社会的養護施設第三者評価結果 検索

宮崎県立みやざき学園

【1】第三者評価機関名 (一社)宮崎県社会福祉士会
評価調査者研修修了番号 SK18291
2016-17
2017-5


【2】種別 児童自立支援施設 定員 15名
施設長氏名 唐仁原 博 所在地 宮崎県
URL
開設年月日 1915年04月01日 経営法人・設置主体 宮崎県
職員数 常勤職員 15名 非常勤職員 10名
有資格職員 社会福祉士 5名 調理師 2名
栄養士 1名 教育職 2名
施設設備の概要 (ア)居室数 15室 (イ)設備等 管理棟、特別教室棟、小規模グループケア棟、食堂棟、体育館
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 本学園は、職員が児童と起居をともにし、「生活」「学習」「作業」を児童指導の柱として位置づけ、児童が愛情深い人・尊敬される人・信頼される人として成長するよう(学園訓の「愛・敬・信」)、施設内学校である都城市立白雲小・中学校と一体となって、保護者、児童相談所及び出身学校等とも連携を図りながら支援していく。
【4】施設の特徴的な取組 県内唯一の児童自立支援施設として、職員が児童と日常生活を共にしながら、児童の権利擁護に細心の注意を払いつつ、生活及び、作業、学習指導等を通して、児童の自立を支援する。
近年、児童の特性は多様化し、その特性と生活歴からもたらされる問題行動に対処するために、個々の児童に応じた処遇の提供と、職員全体によるチーム指導を行う。
【5】第三者評価の受審状況 2020年09月01日(契約日)~ 2021年03月23日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 〇特に評価の高い点
・理念や基本方針は明文化され職員へ周知・理解が図られています。また保護者にもパンフレット配布時に説明されています。施設環境の変化等にも国立武蔵野学院研修会等に参加され、全国の状況や国の施策等についても情報収集や意見交換がされています。
園長は責任を明確にされており自ら積極的に役割を果たすことに努め、職員に対してメッセージを発信しています。遵守すべき法令等の研修に参加され、児童自立支援のための基本的なルールやあり方について研鑽され職員へ周知されたり、学校内の各種会議、企画会、運営委員会、職員会議等に参加して、支援の質の向上を図る視点での意見を積極的に述べています。
運営の透明性は会計課、監査事務局による監査、福祉部門による法人指導監査が定期的に実施され、運営方針から会計指導まで適正な運営のための取り組みがおこなわれています。地域貢献においても地域内の認定こども園、隣接する特別養護老人ホームとの交流を行ったり、学園内で児童と共に作った野菜を収穫して販売したり、地区内の行事に体育館を貸し出しされています。関係機関との連携においても児童相談所、原籍校との連絡は随時おこなわれており、配慮を要する児童に関しては連絡を密にして支援の質の向上を図られています。

・施設の理念や基本方針、取り組みや特性など紹介したパンフレットや入園のしおりが準備され、子どもにも生活のしおりが準備されており入園後の生活や作業、学習等に関して解りやすく希望があれば入園前に見学もできる体制が整っています。
リスクマネジメントや感染症に関するマニュアルも整備されており職員へ周知されています。リスクマネジメントにおいてはリスク対応マニュアルやヒヤリハットが作成されており、事故発生した際の情報を収集し全職員で改善策や再発防止の検討や事故防止に関する研修も行われています。感染症に関して定期的な勉強会の開催や厚生労働省や保健所等から感染症マニュアルの変更等の通知や衛生環境研究所から毎週感染症の流行等の情報が届いた際は、全職員へメールを配信し回覧をして周知を図っています。
支援の実施は自立支援業務マニュアルをもとに自立支援計画作成・評価がされています。またマニュアルの中に権利擁護やプライバシー保護に関する姿勢についても明示され計画に基づいた支援が提供されています。1ヶ月・3ヶ月で検証・見直しがされるなど定期的におこなわれ寮会で確認するなど周知徹底され、1ヶ月ごとに支援状況や方法、それに対応した子どもの状況は児童相談所へ報告されています。

・子どもへの関わりは、寮会等で具体的な例を示して全職員へ不適切なかかわりが行われないことの確認がされており、不適切なかかわりがあった場合の対応方法なども自立支援業務マニュアルに子どもへの接し方について明記されています。また主体性や自立性を尊重した取り組みとして、日々の生活をよくしていくための方法や行事、余暇活動の企画の話し合いに子どもも関わり、生活全般についても宿直職員が毎日面接を行い子どもの意向や気持ちに配慮しつつ、生活習慣や生活技術の取得等、自立に向けた支援が行われています。
支援の基本として、子どもの協調性や社会のルールを尊重する気持ちを育てるため、園での共同生活を通して生活のルールが必然的に習得できるように支援されており職員も子どもの模範になるよう毅然とした態度で接しています。
食事は嗜好調査が実施され、アレルギーを持つ子どもには除去食が提供されています。子どもが配膳、下膳、食器洗い、片付けを通して食事の大切さを学び食育につながっており園内でできた野菜が提供され食べる楽しみにつながっています。
親子関係の再構築においては、親にも園での生活がわかるように生活のしおりが配布され子どもの生活がわかるような取り組みがされており、入園前に親からのアセスメントで把握した状況に合わせ親子関係の再構築支援ができています。また帰宅支援では児童相談所とも連携しながら支援をされています。

〇改善を求められる点
・中長期的な計画は国の指針に沿って中長期計画が策定されていますが、経営課題や問題点の解決・改善に向けた具体的な計画が示さていません。また実施状況の評価も行えていない状況です。具体的な課題や取り組み、評価などについては、園単体での中長期計画策定委員会などを設置していくことも必要と思いますので、県本庁と検討されることを期待します。
・組織的にPDCAサイクルにもとづく支援の質の向上に関する取り組みが行われておらず、評価結果を分析する場もないなど、質の向上に向けた取り組みとしての体制が不足しています。次年度以降は園長が意識的に取り組みたい課題の一つであると話されているので期待したいです。
・配慮した職員体制を整えようとされていますが、長期の休職者等が発生した場合に厳しい状況のようです。副園長を中心に人員配置の管理調整をされていますが、人員に余裕がないため年休取得等が難しい場面も多々あり職員の心身の健康の確保については不安があります。園長からも早々に解決したい課題であると言われていますので、県本庁との検討に期待します。
・ボランティア受け入れは明文化されていますが、施設の特性上、受け入れが難しい場面も多く対応できていません。今後は学習ボランティア等の専門職ボランティアについては施設の特性を理解したうえでの活動受け入れについて園長も考えられていますので期待します。
・自立支援実施要綱の「一人ひとりの権利擁護」に明示されており、個々の支援も個別計画書を作成し定期的に状況把握、評価を行うなど子どもの尊重や基本的人権への配慮した支援がされていますが、子どもを尊重した支援の実施に関する倫理要綱の策定がなく、基本的人権への配慮に関する勉強会、研修が実施されていません。より良い支援を行うためにも倫理要綱の作成や勉強会、研修の実施を望みます。
・苦情解決に対する人員が配置されておらず、苦情に関する掲示物も確認できませんでした。また苦情アンケートも実施されておらず、苦情検討や内容、対応策や解決策もありません。苦情解決は早期対応が大切ですので職員・担当者を明確にし対応されることを期待します。
・子どものプライバシー関するマニュアルが規定されており、個人情報を扱う際もパスワードを必要とするなど厳重な管理がされ、新人職員に対しては年度始めに実施して子どものプライバシーの扱いに関して周知されていますが、プライバシー保護に関する取り組みを子どもや保護者へ周知されていません。子どもや保護者へもプライバシー保護の扱いについて周知されることを期待します。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  第三者評価も今回で4回目となりますが、前回と今回を比較しますと、特に自立支援計画の評価結果についての改善点の議論が不十分であると指摘され、前回より評価を落としたことはしっかりと受け止め、早急に改善しないといけない課題だと考えております。
 また、施設経営や業務効率化と改善、働きやすい職場環境等の整備、組織が支援の質に意欲を持って取り組める体制づくりなど、施設運営に関わる根幹的な点に対し、様々なご指摘いただいたところです。
 県の組織の枠組みの中で運営していることもあり、裁量の余地が乏しく、根本的な対応が出来ないところもありますが、よりよい児童自立支援施設となるよう、まずはできるところから始めて、今後県の当局への提案と議論を繰り返しながら、職員が一丸となって改善に取り組んで参りたいと考えております。
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