社会的養護施設第三者評価結果 検索

氏家養護園

【1】第三者評価機関名 (特非)アスク
【2】種別 児童養護施設 定員 52名
施設長氏名 大谷 順一 所在地 栃木県
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【3】実施調査日 2014年05月10日~2014年10月08日
【4】総評 ◇特に評価が高い点
(1)子どもの自主性・主体性を尊重した養育
 施設の基本方針として子どもの毎日の生活の仕方や子ども間の関係作りなどについては、年齢や発達段階に応じて子どもたち自身が自分の力で判断して行動することを目指しており、生活上のルール等はできるだけ少なくしている。職員は日常生活面では指示的・制止的な言い方は避け、子どもの気付きを待つ接し方を心掛け、子どもに寄り添い言い分を良く聞いて根気強い関わりをしていることで、子どもと職員の信頼関係が作られている。特に、高校生が生活する地域小規模児童養護施設では、社会的ルールや学校規則を守ること、一緒に生活している仲間や近所に迷惑をかけないことを原則としていて、それ以外は自分の判断で行動しその責任は自分で負うという方針にしていて、ほとんど決め事を作らないようにして運営している。
(2)学習・進学・進路支援体制の充実
 中学生以上は原則個室としており、自己学習に取り組む環境を確保している。また、学生による学習ボランティアを受け入れているほか、中学生以上で希望する子は学習塾に通っている。中学卒業に当たっては、子どもたちに対してできるだけ高校に進学することを勧めていて、現在、子どもたちは、県立高校・私立高校・特別支援学校高等部に通学している。東北本線氏家駅近くに高校生を対象とした二つの地域小規模児童養護施設を設置したことで、かなり遠くの高校まで通学することが可能となり、昨年度は一人も高校を中退せず卒業し就職につなげることができている。大学等への進学を希望する子どもには、法人として「大学等進学助成基金」を設けて学費等の助成を行い、できるだけ大学等への進学が実現できるよう支援している。高校からの許可が得られた子どもは、施設近隣のスーパーマーケットやファミリーレストランでアルバイトをして、将来の自立資金や進学資金の確保に努めている。
(3)職員に対する研修の充実
 事業計画書等には、職員の資質向上のための自己研鑽・相互研鑽の必要性が掲げられており、全職員を対象とした年間研修計画書が作成されている。法人や施設単独の研修、全国児童養護施設協議会(全養協)・全養協関東ブロック・栃木県児童養護施設等連絡協議会主催の研修、その他の養育・支援に関する様々な研修に、職員の経験年数や職種、また職員一人一人の養育に関する知識やスキルの習得状況を勘案して研修計画を立て、毎年多くの職員を参加させている。研修終了後の復命書には受講した職員の感想・意見等を必ず書くことを求め、会議等の場で他の職員に対する伝達研修も実施するなど、職員の資質向上と養育・支援の質の充実に向けて取り組みが行われている。

◇改善が求められる点
(1)地域資源としての施設の事業の展開
 施設の向かいには南小学校があり、南小学校学童保育センターも近く、別法人が運営する保育所が2年前に隣地に開設するなど、施設が立地するのは子育て支援の環境整備が進んでいるエリアである。施設長が講演会の講師を務めることがあっても、施設として、例えば地域住民を対象とした子育て支援のための相談機関のような活動はしていない。施設が有する専門性を生かして、思春期の子どもの育ちや親子関係についての相談に応じることはできると思われるので、今後、施設が持つ機能を地域に役立てる方策を検討していただきたい。
(2)改善に向けた取り組みの定着とマニュアルの整備
 4年前に第三者評価を実施し、それを受けていくつかの改善を図っており、平成24年度からは、毎年職員が参加して自己評価を実施している。しかしながら、自己評価を実施した後はグループ同士で意見を出し合い、評点等の見直しをしているものの、自己評価から課題を抽出し、改善計画を立案して改善に向けた取り組みを進めるまでには至っていない。第三者評価実施後は直ちに結果の分析を行い、改善計画を立てて実施に移す取り組みが求められ、また、そのような第三者評価・自己評価・改善への取り組みに関する一連の流れ、責任部署等を文書化しておくことが望まれる。さらに、運営管理や養育・支援に関するさまざまなマニュアルが未整備であったり、不十分であるので、手続きの流れや注意事項を文書化するとともに、各マニュアルの見直しについての規程等を整備することが望まれる。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
今回第三者評価を受審し、改めて評価される点と改善を要する点が明確になり、今後の目標となりました。「家庭的養護」を標榜しながら施設の地域化・社会化を目指していく難しさはありますが、今回ご指導いただいた地域資源としての施設の事業展開は、今後の重要課題として捉え検討していくつもりです。それがひいては“子どもの最善の利益”につながるのですから…。
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