社会的養護施設第三者評価結果 検索

下野三楽園

【1】第三者評価機関名 (特非)アスク
【2】種別 児童養護施設 定員 40名
施設長氏名 高久 哲 所在地 栃木県
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【3】実施調査日 2013年07月13日~2013年10月04日
【4】総評 ◇特に評価が高い点
★職員の養育・支援意欲が高く、職員間の連携が良い
 子ども達が6~7人の6つの小集団に分かれて生活していることや、一部住み込み勤務制を取っていることを背景に、職員は子どもとの密接で相互の信頼感がある関係作りと家庭的雰囲気の醸成に取り組んでいる。職員が子どもの様子を見て小まめに声かけをしたり子どもが職員に何かと話しかける場面や、子どもとの面接やアンケート結果からも、職員が子どもに真摯に向き合い良好な関係作りが推進されていることが窺える。職員もお互いに随時声を掛け合い、施設長や基幹的職員を中心に連絡・相談・決定・実行・検証というシステムが上手く機能している。各ユニット(施設では「居室」と表現している)の独立性が高いこともあり、職員は1日2回の申し送りだけでなく、生活場面で小まめに口頭や連絡メモで情報交換を行っている他、居室毎の連絡帳による伝達や各種会議等を利用しての情報提供や意見交換などにより、意識的に連携を強めるよう心掛け情報の共有化に努めている。

★住環境が整備され、子ども一人ひとりの自己領域が確保されている
 全ての建物が広い中庭を取り囲むように建てられており、屋根付きの通路で行き来できるようになっている。中庭は綺麗に芝が敷かれて子ども達の遊び場となっていて、それ以外にも敷地内に手入れされた広い空き地やバスケットコート・野球グランドがあり、雑木林が周りを囲む自然豊かな環境となっている。特に南館と東館の4つの居室は、生活スペースの廊下や部屋が広くて明るく、子どもが思い思いの場所で伸び伸びとして過ごしている。トイレは洗浄便座で、水道はいつでも温水が使えるようになっており、子ども達の部屋全てに床暖房が完備されているなど、快適な生活が送れるよう設計されている。部屋は中高生を中心に個室化が進められていて、子ども達が安心して落ち着いた生活ができる環境となっている。

★子どもの心身の健康管理が適切に行われている
 職員は、毎日の生活の中で、基本的生活習慣が身につき、自分で健康管理ができるようになることを目指して、子ども達の年齢に応じてきめ細かく関わっている。健康診断や予防接種は適切に実施され、子どもの健康状態を記録した保健日誌を毎月作成しており、医療機関受診については各診療科毎と個人毎に記録を集計して、子ども一人ひとりの疾病傾向や健康状態の把握を行い、健康管理の徹底を図っている。また、危機管理マニュアルの中には、負傷・急病の対応、食中毒への対応、感染症への対応などの項目が設けられ、傷病時の具体的な対応内容が盛り込まれている。怪我や発病時の医療機関への受診や職員配置の調整・保護者や関係機関等への連絡など、適時・適切な対応が取れるように職員にも周知徹底が図られている。

◇改善が求められる点
★養育・支援の標準的実施方法の整備が十分でない
 現在は「日課等についての規則」という形で明文化されたものはあるが、内容は限定的なものとなっている。標準的実施方法は、衣・食・住生活の全て、学習・進路支援・家族への取り組みなど養育支援の内容毎に、養育・支援に関わる全ての内容を盛り込み体系化して作成されることが求められる。子どもの生活の場が少人数にユニット化され職員の勤務が通勤によるシフト勤務と住み込み勤務という異なる勤務体制となっていることから見ても、養育・支援の統一性と一貫性を図るためのマニュアルは必要不可欠であり、今後早急にできるだけ多くの職員の参画を得て作成・明文化し、職員や子どもへの周知に取り組むことが望まれる。

★体罰・不適切な関わりの防止や被措置児童等虐待についての対応マニュアル
 が整備されていない
 体罰の禁止については就業規則に明文化されていて、職員への周知徹底を図っているが、体罰の具体的な内容や防止に関する取り組みが明文化されていない。また、職員は日常の養育・支援場面で不適切な関わりがないように努めているが、不適切な関わりの防止と早期発見及び被措置児童虐待の届出・通告制度についての対応マニュアルが未整備である。現在作成済みの危機管理マニュアルはかなり広い分野が含まれ充実した内容になってはいるが、この体罰や不適切な関わりの防止及び被措置児童等虐待対応に関する部分も危機管理の範疇であることから、今後早急にマニュアルを作成して職員への更なる周知徹底・実践を図ることが望まれる。

★職員の教育や研修体制が十分でない
 平成25年度研修計画として、20回の外部研修と2回の内部研修に職員が参加することが予定されていて、受講後は必要に応じて復命・報告がなされている。しかし、職員一人ひとりについての教育や研修についての計画はなく、研修後の評価・分析・養育支援への反映状況などが明確になっていないことや、職員の資質向上や支援内容に関する内部的な教育・研修などが十分行われていない現状がある。今後、職員一人ひとりについての教育・研修計画を作成し、職員の育成と養育・支援の質の向上に向けての取り組みを強化することが期待される。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
平成23年に定員40名の小規模ユニットに建て替え、新体制で2年を経過したところで今回初めて評価を受けました。
 第三者評価を受審することにより、施設の取り組むべき課題が明確となりました。日頃、努力していることが評価を受けましたが、まだまだ不十分ですので、今回、明確となった課題等を職員一体となって改善に向けて取り組むよう整備したいと思います。
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