社会的養護施設第三者評価結果 検索

恵愛学園

【1】第三者評価機関名 (株)マスネットワーク
【2】種別 児童養護施設 定員 50人
施設長氏名 橋詰 邦男 所在地 長野県
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【3】実施調査日 2013年11月01日~2014年02月10日
【4】総評 【特に評価が高い点】
①園長・園長代理・主任・副主任クラスのリーダー層が施設をもっと良くしようとする意識が高い。自己評価一つをとっても甘い判断や解釈をすることなく、全ての項目で厳しい自己判断をすることで自分たちが何をしていかなくてはならないかを見つけようとしている。また他施設の先進的な取り組みや自分達の施設に不足している事項については貪欲に吸収し取り入れようとする積極的な姿勢も伺われる。

②最も力を入れていることは養育・食育・健康管理の3本柱であり、充実した内容となっている。養育では理念にもあるように「人間に生まれることは大いなる歓喜なり」(命を大切に思いやりの心(自愛の心)を育てる)を第一に考え、子ども達が将来良識のある社会人として活躍出来るよう健全育成に取り組んでいる。食育に関しては栄養士と調理師免許を持った調理員が一体となり質の高いおいしい食事を提供していることもあり、子ども達のアンケート調査結果からも特に不満もなく高い評価を得ている。健康管理面においても、県内の児童養護施設では唯一看護師を常勤で配置しており、年々増加する愛着障害・被虐待児童に対して医務面からも心身の発達を支援しているとともに、性教育においても心理職等とも協同しながら指導的役割を果たしている。

③地域との結びつきが良いことも特色として挙げることができる。施設は敗戦直後の昭和21年に創設され、約67年間この地区の住民とともに歩んできた歴史もあり、地区住民、近隣の学校・保育園、子ども育成会等とのかかわりは深く、この地域にとってはなくてはならない存在の施設としての役割を果たしている。しかし、この地帯一帯が土砂災害警戒区域内等にあり移転計画の話も出ているが、地域住民からはこの地区に残って欲しいとの要望や移転を惜しむ声があがっているほどであった。

【改善が求められる点】
①児童自立支援計画のアセスメントから始まる一連の流れと仕組みについて
 1)子ども・保護者や家族・地域の養育環境の3つの側面を考慮したアセスメントと支援内容のまとめ
 2)アセスメントからの長・中期及び短期の自立支援計画の策定
 3)自立支援計画に基づく支援の実施
 4)支援内容の評価(6か月以内が基本)と見直し
 この一連の流れの中で計画通りに支援が実施されているか、また新たな課題が発生していないかを常に把握し必要に応じて見直していくことが必要である。今回確認した中では、部門を横断した合議方法等の仕組みが確立されていないこと、ケース記録内容も自立支援計画にそったものになっていないので、今後必要に応じて外部の専門家によるスーパーバイズも取り入れた仕組みをつくることを望みたい。

②「職員資質向上への取り組みと連携について」
 ここ数年の間に職員の入れ替わりがあり経験年数の低い職員も多くなっている。若い職員も一生懸命子ども達のことを考えて取り組んでいる姿勢は伺えるが、子ども達に安心感を与える養育や支援をするには、様々な経験を積み重ねるとともに、研修会等に参加して自分自身の資質を高めなければ、子ども達と本当の意味での信頼関係を築くことは出来ません。職員が自己研鑚することは勿論のことであるが、施設としても職員一人一人の研修計画を作成する等資質向上に向けた取り組みが必要である。また、保育士・指導員・心理士・看護師・総務部(栄養士・調理員)の部門を横断した連携も必要である。1人の子どもに対して全ての職種が連携して関わることが必要であり、アセスメントの段階からかかわることが期待されていますので今後に期待したい。

③「基本的事項のマニュアルの整備について」
 虐待防止マニュアル、災害対策マニュアル、事故防止マニュアル、衛生管理マニュアル、感染症マニュアル、問題行動対応マニュアル等は充実しているが、反面個々の子ども達に直接支援を提供するための基本的な部分のマニュアルが不足している。マニュアルは全ての子ども達に対して画一的な取り組みを強要するためにあるのではなく、マニュアルにより一定の水準を保ったうえでそれぞれの子ども達に一定水準以上の支援を提供するためにある。今後、学習・進路、家庭支援等利用者に直接かかわる部分のマニュアルについては整備されることを望みたい。仕事に慣れず不安を抱いている新任職員にとってマニュアルは大きな支えとなり、早く一定水準に到達するうえでも有効な手段である。また、マニュアルには基本的なことが網羅されるので、事故防止の観点からも有効な手段となりうる。今後、施設で行っている内容を文書化しマニュアル化することを望みたい。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 今回、当園では平成22年度に次ぎ第2回目の第三者評価の受審となりました。前回の受審の際に指摘された「特に改善をする必要があると思う点」については、施設一丸となって取り組んできました。しかし、職員の異動と3年という時間の経過もあり、今回も新たな気持ちで受審をしました。 今年度は新任職員が7名おり、又、会議の折に触れ施設長・施設長代理より社会的養護の課題・責任・将来像等についての話しもあり、職員一同更なる施設の向上を目指し受審を受けました。
 「特に評価が高い点」は職員の大きな励みと自信に繋がり意欲の向上となりました。又、「改善が求められる点」については、自己評価の段階から職員も努力不足を感じており、外部評価においても指摘を受け、これも又、更なる良き意欲への向上となりました。
 今回の第三者評価者は、調査員に福祉施設の管理的立場の方もおられ、施設の立場に立って対応をして頂きました。当園の更なる向上を期待しての改善要求である事を幹部・職員は感じております。これを幹部・職員は真摯に受け止め、組織としての課題を明確にし、社会的養護が未来ある子どもたちの為に、最善の養育と支援を提供できるようにしていきたい決意を新にいたしました。
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