社会的養護施設第三者評価結果 検索

かのや乳児院

【1】第三者評価機関名 (公社)鹿児島県社会福祉士会
評価調査者研修修了番号 S15081
S24496



【2】種別 乳児院 定員 15名
施設長氏名 躯川 勝 所在地 鹿児島県
URL http://www.kanoya-nyujiin.jp/
開設年月日 1973年10月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人潤心会
職員数 常勤職員 23名 非常勤職員 1名
専門職員 看護師 4名 家庭支援専門員 1名
保育士 9名 心理療法担当職員 1名
栄養士 2名 里親支援専門員 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 1室 (イ)設備等 新生児用・虚弱児用各1室
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 基本理念
 社会福祉法人潤心会の名のとおり、「潤いある心を以って、潤いある心を持った子に育てよう」と定めている。子どもや家族に日常的に接する施設職員の心身が健康であってこそ、より良いケアができると考える。

運営方針(施設の基本方針)
  (乳児の画で3種類:けらけら、ごくごく・もぐもぐ、すーすー)
・当院の基本方針は、日本初と思われる「画のみ」である。
・乳児院に入所してくる子どもたちは、胎児期~新生児期~幼児期とそれぞれの段階で家族の何らかの事情により、図(乳児の3つの画)のような「普通の生活や体験」を阻害されてきた経緯があるケースも少なくないため、安心・安全・安定な生活環境やケアを保障するという意味を持たせている。
【4】施設の特徴的な取組 ・「社会的養護の課題と将来像」や「新しい社会的養育ビジョン」等で示された家庭(的)養護の優先という方針よりもずっと以前から、里親委託や里親支援に関しては、県全体を牽引してきたという自負を施設として持っている。

・乳児院からの家庭引き取り率に関しては「被虐待児童」「保護者の精神疾患」の増加等によって、全国的にも5割を割り込んでいる状況であるが、当乳児院では家庭支援・地域連携を最も重視していることから、児童相談所、要保護児童対策地域協議会との密接な連携により7割を超える子どもを家庭又は里親家庭につなげている。厚生労働省のブックレット(親子関係再構築支援・実践ガイドブック)にも取り上げられている。

・子どもの生い立ちを整理し、巣立っていく子どもたちへの自己肯定感の醸成という意味合いからも、全国的にも早い段階で育てアルバム(育ちノート)やtelling絵本(生い立ちや境遇を乳幼児が理解出来るように工夫した絵本)などを導入し全国研修会で発表したことから、他府県からの見学や問合せが多くなっている。
【5】第三者評価の受審状況 2017年09月10日(契約日)~ 2018年04月08日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
・養育・支援にかかる細やかな配慮
法人名の潤心会のとおり「潤いある心を以て、潤いある心を持った子に育てよう」との法人の理念や、基本方針で掲げる乳児の安心・安全・安定な生活環境やケアの保障を実現すべく、施設のハード面からソフト面に至るまで細やかな配慮がなされています。

・乳幼児受入の対応
乳幼児受け入れに際しては、急な委託要請等の場合、離島を含む遠隔地でも乳幼児の健康状態等の確認のため看護師等の専門家が出張したり、乳幼児の心身の安全を第一にした対応をとっています。

・親子関係の再構築支援と里親支援
 平成21年度から18組の里親とのマッチングを行うとともに、未委託里親への体験の場を提供しています。
特別養子縁組里親や養育里親への措置変更が2割、家庭引き取りが半数を超える実績があり、家庭に代わる里親委託推進と親子関係の再構築に積極的に取り組んでいます。

◇改善を求められる点
・中・長期事業計画、収支計画の策定と保護者等への周知
「家庭養護推進計画の中で、中・長期的な事業計画・方針を明らかにしていますが、「社会的養育ビジョン」を考慮した新しい事業計画等策定の際には、ハード・ソフト面における施設の中・長期事業計画、収支計画を策定されることを期待します。
 また、保護者等に対して、策定した施設の単年度、中・長期の事業計画等について、分かりやすい資料を配布の上、説明、周知が図られることを望みます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント ◆26年度に続いて、今回29年度は2回目の受審となった。
前回のコメントに「受審して本当に良かった。もう少し早く受けてみれば良かった。」「次の受審の時までに自分達がどれほど変われるだろうかと楽しみでもある。」と書いた。今回の評価者2名の先生方のうちのお一人は前回にも来ていただいた方であり、この3年間で当院がどう変わったのか、どの部分が伸びて、何がまだ足りていないのかなどを特に感じていただけたかと思っている。
この3年の間に児童福祉法改正と新ビジョンの発表など、私たち乳児院職員と入所児童やその家族、地域を取り巻く状況や環境にも変化があった。しかし、私たちの取り組みや目指すもの自体は揺らぐものではなく、これまでもそしてこれからも少しずつマイナーチェンジしながら、確実な歩みを続けていくことこそ大切だと考えている。
乳児院が主軸としている「家庭支援」「次につなげるLSW(ライフストーリーワーク)」「里親とのパートナーシップ」に関しては、決して自己満足だけではないレベルに達しているという自負もあり、現に外部への発信も着実に進んでいる。今回の評価においてもその点は認めていただけたようで、職員一同これからもブレずに邁進していこうとあらためて思ったところである。
受審で見えてきた当院の弱い部分は大きく分けて4つあった。
①職員への発信不足・・・に関しては、研修には多く参加させているものの期待される職員像や職員一人ひとりのニーズを把握するまでには至っていない。
②地域とのかかわり・・・に関しては、入所児童・家族の個人情報や入所理由のことなどもあり積極的な展開ができていない。
③「子どものため」という意識が強過ぎるのか、少し一方的な発信になっている・・・に関しては、関係機関との連携等は確実に行えているもののやはり乳児院(子ども)>保護者と言う図式になりがちである。
④子ども達のミルク・食事や排せつに関する不十分さ・・・に関しては、職員配置や勤務時間等の課題はあるものの善処するきっかけにはなる、と考える。

評価項目の改変により次の受審もまた楽しみではあるが、今回の結果に慢心することなく、職員がより一丸となって一項目ずつでも改善していきたい。いろいろと気付かせていただき、本当にありがとうございました。
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