社会的養護施設第三者評価結果 検索

栃木県那須学園

【1】第三者評価機関名 (特非)アスク
【2】種別 児童自立支援施設 定員 60名(2014年度暫定定員26名)
施設長氏名 田仲 輝男 所在地 栃木県
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【3】実施調査日 2014年07月22日~2015年02月06日
【4】総評 ◇特に評価が高い点
○子どもと職員の信頼関係の構築によるきめ細かな生活指導
 子どもと職員の個人的なやりとりや面談等での交流を重ねることで、子どもは職員がいつも自分に関心を持ってくれているとの安心感を持ち、互いの信頼関係が築かれている。子どもが自分の課題に向き合うために日記指導に取り組んでおり、毎日子どもにその日の出来事や感想、反省点などを書かせて、職員が一人ずつにコメントを返している。日記に文章で自分の思いや考えを記述することを毎日繰り返すことによって、表現力を学び、言葉で考えをまとめる思考力を獲得し、自分の内面と向き合う力をつけることを目指しており、高く評価できる取り組みである。

○地域との良好な関係に支えられた施設運営と実習先の確保
 那須学園設立から長い歴史の中で地域との自然な交流が生まれ、毎年5月下旬に行われている沢地区との合同運動会は30年以上続いている。子ども達は地区の住民に可愛がられ、競技では期待されながら毎年楽しいひと時を共に過ごしている。地域の花壇整備、水棲生物の観察など一緒に活動を行っているほか、地域貢献の一環としてグランドや体育館の地域への貸し出しも行っている。また、地域との良好な関係を基盤に、中卒生の実習先として園芸農家や食堂、自動車整備工場、老人ホームなどを確保し、多様な実習や実地の経験を積ませることが出来ている。

○自己評価の継続による、施設運営や支援の質の向上に向けた組織的な取り組み
 平成24年度より、職員全員が参画して第三者評価基準項目に基づく自己評価に組織的に取り組み、自分たちの施設の強みや課題が明確となり、施設運営の改善や支援の質の向上につながっている。各種のマニュアルの整備や自立支援計画票の見直し等、具体的な成果が得られている。自己評価結果は第三者委員の会合でも報告するなど、施設運営や児童処遇に関する意見交換の材料としても活用されている。

◇改善が求められる点
○日常生活において子どもの主体性が発揮できる環境の整備
 在園2年程度の短期間で子どもたちに規則正しい生活リズムや生活習慣、生活技術を獲得させるために日常生活は日課の遂行を重視しており、職員には監視・監督者としての行動が強く現れがちである。子どもと職員が共に生活する者同士という関係づくりや、子どものよき理解者という関わりの構築のために一層の努力が必要である。各種の行事を通して子どもの主体性が発揮される機会があるものの、子どもの自治会活動などはなく、子どもたちが日常生活について意見を出し合って物事を決める場面は少ない。子どもの自主性をできるだけ尊重し主体性が発揮できる生活や運営を工夫し実施していくことが望まれる。

○支援の具体的な項目ごとの標準的な実施方法の明文化、検証と見直しの強化
 標準的な実施方法の文書化、定期的な検証、見直しという点では、業務マニュアルとして『職員必携集』がまとめられているものの、具体的な場面ごとの子どもへの支援方法については、寮ごとにやり方を変えている面もあり、基本事項として文書化はされていない。今後は、食生活、行動上の問題への対応、学習・進路指導、作業など、支援の具体的な項目ごとに標準的な実施方法を明文化し、基本事項として確認して『職員必携集』に加え、検証と見直しを組織的に実施する取り組みの強化が期待される。

○ヒヤリ・ハット事例の収集によるリスクマネジメントの強化
 無断外出や施設内でのケガ等について『事故報告書』を記録するとともに、会議等で情報共有し再発防止対策を講じているものの、ヒヤリ・ハット事例など、重大な事故や被害に直結しかねない一歩手前の事例を積極的に発見し、収集する取り組みは行っていない。職員のリスクに対する意識を高めるために報告書式を整備して積極的に事例を収集し、学園全体で定期的に情報を共有し、要因・傾向分析や対応策の検討を行う仕組みづくりが望まれる。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 平成24年度から、全職員が参加し自己評価を実施してきました。また、全児童からの生活アンケートもとり、業務改善を行ってきたところです。しかし、閉鎖的、独善的になりがちな施設のため、第三者評価による業務全体の見直しが必要と考えていました。今回の受審により、高く評価された点は今後も継続し、改善が求められた点については「児童の最善の利益」のために早急に改善に着手いたします。
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