社会的養護施設第三者評価結果 検索

仙台むつみ荘

【1】第三者評価機関名 (社福)宮城県社会福祉協議会
【2】種別 母子生活支援施設 定員 20世帯(60名)
施設長氏名 長田 伸一 所在地 宮城県
URL http://www.fukushi-sendai.or.jp/mutsumi/
【3】実施調査日 2013年10月18日~2014年02月21日
【4】総評 ◇特に評価が高い点
<「寄り添って聴く」という姿勢を大切にし、利用者が安心して生活できるよう努めています>
 施設では、職員が「寄り添って聴く」という姿勢を大切にし、常に母親と子どもに対して見守りや声がけに努めながら、安心して生活が送れるように支援しています。入所時には、必要に応じて家財道具などを貸し出す等、新しい環境に慣れない母親と子どもの心理的・物理的な不安の軽減に努めています。また、子どもの発達について、職員が母親と一緒に育児の本を見ながらわかりやすく説明し、発達の遅れが心配される場合には、母親に寄り添って一緒に子どもを見守り、子育て不安が軽減されるような関わりをしています。さらに、保育士や心理担当職員を配置するとともに、心理的ケアや顧問弁護士による法律的専門支援等に努めています。

<職員間の情報共有に努めています>
 日誌・会議録・支援記録・自立支援計画・行事計画等の記録については、施設内でネットワーク化されたパソコンを使って記録が整理され、職員全員が個別のパソコンで確認できるようにしています。さらに、施設として職員全員の情報共有が大事と捉え、各記録を印刷後、職員全員が確認し、押印することで情報の共有と周知を図っています。

<母親と子どもの安全確保に努めています>
 施設では、母親と子どもが安心・安全に生活が送れるように施設全体で取り組んでいます。特に施設の特性から不審者の侵入に対しては注意を払い、防犯カメラや夜間訪問者の顔が見えるインターホン設置など設備面の充実を図るとともに不審者対応訓練を行うなどして備えています。また、地域の警察へ巡回を依頼したり、警備会社と契約して夜間の巡回体制を敷くなど、不審者侵入防止を図り安全確保に努めています。さらに、「感染症予防対策マニュアル」「安全管理対策マニュアル」「心肺蘇生・緊急マニュアル」など各種マニュアルを整備して施設における事故防止と安全対策に努めています。

◇改善が求められる点
<母親と子どもへの心理教育支援が望まれます>
 DV被害者は、DVについての正しい情報や知識を得ることによって自尊感情を回復し、エンパワメントにつながります。また、被虐待児は、自分の権利を知ることによって自己肯定感を向上させていきます。今後、全職員がDV被害者、被虐待児への理解を深めるとともに、母親と子どもへの心理教育プログラムを積極的に取り入れていくことを期待します。

<アセスメントの確立と母親と子ども一人ひとりの自立支援計画の作成を期待します>
 アセスメントは,入所時の面接で将来についての希望等を聞き、実施していますが,入所後は自立支援計画の中に含まれています。母親と子ども個々の課題を明確にするためには,自立支援計画とは別に様式を定めて個別にアセスメントを行うことが望まれます。
 自立支援計画は、各関係機関(福祉事務所や児童相談所等)との話し合いのもとに、世帯ごとに作成されていますが、それぞれが抱える課題を明確にした上で、母親と子ども一人ひとりの自立支援計画を作成することが望まれます。

<プライバシー保護規程とマニュアルの整備について期待します>
 施設では、居室への立ち入りなど職員として業務上守らなければならないプライバシー保護についての基本的なことは、職員間で共通の認識を持つよう取り組んでいますが、個人の人権を尊重するために重要なプライバシー保護について、母親と子どもが安心して生活するためにも規程・マニュアルを作成することを期待します。

<職員一人ひとりの研修計画の策定を期待します>
 利用者の状況は、DV、虐待、ドラック、精神疾患等、支援が困難な利用者やニーズの変化に対して、きめ細やかな支援が必要になっています。それぞれ困難を抱える利用者の自立を支援していくためには、職員一人ひとりの知識と技量の向上は欠かせません。母子生活支援施設として職員に求めるスキルや、母子支援員・少年指導員などの専門職に求める専門性や技術、知識等を目標に設定した職員一人ひとりの研修計画の策定を期待します。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 当施設においては、今年度初めて第三者評価を受審いたしました。時間と労力を要し、大変な作業ではありましたが、内向きになりがちな福祉現場の作業を客観的に精査することで、自分たちの支援内容を顧みる良い機会となりました。内容では、目標としている“利用者に寄り添った支援”ができていると高く評価していただいたことをうれしく感じました。反面、アセスメントの整備や職員ひとりひとりの研修計画の整備等、まだまだ努力しなければならない点がはっきりと示され、今後の努力目標ができました。今回の評価結果を真摯に受け止め、職員一同で益々頑張っていきたいと考えております。
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