社会的養護施設第三者評価結果 検索

宝田寮

【1】第三者評価機関名 (社福)徳島県社会福祉協議会
【2】種別 児童養護施設 定員 50名
施設長氏名 八木 宏明 所在地 徳島県
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【3】実施調査日 2014年05月09日~2015年03月31日
【4】総評 ◆特に評価が高い点
 長年、児童を取り巻く社会情勢の変化に対応しながら、子どもたちの意向や個性を尊重した児童養護に取り組んでいる。開設当初からの理念を大切に捉えたうえで、子どもの生活・養育環境がより質の高いものとなるよう施設をユニット化するなど、家庭に近い環境整備を行っている。子どもたちが温かい人間関係のなか、ゆとりをもって生活することができるよう、小規模グループケアも取り入れており、社会的自立と自活に向けた施設機能と支援の強化を図っている。また、組織として、子どもに対する不適切な関わりの防止と他者への心遣いができる子どもを育成するため、職員はCSP(コモンセンスペアレンティング)などの技能獲得に積極的に取り組んでいる。子ども自身が自らの課題と向き合って目標を掲げ、実践のなかで挫折感と達成感の双方を感じながらも自分で解決することのできる能力を体得することができるよう、子ども一人ひとりの状態に応じた専門的な個別支援を行っていることは高く評価できる。

 成長過程にある子どもたちの心身の発達に対し、食事のもたらす影響や重要性を十分に認識したうえで、毎食の栄養摂取量と食事バランスを図表を用いて示したりするなどの工夫が見受けられる。さらに、食事に関する広報誌“おまたせビビンバ”を作成して施設内に掲示しており、毎月の食事の情報や家庭で昔から受け継がれてきた行事食の由来、人気のメニューなどに関する写真・記事を載せることで、楽しみながら幅広い知識を獲得することができるよう食育の支援に取り組んでいることは高く評価できる。

 自立支援計画への記録は、職員間で話し合ったことを担当者が記入し、ユニットリーダーが確認したうえで責任者が再確認を行っており、組織全体で共有化を図る仕組みが定着している。職員間の情報共有と業務効率の向上、自立支援計画等の記録の書き方の標準化等を図るため、イントラネットやグループウェアを導入し、独自のソフトウェアを用いるなどの具体的な取り組みを行っている。毎日の業務の引き継ぎやスケジュールの共有化、防犯対策にも効果的な仕組みとなっている。なお、インターネット環境を要する端末はスタンドアローンでの運用を行ったり、USB等の使用を禁止したりして、情報漏えいを含むセキュリティ管理体制を適切に整備している。このような施設機能の向上への先駆的な取り組みは、施設の行う支援の質の向上と効率化へと繋がっており高く評価できる。

◆改善が求められる点
 施設の掲げる養育支援の目標に基づく体制整備に努め、子ども一人ひとりにきめ細やかな養育・支援を行うために必要な人材を配置している。しかし、職員の勤務実績や公正な処遇判断、技能・能力水準の把握を客観的に行うまでには至っていない。今後は、中・長期計画において定めた将来的な施設のビジョンの達成に向けて求められる職員の技能水準を明確化し、それに基づく人材育成型の人事考課、もしくは勤務評価等に取り組まれたい。また、さらに質の高い支援と組織力を醸成させるべく、これら人事考課等で把握した職員一人ひとりの課題等を個別の教育・研修計画に反映させるなどの取り組みに期待する。

 子どもの安全確保の取り組みとして、事故防止必携を作成したり、定期的に避難訓練等を実施している。施設は人通りが少ない環境に立地しているため、塾やアルバイトで帰宅が遅くなる子どもや、登下校・外出時の安全確保には特段の注意を払っている。今後は、今以上に子どもの安全を保障するためにも、日頃から施設の避難訓練や地域行事等の機会を活用して地域の住民や消防団、警察署等との交流を深め、より密に地域と連携を深められるよう期待する。

 現在、施設では、理念や基本方針に基づく施設の将来的な10年間のビジョンを中・長期計画として示している。中・長期計画には、財政基盤の充実化や関係機関との連携に関すること、支援の充実と共有化、人材育成等に関することを掲げている。今後は、施設の抱える現在の課題と今後の目標等を中期と長期の視点で再整理するなどして、より具体的な改善計画として示されたい。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 この度、第三者評価を受審するにあたり、普段の施設での取り組みをありのまま見て頂きたいという思いで受けさせて頂きました。結果は全項目で思った以上の良い評価を頂いたと感じました。特に小規模での取り組みや食育、CSPの導入や自立支援への取り組みなどは高く評価して頂き、職員一同の励みになりました。また、改善すべき点についても具体的に挙げて頂き、現在の取り組みについて何が足りないのかという事を示して頂きました。今後はこの結果を真摯に受け止め、評価して頂いた点はなお一層励むとともに、改善点については職員間で十分吟味し、より良い処遇に結び付けていく事ができるよう職員全員で一丸となって取り組んで参りたいと存じます。
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