社会的養護施設第三者評価結果 検索

宝田寮

【1】第三者評価機関名 (社福)徳島県社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 SK15129
第59号
第53号
S15059

【2】種別 児童養護施設 定員 50名
施設長氏名 八木 宏明 所在地 徳島県
URL http://takarada-ryo.jp/
開設年月日 1957年12月26日 経営法人・設置主体 社会福祉法人宝田寮
職員数 常勤職員 21名 非常勤職員 2名
専門職員 社会福祉士 3名 保育士 6名
臨床心理士 1名 管理栄養士 1名
調理師 3名 社会福祉主事 9名
施設設備の概要 (ア)居室数 23室 (イ)設備等 多目的ホール
(ウ) カウンセリング室 (エ) 医務室・静養室
【3】理念・基本方針 (1)理念 子ども達一人ひとりの生命と人権を護り、個性や意向を尊重して成長と発達を育み、子ども達の最善の利益の実現をめざします。

(2)基本方針 
   ・個性と自主性を尊重して自由で楽しいくらしの実現
   ・心身の健康と安全に対する意義と技能の育成
   ・基礎学力を身につけ向学心の高揚
【4】施設の特徴的な取組 回りは明るく、のどかな田園地帯の穏やかな地域の人々に囲まれ、少人数の落ち着いた家庭的な環境の中で、生活リズムや生活習慣を身につけられるように、小さな目標や課題をクリアしながら、問題解決能力を身につけ、社会的に自立するための支援に取り組んでいる。
・家庭的な環境に近づけるためユニット制の少人数グループの養育単位にし、将来に向けてのソーシャルスキルや性教育、食育、調理実習等を実践している。部活動や余暇や趣味を楽しんだり、季節折々の行事のほか、地域の活動にも参加し、健全に成長し、社会的に自立するための支援に取り組んでいる。
・職員は、コモンセンスペアレンティングトレーニングを取り入れ、施設全体で取り組んでいる。
・地域とのつながりを大切にし、PTA活動や近隣高齢者施設との交流や、地域活動(和太鼓サークル、将棋クラブ、地域防災防犯訓練等)や催し物にも参加している。
・部活動やアルバイト、ボランティア活動を積極的に奨励している。
【5】第三者評価の受審状況 2017年04月13日(契約日)~ 2018年06月01日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 【特に評価の高い点】
継続的な施設整備と職員間の情報の共有に向けた環境整備の充実

平成24年4月、小規模化と家庭的養護を見据えたうえで、施設改築を行うなどして、小規模グループケア等に取り組んでおり、施設の外装や庭の樹木、草花、寮庭等にも工夫をするなどしている。地域とともに子どもを育むことができるように、地域の住民やボランティア、民生委員・児童委員の来訪の機会も設けるなどしている。浴室、トイレ、台所、居間、居室、家具等は、安全が確保されつつ、掃除が行きとどき清潔に保たれ、家庭的な環境であり、子ども一人ひとりが穏やかにくつろげる空間となるよう努めている。施設長が中心となって、職員と話をするなどして修繕も迅速に行っている。施設では、施設全体の養育・支援の質の向上を図ることができるよう、イントラネットやグループウエアを導入し、子ども一人ひとりの生活の様子や心身の状況等、職員が把握して、養育・支援に関する記録と情報等を職員間で共有するなどしている。また、施設独自のアセスメントシートを用いるなどして、担当職員は、子どもや保護者等のニーズ等の把握に努めていることは高く評価できる。

施設が目指す養育・支援の実現に向けた、職員一人ひとりの専門性の発揮

施設では、新人職員が“宝田寮の歩み”“理念・運営”等を研修計画に沿って学習や研修する機会を設けている。施設長が中心となって伝えるなどしつつ、主任やユニットリーダーが日頃の養育・支援のなかで個別の“OJT”を行っている。主任職を増員するなどして、職員が一人で問題を抱え込むことがないよう工夫している。職員は、“子どもの最善の利益”を、養育・支援の原点として捉えており、職員間の連携を大切にし、全職員で子どもへの支援に関わるようにしている。職員は、出勤後速やかに記録を確認し、子ども一人ひとりの心身の状況や生活の様子を把握しつつ、声かけや支援等に継続性と一貫性が図られるようにしている。ユニット制の利点を活かし、職員の経験や習熟度等に考慮し、職員間で助言等が得られるようにしている。各ユニット間の連携体制も整備することで、職員間で、気づきや感じたことを速やかに話し合うことができるようにしている。また、子どもにとって最善の利益となっているかを、ユニット会議や職員会、ケースカンファレンス等の際に、養育・支援の内容について話し合うなどして、職員一人ひとりが振り返るようにしている。主任やユニットリーダーがスーパーバイザーの役割を担っており、職員が直面する課題解決に努めるなどして、職員の専門性や施設の組織力の向上に取り組んでいることは高く評価できる。

【改善を求められる点】

理念・基本方針を具現化する中・長期計画や単年度事業計画の充実

理念は、施設における養育・支援や施設経営のよりどころであり、基本方針が、理念に基づいて施設の子ども一人ひとりに対する姿勢や地域との関わり方、施設が持つ機能、人材育成等を掲げつつ、職員等の行動規範として具体的な内容を示せるように検討されたい。なお、理念の実現に向けて、職員間で話し合うなどして施設の役割や機能、養育・支援を考慮し、整合性のある基本方針や中・長期計画、単年度の事業計画となるよう努められたい。また、施設長や職員の役割や責任、業務の内容や権限を明文化することで、職員が存在意義を改めて認識して業務を遂行できるようにされたい。さらに、“期待する職員像”を明確にし、一人ひとりの目標を設定した目標管理の制度を導入した育成計画とし、一人ひとりの専門性や知識・能力・技術の向上を図ることで職員にとって将来の夢が描けるようにするなどして組織体制の強化に取り組まれたい。

職員の責任と権限の明確化と養育・支援の標準的な実施方法の確立

施設では、管理規程に基づく役割や責任、権限を職務分掌表等で示したり、子どもや保護者、関係者、職員等に表明したりするなどの取り組みが十分とはいえない。施設長が中心となって、職務分掌表等を作成することにより、職員一人ひとりの役割や責任、権限、分担等を明確にし、職員が各職種の専門性や役割を理解し、互いに連携して組織として、養育・支援に取り組む体制の構築に努められたい。また、養育・支援の内容として処遇計画を職務分掌計画として個々に策定し、標準化としているが、標準的な実施方法が適切に文書化されているとはいえない。今後は、より質の高い養育・支援を行うためにも、養育・支援の基本、食生活、衣生活、住生活、健康と安全、性に関する教育、養育・支援の実施時の留意点、権利擁護に関わる姿勢、子どものプライバシーの配慮、設備等の施設の環境に応じた業務手順等を文書化し標準的な実施方法の確立に期待する。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 今回2回目の第三者評価の受審となり、前回とは違った新しい視点で様々な事に気づくことができました。
特に、評価の高かった点として、施設の環境整備と職員間の情報共有の充実、職員一人ひとりの専門性や施設の組織力の向上への取り組みについて挙げていただき、職員一同大きな励みとなりました。
また、改善を求められる点として指摘を受けた項目については真摯に受け止め、改善・充実に努めたいと思います。
今後も職員一同研鑽に励み、より良い施設を目指して、日々、努力を続けたいと思います。
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