社会的養護施設第三者評価結果 検索

栃木県那須学園

【1】第三者評価機関名 (特非)アスク
評価調査者研修修了番号 SK15024
T05013
T10001


【2】種別 児童自立支援施設 定員 22名
施設長氏名 藤原 崇夫 所在地 栃木県
URL http://www.pref.tochigi.lg.jp/e71/
開設年月日 1908年12月28日 経営法人・設置主体 栃木県
職員数 常勤職員 20名 非常勤職員 5名
専門職員 児童自立支援専門員 13名 心理士 2名
施設設備の概要 (ア)居室数 15室(3棟各5室) (イ)設備等 管理棟(学校施設を含む)、厨房・食堂棟、3寮棟、ゲストハウス(兼親子訓練棟)
(ウ) 体育館、グラウンド、プール、田畑 (エ)
【3】理念・基本方針 「児童福祉法」及び「児童憲章」「児童の権利に関する条約」の精神に基づき、『全ては子どもの最善の利益のために』を基本理念とする。
【4】施設の特徴的な取組 那須学園は自然環境に恵まれた田園地帯にあり、広大な敷地には施設の建物、田畑、グラウンド等が点在している。子どもは3つの寮に別れて生活を共にし、施設内に設置された中学校分校、小学校分教室に通って勉強に励んでいる。日常生活では、日課の繰り返しによって生活習慣や生活技術を身につけさせ、さらに、環境を利用した作業活動(草刈り、農作業)やスポーツの部活動、吹奏楽の部活動を通して、忍耐力や向上心が養われるように支援している。また、地域からの理解や協力も得られ、地域自治会との合同運動会は長年継続され、伝統行事の一つとなっている。
【5】第三者評価の受審状況 2017年06月27日(契約日)~ 2017年12月08日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
①専門職による心理的ケアの充実
寮に1名ずつ配置されている心理担当職員が、重篤な被虐待児や発達障害があり特別なケアを要する子どもに、自立支援計画に基づき個別面接を行い心理的なアプローチを行っている。心理担当職員は寮の職員に子どもに関する情報を伝え、日常生活での支援についてアドバイスを行っている。また、暴力などの課題を持つ子どもに対しては、「アンガー・マネジメント」の手法を用いて、自分の衝動性を理解してどのような行動をとればよいかを考える習慣を身につけさせる取り組みを始めている。さらに、性的な課題を有する子どもに「性加害治療プログラム」を利用して個別指導を行い成果を上げている。
 
②施設内に設置されている学校との連携
施設内に中学校の分校と小学校の分教室が設置され、中学生は学年別、小学生は複式学級で学んでいる。クラスは副担任も配置され、個別対応に近い環境で習熟度別の教育を受け、学習の習慣づけが弱かった子どもたちが、成績を伸ばすことができている。また、分校では子ども個々の生活や進路について目標を立てさせて、三者面談などを通じて、その目標の達成度を確認し合っている。特別な事情がない限り中学生には高校進学を推奨しており、分校の教師や前籍校、児童相談所などとも相談しながら、子どもの最善の利益に叶った進学先を決める支援をしている。施設にいくつかの部活動を設置し、分校の教師と施設の職員が協力して指導に当たっている。分校の教師は帰寮する子どもたちに同行して寮で一緒に昼食を摂っており、教師と施設職員が連携して子どもを育む姿が垣間見える。

③個人情報の厳重な管理と運用
施設の『個人情報適正管理マニュアル』には、責任者、管理方法、取り扱い基準が示され、個人情報が適切に管理されている。個人情報を施設外への持ち出すことは原則禁止されているが、外部での利用のためやむを得ず持ち出す場合は、事前に持ち出しの決裁を得ることと定められている。また、管理の確認徹底のため、個人情報の適正管理に関する点検シートが作成され、施設内で点検し、毎年栃木県へ提出している。2年に1回個人情報の管理についての監査も実施され、個人情報の厳重な管理がなされている。

◇改善を求められる点
①運営の透明性を確保するため情報を開示する取組の充実
本施設の設置根拠となっている『社会福祉法』において、その第75条で「社会福祉事業の経営者は、福祉サービスを利用しようとする者が、適切かつ円滑にこれを利用することができるように、その経営する社会福祉事業に関し情報の提供を行うよう努めなければならない」と定め、公費による支援を実施する主体としてその説明責任を果たし、経営の透明性を図る取組を求めている。また、支援を必要とする子どもや保護者、地域の理解を深めてもらうためにも情報の公表が重要である。全国的には、ホームページ等を活用して情報の開示を積極的に進めている児童自立支援施設も複数存在しており、今後、本施設においてもホームページ等を開設するなどして情報を開示する取組を積極的に進めていただきたい。

②支援の標準的実施方法の早期の整備
『支援の標準的実施方法』の確立は前回の第三者評価時から懸案事項であった。現在、主任を中心として作成班が組織され、施設独自の標準的な実施方法の作成に取り組み始めている。各寮それぞれの持ち味を活かしつつ、基本的な支援上の留意点や手法、職員間の支援内容の差異の解消などを目的とし、共通して必要な基礎的技術の統一を求めるツールとして『支援の標準的実施方法』の早期の整備が期待される。

③子どもが主体性を発揮する機会の充実
児童自立支援施設の「枠のある生活」の中では、子どもが支援の内容について主体的に選択できる範囲は限られる。日課の遂行にあたって当番制を敷いたり、新入の子どもに対する「世話係」を担当させたりして、苦労をしながらも責任を果たすことや協力し合うことの大切さを学ばせている。毎月の目標を立てるための話し合いを通じて子どもが自主的に発言できるように導いているが、「子ども会・自治会」のような組織はなく、子どもが主体的に生活課題を解決するための活動はほとんどできていない状態である。子どもが主体的・自主的に判断して生活を作り上げていくような機会を多くし、子どもの自立を促す支援を確立することが望まれる。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  平成26年度に続いて2回目の受審となりましたが、第1回の結果を受け、評価が低かった項目についてはこれまでの3年間で改善の努力を重ねてきました。今回の受審ではその成果が現れ、高い評価をいただくことができた項目がある一方、評価が上がらなかった項目もあり、改めて課題の多さが浮き彫りになったところです。
 今後とも「児童の最善の利益」のために高い品質の維持に努めるとともに、ご指摘のあった項目については職員一丸となって改善に努力し、より良い支援の実現を目指していきます。
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