社会的養護施設第三者評価結果 検索

アリスとテレス

【1】第三者評価機関名 (特非)アスク
【2】種別 児童養護施設 定員 36名(暫定17名)
施設長氏名 山崎 正志 所在地 栃木県
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【3】実施調査日 2014年08月20日~2015年03月05日
【4】総評 ◇特に評価が高い点
○子どもの入所時の丁寧で適切な対応
 子どもの入所前には、職員が必ず子どもと会って施設の生活の様子を伝えて不安解消に努め、その後子ども(保護者も含め)に施設に見学に来てもらい十分な理解と納得をしてもらうようにしている。入所する時には、担当職員が入所のしおり(子ども用と保護者用の2種類)とパンフレットを渡して、施設の生活日課や決まり事などを丁寧に説明している。また、入所後子どもの好みの衣類や日用品等を購入するため担当職員と子どもが一緒に出かけるなど、できるだけ一対一の親密な関わりを行っている。子どもの入所に当たって、分離不安の解消とお互いの理解を深めるための、こうした様々な取り組みと丁寧で適切な対応は評価に値する。
○職員の手作りによる家庭的な食事の提供
 食事は、栄養士が作成した献立に基づいて各棟で職員が三食とも調理をしており、子どもの嗜好に合わせ味付けを変えるなど柔軟に対応している。日常生活の中で職員が食事を作る時の匂いや音を子どもたちは自然に感じることができ、食事も少人数でゆっくりと会話をしながら食べている。幼児棟では、出来るだけ子どもと一緒に過ごす時間を作りたいという職員の考えから、子どもが幼稚園に行っている時間帯に食事の下ごしらえをするなどの工夫をしている。子どもたちが遊んでいる傍で職員が調理をしているという家庭的な雰囲気は、子どもたちの食への関心を深める良い機会にもなっている。
○子どもへの熱意ある養育支援の取り組みと子どもの意向を尊重した対応
 職員は年齢も若く経験年数も少ない職員が多いが、養育・支援に関する資質レベルは高く、子どもに寄り添い一人ひとりと向き合いながら、一生懸命熱意を持って日々の養育支援に取り組んでいる。また、子どもの意向を尊重し安心安全な生活ができるよう意欲的に支援に当たっている。一方、現状ではまだ十分でないと認識もしており、職員間で検証しながら更なる充実に向けて取り組んでいる。

◇改善が求められる点
○理念・基本方針の見直しと中・長期的ビジョンの策定
 理念、基本方針については、子どもたちの幸せを願う思いは感じられるが、施設の目指す方向や考え方が読み取りづらい。また、子どもの権利擁護の推進という視点も盛り込まれていないので、理念の見直し、あるいは基本方針の中に権利擁護についての考え方を含めるとともに、施設外の人にも理念の考え方が理解しやすいように説明を加える必要がある。また、開設後間もないこともあり中・長期的な計画は作成されていない。理念・基本方針の実現に向けて、施設の将来像と重要課題である施設運営の基盤整備(業務分担、会議組織、研修体系、各種マニュアルの見直し・整備など)の年度展開を明確にした中・長期的ビジョンの策定が求められる。    
○あるべき姿の実現に向けて施設長の強いリーダーシップの発揮
 施設長は組織全体をリードする立場として、自らの役割と責任について文書化し職員に対し会議等の場で方針を表明することが必要である。また、施設が社会的役割を果たしていくためには、基本的な関連法令や施設としての倫理を踏まえて事業を進める必要があり、施設長自らが法令順守の観点での施設運営に関する研修等へ参加し、順守すべき法令等について職員へ周知する取り組みが求められる。さらに養育・支援の質の向上及び業務の効率化と改善に向けて指導力の発揮が必要である。しかし、現状はいずれの点においても取組が不十分な点が見受けられるので、重要課題である施設運営の基盤整備も含め、あるべき姿の実現に向けて施設長の強いリーダーシップ発揮が望まれる。
○職員一人ひとりについての教育・研修計画の策定
 平成26年度の研修計画は研修項目別・職務職種別に作成されているが、職員一人ひとりについて、取得している資格やこれまでの研修の履歴を一覧とし、それを見て今後の教育・研修計画を立案するようにはなっていない。今後は職員一人ひとりの研修履歴や経験年数、本人の希望を考慮した研修計画を作成し、研修受講後には成果の評価・見直しを行って次の研修計画に反映していくことが望まれる。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 開設して3年目を迎え、第三者評価を受けることになりました。
 施設として子どもたちへの関わりも手探りで来たところなので、設問の回答や頂いた評価にも戸惑いや新たな気付きがあり、新設の児童養護施設としての取り組みが問われた受審でした。
 今般の評価を受け、マニュアルや仕組みの整備と周知徹底は言うまでもなく、職員全員が子どもの最善の利益、子どもの権利擁護とは何かを考えながら日々努力していきたいと思います。
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