社会的養護施設第三者評価結果 検索

菜の花苑

【1】第三者評価機関名 (株)中部評価センター
評価調査者研修修了番号 25地福第2303-11号
SK18210



【2】種別 母子生活支援施設 定員 30世帯
施設長氏名 森野 高史 所在地 三重県
URL
開設年月日 1952年05月26日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 四日市厚生会
職員数 常勤職員 14名 非常勤職員 8名
有資格職員 精神保健福祉士 2名 社会福祉士 4名
保育士 6名 公認心理師 2名
臨床心理士 1名 教員 2名
施設設備の概要 (ア)居室数 30室 (イ)設備等 静養室・学習室・集会室等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 ★理念
社会福祉法第三条、第五条、第二十四条の理念、原則等をふまえ、四日市厚生会を運営する。

(福祉サービスの基本的理念)
第三条 福祉サービスは、個人の尊厳の保持を旨とし、その内容は福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され、又はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう支援するものとして、良質かつ適切なものでなければならない。

⇒安心・安全で健やかな環境を確保し、利用者のエンパワメントを引き出し、適切な運営に努める。

(福祉サービスの提供の原則)
第五条 社会福祉を目的とする事業を経営する者は、その提供する多様な福祉サービスについて、利用者の意向を十分に尊重し、かつ、保健医療サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図るよう創意工夫を行いつつ、これを総合的に提供することができるようにその事業の実施に努めなければならない。

⇒利用者の意思を尊重し、保健医療サービスその他の関連する機関と連携を密にする。

(経営の原則等)
第二十四条 社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない。

2 社会福祉法人は、社会福祉事業及び第二十六条第一項に規定する公益事業を行うに当たっては、日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない。

⇒保育・福祉サービスの質の向上、事業経営の透明性に努める。



★基本方針
(行動指針)
■人権の尊重
 ・児童や家庭の幸福の追求と健全育成
 ・虐待、暴力、貧困の連鎖を断つための取り組みの推進
■サービスの質の向上
 ・多様なニーズへの対応ができる体制づくり
 ・標準的支援の確実な実施と、職員の質の向上
■利用環境の整備と向上
 ・安心で安全な環境の向上と維持
 ・防災機能の整備と、実効性のある災害対策の体制づくり
■信頼と協力を得るための取り組みの推進
 ・法令等遵守と組織統治の確立
 ・地域の福祉課題に対する多様な機関との協働
【4】施設の特徴的な取組 ■安全委員会方式の導入(母子生活支援施設で実効性のある機能に変換して)
■野外体験活動(小学生に対し、里山で遊ぶことにより、自然の中で遊びを通して危険を予測し、回避する力や
助け合う力、達成感の偉大さを体験的に学び、社会で生きていく力を育みます)
■心理的支援(常勤の心理士を配置しています)
【5】第三者評価の受審状況 2020年07月09日(契約日)~ 2021年02月26日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
◆高い改善意識
 管理者が、過去3回の第三者評価受審の結果を分析している。そこから事業所の強みと弱点を洗い出し、課題を明確にして改善策に取り組んでいる。利用定員割れに関しては、幹部職員による福祉事務所廻りが計画されている。支援の質の向上と充実を図るため、「職員個別対応」から「チーム対応」へと支援方法の転換を図った。これにより職員の情報共有の確実性が増し、高い専門性の確保もチーム力でカバーすることが可能となった。

◆働きやすい職場の実現
 職員にとっての「働きやすい職場づくり」が完成度を増している。職員雇用は安定しており、有給休暇は「休暇伺簿」で、時間外勤務は「時間外勤務伺簿」を使って管理している。職位や職種による有給休暇の取得についての偏りはない。親の介護のために介護休暇をとる職員や、産休・育休の制度利用を予定している職員がいる。副苑長・主任による個別面談が、年に1~2回実施されており、職員の意見や要望が聞き取られている。

◆子どもの権利を守る
 安全委員会方式を導入し、不適切な関わりの防止から対応までを客観的な視点を持って取り組んでいる。また、CAPのプログラムを用いて、自他の権利や他者との接し方などを学ぶなど、課題のある子どもに対しての人権擁護を主軸に据えた支援が的確に実施されている。DV被害等で緊急に入所になった母子のために、「プレゼント」として当面の生活用品と非常食が用意されている。

◇改善を求められる点
◆PDCAサイクルの意識
 様々な活動や取組みが計画(P)に沿って進められている(D)が、PDCAサイクルの「C」(評価・検証)と「A」のプロセスが欠落しているものが散見された。例示すれば、毎年実施している自己評価に対して適切な分析が実施されず、事業所としての課題抽出につながっていない。また各種研修で得た知識や技術が、支援の現場で活用されたか否かを検証する仕組みがない。実習生の受入れに関しては、反省会(評価)の記録が残されていない、等々である。主要な取組みに際しては、PDCAサイクルを意識して取り組むことが望まれる。

◆生活の満足度の把握
 母親と子どもの意見や要望は、「むつみ会」や「子ども会」で意向聴取しているが、定期面談、アンケート調査、意見箱の設置などの取組みが無く、生活環境の充足感や支援に対する利用者モニターの機能が不十分である。支援の質を客観的に把握するためにも、喫緊の課題として取り組まれたい。

◆標準的な支援の文書化
 標準的な実施方法として、厚労省監修の「母子生活支援施設運営ハンドブック」を準用しているが、事業所状況に則した支援の手引きが必要である。これは支援の質の低下防止に加えリスクマネジメントの点からも重要なツールであり、実施状況を検証し、改善・見直しをしていくことにより支援の向上が可能となる。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  過去に受けた第三者評価や自己評価の結果から、施設の弱点を発見しつつも改善に取り組めていない実情がありました。今回ご指摘頂いたPDCAサイクルにおけるチェック体制や、利用者さんのニーズを知る意見箱の設置は、次年度の計画として加えていきたいです。働きやすい職場としては、高評価を受けていますが、長くいることで気の緩みや新しいことに消極的になったりすることのないよう、社会の変化に合わせて変革していける施設として、気持ち新たに励んでいきたいと思いました。
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