今回の評価結果を受けて、これまで園として長年取り組んできた特色を高く評価していただき大変嬉しく思います。
 課題と期待される点については、真摯に受け止め改善を図っていく必要があると考えます。また、各項目にあります改善が求められる点についても、前々より話し合いをしていた個人別のアルバムの整理や高校生の小遣いの扱い方などが挙げられており課題の再確認と同時に多くの気づきを得られましたので、これから職員一同質の向上に向けて研鑽を重ねていきたいと思います。
 ただ今回の評価基準の考え方と評価のポイントにおいて、曖昧な基準の質問による施設運営の質を評価することと、そこで生活する子ども達の生活と必ずしも一致しにくい等、両者の意にそぐわないと思われる箇所がありました。教えられるべき躾を受けていない状況にある子ども達が多い中での、自由・権利だけを優先することが、将来望むべき方向に進んでいくのか等も含めて、評価基準の見直しがこれからの課題であると思います。
 4月より完全小舎制となりますので、今後も丁寧に子ども達と向き合い、よりお互いが気持ちよく生活できるように取り組んで参ります。
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