【1】第三者評価機関名 | (社福)大阪府社会福祉協議会 |
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評価調査者研修修了番号 | SK15113 1601C029 |
【2】種別 | 児童養護施設 | 定員 | 148名 | |
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施設長氏名 | 中田 浩 | 所在地 | 大阪府 | |
URL | http://seikazoku.com/ | |||
開設年月日 | 1947年12月12日 | 経営法人・設置主体 | 聖家族の家 | |
職員数 | 常勤職員 | 57名 | 非常勤職員 | 12名 |
専門職員 | 社会福祉士 | 5名 | 保育士 | 26名 |
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社会福祉主事 | 18名 | 幼稚園教諭 | 16名 | |
臨床心理士 | 1名 | 栄養士 | 2名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 52室 | (イ)設備等 | |
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(ウ) | (エ) | |||
【3】理念・基本方針 | 入所する児童に対して、その保護者等と協力しながら、かつキリスト教精神に基づいて養育し、よき社会人に育成する事と、地域社会で必要とされる子育て支援に関する事業を行う。家庭的雰囲気と心のやすらぎを与えるようにし、児童の能力を十分に伸ばし、健全な育成とその人格形成に努める。 | |||
【4】施設の特徴的な取組 | ①男女混合縦割りのホーム制 4つの地域小規模と2つの分園型グループホームがあります。 それぞれ「生活の場」という意識を持ち、家庭的な雰囲気を大切にしています。 兄弟が同じホームで生活することができ、半数以上のホームでは住み込み職員が児童と起居をともにしています。 ②ケースワーカーの設置 昭和47年から進めています。 施設と保護者との継続的な関わりを持ち、親子のつながりを大切に見守ることができています。 ③プレイセラピーの実施 昭和47年から進めています。 情緒障がい児・不登校児・被虐待児などが増加している事に対して、プレイセラピーカウンセリング、発達検査、また職員のコンサルテーションまでサポートしています。 |
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【5】第三者評価の受審状況 | 2017年06月01日(契約日)~ 2017年12月26日(評価結果確定日) | |||
受審回数 | 1回 | 前回の受審時期 | 平成26年度 | |
【6】総評 | ◇施設の概要 昭和8年、フランスから派遣された愛徳姉妹会のシスターらによって始められたセツルメント事業を始源として、昭和22年に児童養護施設「聖家族の家」(以下、「当施設」という。)として開設されました。当施設は、早くから施設独自でケースワーカー職や心理職を導入し、子どもの養育・支援や保護者対応に丁寧に取り組んできています。現在、子どもたちは本体施設で9ホーム、地域小規模児童養護施設が4ホーム、小規模グループホームが2ホームの合計15ホームに分かれ、男女混合縦割り制(兄弟姉妹などの異年齢の男女の子どもたちが一緒に暮らすスタイル)を基本に生活しています。当施設は、大阪市の南部にある「長居公園」の近くにあり、道路を挟んで同法人の経営する乳児院があり、また子どもたちの通学する小・中学校も近くにあり、閑静な住宅地に位置しています。 ◇特に評価の高い点 地域とのつながりを重視した取り組み 日常的に地域住民への挨拶を子どもも職員も積極的に実施しています。また、食品や備品等の購入、様々な地域の社会資源の活用を図り、地域とのつながりを重視した取り組みがなされています。地域小規模児童養護施設等の開設時には、地域住民に丁寧な説明会を実施するほか、町会パトロール、ゴミ回収、子ども見守り隊に参加して地域の一員として活動が行われています。地域の子ども会への参加、町会の運動会への参加、施設職員が地域の青少年指導員や青少年福祉委員として地域活動に参加しています。また、施設のスペースを地域住民に開放したり、地域との合同災害訓練を実施し、施設と地域で相互の支援や協力を確認するなど「地域交流」と「地域支援」の取り組みは大いに評価できます。 保護者への関わり 当施設の保護者対応は、施設ケースワーカー(以下「家庭支援専門相談員」という。)が昭和47年度より配置され、施設の窓口としての役割を今日まで担ってきています。窓口を一本化することにより、情報の齟齬を未然に防ぎ、対応の一本化が保障できています。子どものことに関する相談や施設に対する意見などは、すべて窓口である家庭支援専門相談員の役割として定着しています。年に2回、児童養護施設の取り組みとして珍しい保護者会を開催し、施設のこれからの動向や食中毒などの情報提供、これからの行事予定等を伝えています。また、盆・正月の長期帰省時には、施設から子どもの生活の様子や特に職員が心がけていることなどを伝え、保護者からは帰省時の様子などの情報を得るための取り組みがなされています。入所時の事情によりすべての保護者に対して実施することは困難でも、関わることのできる保護者に対して、情報の提供をしながら共に子育てをするといったこのような取り組みは高く評価できます。 子どもの発達段階に応じた家庭的な食育の推進 各ホームにおいて、担当者と子どもが一緒に近隣のスーパーへ買い物に出かけ、週1、2回の食事作りやおやつ作りを実施する等、生活の自然な営みの中で調理技術等を習得できるよう取り組んでいます。また定期的に栄養士が各ホームを巡回し、子どもの生の声を聞きながら、調理を行う機会を設けている取り組みは高く評価できます。 主体性、自律性を尊重した日常生活の保障 「一人ひとりを大切に」という理念に基づき、日々の暮らしや行事等への参画等、子どもたち自身の主体性、自立性を尊重した関わりを意識して取り組んでいます。地域のスイミングスクール、柔道、合気道、体操教室、公文(英語)に通う等、一人ひとりの子どものニーズに応える工夫等が行われ、可能な限り子どもの希望に沿うよう、複数の習い事等もできる体制を整備していることは高く評価できます。 家庭復帰後の支援 大阪市東住吉区子育て支援室主催の要保護児童対策地域協議会個別ケース会議において、施設内の家庭支援専門相談員とホーム担当者が出席し、家庭復帰後の状況把握を行い、支援方法、関係機関の役割を明確にしています。記録の整備については、データ処理ソフトを活用しながら、効果的に個別のケース把握が行われていることは高く評価できます。 ◇改善が求められる点 自己評価の定期的な取り組み 施設のより良い運営や養育・支援の質の向上を目的に、三年に一度の第三者評価の受審と、受審しない年度については一定の評価基準に基づいた自己評価を実施することになっていますが、自己評価が未実施になっています。第三者評価の評価基準等を活用して、組織として自己評価を行い、評価結果を分析、検討して改善等に向けて計画的に取り組むことが求められます。 苦情対応への取り組み 苦情解決体制は整備され、第三者委員との連絡会も開催されていますが、苦情や意見等を拾い上げる仕組みが未整備です。苦情や意見は施設の養育・支援の質の向上を高めるための大切な財産として、子どもを始め保護者や関係機関、地域住民等を対象として受け入れる仕組みを構築することが求められます。即ち、意見箱を設置し活用したり、アンケート調査等を実施して把握し、対応することが求められます。受け付けた苦情や意見は記録するとともに改善に向けて取り組み、苦情申し出人に配慮しながら事業報告書やホームページに公表することが求められます。併せて、現在取り組んでいる苦情対応規程やマニュアルを職員に周知し、活用することも求められます。 プライバシー保護と子どもの権利擁護への取り組み 子どもへのプライバシー保護についての取り組みを整備するとともに、虐待等不適切な関わりの防止等、子どもの権利擁護に関する規程やマニュアルを整備することが求められます。具体的には子どものプライバシー保護に関する規程やマニュアルが未整備なので、マニュアルの策定が求められます。また、子どもの権利擁護・虐待防止対応規程は、目下、作成中なので、迅速に職員に周知、理解のための取り組みを行い、活用することが求められます。 被措置児童等虐待及び不適切な関わりへの厳正な処分等を行う体制の整備 大阪市の「被措置児童等虐待への対応マニュアル」をベースに、職員会議、ホーム会議等で体罰等の禁止の周知・徹底が図られ、第三者委員と定期的に連絡会を開催し、報告・助言を得る機会が設けられています。今後は就業規則等に体罰等の禁止を明記し、規程に基づいて厳正に処分等を行う体制の整備が求められます。また虐待までに至らない不適切なかかわりを想定した具体的な例も示し、厳正に処分を行うような仕組みの整備が求められます |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | 今回の受審のプロセスにおいて、全職員が個別に全項目の評価を行うことで、第三者評価の目的と全体像を理解することに努めました。 各職員の自己評価についての認識の違い等、細かい点の共通理解には及ばなかったかもしれませんが、受審結果を受けて、日常的な子ども達との関わりだけでなく、職場全体の組織、体制作りについての意識の向上を感じています。 特に改善を求められる点については、具体的に新しい取り組みを進めていき、より良い施設運営、養育の質の向上、更には、これからの状況の変化や多様なニーズに応え、柔軟に対応し、当施設のモットーの一つである「一人ひとりの違いを大切に」の具現化に努めていきたいと思います。 |