社会的養護施設第三者評価結果 検索

和泉幼児院

【1】第三者評価機関名 (社福)大阪府社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 S24174
SK15181



【2】種別 児童養護施設 定員 56名
施設長氏名 大橋 和弘 所在地 大阪府
URL http://www.nyuyouji.or.jp
開設年月日 1952年07月01日 経営法人・設置主体 和泉乳児院
職員数 常勤職員 42名 非常勤職員 4名
専門職員 保育士 29名 幼稚園教員免許 22名
社会福祉主事 8名 心理職 2名
社会福祉士 1名 栄養士 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 和泉幼児院は法人の理念として子ども中心の養育(家庭的養育)を揚げている。
その為に子どもの最善の利益の追求と権利を擁護する援助を行う。養育の目標として、子どもの自立支援と家族の再統合に取り組む。また、法人として地域への奉仕と社会貢献に努める。
基本方針においては特に乳児院・幼児院両施設の連携を強化する取り組みや食育の推進等に取り組んでいく事を明言している。
【4】施設の特徴的な取組 ①退所児童個人の大切な物、担当職員からのメッセージや写真などをタイムカプセル(宝箱)に入れ3年後に集まり宝箱を開けて当時を振り返る。(年度末退所児全員)
年1回の里帰り会 他施設へ措置変更した児童(小学1年~6年・中学3年・高校3年)を対象に行う。
同時にタイムカプセル(宝箱)の集まりを行っています。

②モンテッソーリ教育を基本に乳児は2歳児、幼児は3歳児を対象に乳児院、幼児院より専任の保育士による合同保育を行っています。

③学習・療育支援相談員を設置し、小学校の学習力の底上げと幼児の療育に力を入れています。
【5】第三者評価の受審状況 2016年06月06日(契約日)~ 2017年02月07日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成25年度
【6】総評 ◇施設の概要
 閑静な住宅地の中にありながら、鉄道2駅からの徒歩圏内にあり、高速道路や複数の幹線道路へのアクセスにも恵まれた環境に立地しています。
 歴史的には幼児までの養育・支援に特化してきましたが、建て替えを機に高齢児の養育・支援ニーズへの対応がなされるようになりました。それにより、同一の建物の中に併設されている乳児院からの継続と合わせ、新生児から成人前までの養育・支援の連続性の確保が実現しつつあります。また、早期より地域小規模児童養護施設を2か所設置して運営をしてきましたが、今年度より分園型小規模ケア施設も設置し、本体施設のオールユニットケアと合わせて家庭的な環境における養護を推進しています。

◇特に評価の高い点
養育・支援の内容を子どもにわかりやすく説明しようとする姿勢と子どもの権利保障への高い意識
 施設のパンフレットやホームページ等を通して施設の情報を広く提供するとともに、保護者等に対しても養育・支援の内容を資料とともに丁寧に説明するよう心がけていることが認められます。特に子どもに対しては、生活ユニットごとにそれぞれの特性に応じてわかりやすさに配慮した資料を用意し、養育・支援の内容について説明しています。またその資料には子どもの権利についても記載するとともに、「職員のお約束」と副題を記すことで職員が子どもに宣言する内容となっており、子どもの権利擁護への高い意識が伺えます。

地域の福祉ニーズへの積極的な対応
 施設創設時より民生・児童委員との交流が深く、地域の福祉ニーズの把握は従前より十分になされていると認められます。また、それらのニーズを受けて地域の子育て支援にも重点を置き、子育て支援事業の施設内外での受託、電話相談を含めた相談事業の実施などにより地域に対して貢献するとともに、地域のネットワーク形成に尽力しています。

乳幼児の養育を主眼とした取り組みの蓄積
 これまで、法人の歩みは、乳幼児の養育を主眼としてこられました。本施設は幼児を中心とした養育を展開されてきましたが、時代の要請は高校や大学年齢へと変化してきています。しかし、そんな中にあっても、これまで築いてこられた養育文化は息づいていると感じます。養育の基本は、高年齢児ではなく低年齢の子どもたちへの眼差しにあります。この視点で全児童に向き合おうとする施設運営に、養育の豊かな可能性を感じます。

個別ケアを目指した子どもたちの養育への取り組み
 4年前に本体施設の整備をされ、ユニット型に移行しました。この間、施設内小規模ケアや地域小規模児童養護施設(2カ所)等の取り組みを積極的に展開し、個別ケアを目指した子どもたちの養育への取り組みは、ハード・ソフトともに質の豊かさを感じます。

◇改善が求められる点
評価結果を分析し、改善計画を策定して組織的に改善に取り組むシステムの構築
 本評価において明確になった改善点の中で、比較的迅速に取り組める課題にはすぐに対応し、改善がなされています。ただ、評価結果を集約、分析した上で課題を明確にしていくというプロセスや方法が曖昧なため、一定の時間をかけて計画的に改善していくべき課題に対して職員間で十分な共有がなされていないと見受けられます。毎年の自主評価と合わせて、職員が参画して結果を分析した上で改善計画を策定し、計画的、組織的に改善していくためのシステムが構築され、実施されていくことが望まれます。

職員個々の育成に向けた取り組みの強化充実
 施設として「期待する職員像」を明確にし、個人面談等を通して職員一人ひとりの目標管理を行う仕組み作りが始動しています。しかし、組織として職員一人ひとりの育成に向けての目標や方針を明示するまでには至っておらず、よって職員個々の目標設定も曖昧になっていると見受けられます。職員の育成においてもPDCAサイクルを意識した取り組みが求められていますので、組織として必要な人材や資質を明示し、施設全体及び職員個々の教育・研修計画や総合的な人事管理に反映していくことが期待されます。

施設独自の職員養成の仕組みの充実
 ケア単位の分散は、マンパワーの確保だけでなく、職員資質の養成が必須です。施設独自の職員養成の仕組みを充実されることが望まれます。

高年齢児の受け入れを見据えた体制づくり
 近年、児童養護施設の利用は高年齢児(中学、高校、高校卒業生)が一定の割合を占めています。当然、今後はそうした児童の入所等依頼があると思われます。そうした高年齢児を見据えた取り組みの専門性を身につけていくことが早急に求められることから、幅広く適応性を備えた体制づくりが望まれます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  今回、2回目の調査受審として継続した的確な評価を頂き感謝申し上げます。和泉幼児院はこれまで幼児に限定した養育支援を行ってきた経過があり、今後中学生、高校生、高校卒業児童が増加していく中での課題がより明確になりました。また、今求められている小規模化や個別化等新たな支援のあり方を見据え、これまでの児童養護施設にはなかった施設養育を目指していきたいと思います。「養育の基本は、高年齢児ではなく低年齢の子どもたちへの眼差しにあります。」との言葉を胸に刻み歩みつづけます。
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