【4】総評 |
◇特に評価が高い点
○施設が子どもの安全基地となるよう、ハード面の工夫や個別支援を中心とした支援に努めている
小舎制のために建物を新築した際、居住空間は「木」の温もりが感じられるように床や腰板、家具等に木材を多用し、園庭にビオトープを用意すること等により、子どもが自然を感じながら日々生活できるように工夫している。また、家庭的な養護のために各家で生活ルールを微調整することを認め、余暇の自由度も高くしている。職員の関わりも、指導ではなく子どもの特性を考慮して見守る支援姿勢を重視することで、施設が子どもの安全基地として機能することを目指している。
○保護者会の開催や毎月の報告を通じて、保護者の理解を深める活動が継続されている
保護者を取り込み、養育の共同作業を進めるために、家庭通信や広報誌「くずはだより」等を通じて理念・方針と現状での到達水準を報告している。また、保護者会を開いて保護者と職員と子どもたちによる共同作業等を通じて相互理解を深めている。保護者会は40年以上にわたって継続して行われている。
○地域コミュニティを支える自覚のもと積極的な地域活動を行っている
地域の祭りに子どもたちが参加して地域文化を継承するなど、地域の行事に積極的に参加している。また、毎年「手打ちうどんと餅つきの集い」を開催して地域の人たちを招待している。事故・災害に対してAED訓練や起震車体験など、近隣住民に参加を呼びかけてともに体験し、防災倉庫に施設の敷地を提供する等の連携も進めている。
◇改善が求められる点
●独自のアセスメント方法を確立して自立支援計画書策定につなげることが望まれる
施設の養護目標の達成のために、身体の健康や学習、社会性等の生活の指標「8項目」が定められており、これらに基づいた独自のアセスメント方法確立に向けた検討がなされており、実現が期待される。また、アセスメント結果を子ども一人ひとりの自立支援計画書の支援目標につなげていくために、計画策定から見直しの一連のサイクルを明確に定めた上で、アセスメントの実施時期についても盛り込んでいくことが望まれる。
●性教育に対する具体的な取り組みの導入が期待される
性教育については、外部研修に職員を派遣する取り組み等を通じて具体的な手法や性教育導入の必要性について各職員の認識が高まっている。一方、施設として子どもにどのような性教育を展開していくかの方針が明確になっておらず、結果として性教育への取り組みが行われていない状況は改善が急務である。男女別あるいは年齢別、個別等、それぞれ具体的な性教育の手法や効果的な実施時期等を検討したうえで導入していくことが期待される。
●職員研修体系の整備と個人別育成計画の策定が課題となっている
施設では毎年、全職員と面接し、さらに職員アンケートを実施するなどして意向の把握に努めている。また、中期5ヶ年計画や「くずはの森養護ガイド」において人材育成を重点的な課題としている。今後の課題は人材育成に向けた研修体系を明示し、事業計画に位置付けて職員のキャリア形成の道筋を明らかにすることである。 |