社会的養護施設第三者評価結果 検索

阿波国慈恵院

【1】第三者評価機関名 (社福)徳島県社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 S15059
S16052
第74号
第75号

【2】種別 児童養護施設 定員 90名
施設長氏名 太田 敬志 所在地 徳島県
URL http://awakoku.jp/
開設年月日 1894年11月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人阿波国慈恵院
職員数 常勤職員 30名 非常勤職員 2名
専門職員 保育士 6名 臨床心理士 1名
栄養士 1名 調理師 3名
施設設備の概要 (ア)居室数 33室 (イ)設備等 ショートスティ室
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 理念①生活しやすく、楽しい環境を与えます。
  ②子どもたちの自立を支援するとともに、家庭を支援します。
  ③地域の福祉に貢献します。

基本方針
  ①子ども一人ひとりの声に耳を傾け、しっかりと受容する。
  ②子ども一人ひとりの自立を目指すとともに、アフターケアを行う。
  ③安心して生活できるよう住環境を整備し、できるだけ家庭的な生活を目指す。
【4】施設の特徴的な取組 園舎は、個室、小規模グループケアを整備している。地域の子育て支援拠点として、地域住民や民生委員・児童委員、行政、教育、福祉等関係者などを対象とした研修会を開催するなど、相互の関係を深め連携している。また、災害時の津波避難ビルの指定をうけており、地域との合同避難訓練を実施している。社会的養護を必要とする子どもや保護者等への支援については、他の福祉サービスや医療機関などと連携し、できる限り良好な家庭的な環境で養育・支援に取り組んでいる。
【5】第三者評価の受審状況 2017年04月13日(契約日)~ 2018年03月29日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 【特に評価の高い点】
地域における、子育て支援拠点としての機能の発揮

施設は、創立(明治27年11月1日)から124年もの長きにわたり、地域を基盤として社会的養護を必要とする子どもたちのための養護を推進しており、本県の社会福祉の発展にも深く寄与している。運営理念や運営方針等からも、それらの方向性を読み取ることができる。施設長と職員は、子どもができるだけ家庭的な雰囲気のなかで生活することができるようにし、一人ひとりの主体性を尊重した養育・支援に努めている。また、社会全体で子どもを育むことができるよう、地域住民や民生委員・児童委員、行政、教育・福祉等の関係者などを対象とした“阿波国慈恵院研修会”を継続して開催し、参加者間で交流や情報交換を行うなどして、相互の関係を深め連携が密に図れるようにしている。さらに、災害時の津波避難ビルの指定を受けており、消防署の協力を得るなどして“地域合同避難訓練”を実施し、地域の住民や消防団、自主防災会等と消火訓練や防災クイズ等を行い、災害時に関する意識の醸成に努めるなどし、施設自体が地域の一員として日常的に地域と交流ができるようにしていることは高く評価できる。

社会的養護を必要とする子どもや保護者等への支援に取り組む姿勢

施設では、子どもと保護者などへの支援の充実が図られるよう、小規模グループケアを採り入れるなどしている。施設長は、地域において要保護児童が潜在していることを認識しており、未就学児、障がいのある子ども、支援が困難な子どもなど、社会的養護を必要とする子どもを積極的に受け入れている。職員は、子どもが自らの生活を主体的に営むことができるように、ボランティアやボランティア団体、企業等の協力を得るなどして、一人ひとりが新しい体験や自分の世界を広げられるような活動を行っている。また、他の福祉サービスの利用や医療機関などとの連携にも努めている。職員間で話し合うなどして、できる限り良好な家庭的環境で養育・支援に取り組む姿勢や基本的な考え方は評価できる。

【改善を求められる点】
サービスの質の向上に向けた養育・支援の標準化およびリスクマネジメント体制の確立

施設は、職員一人ひとりによる養育・支援の水準や内容の差異を極力なくし、一定の水準・内容を担保し継続的な支援が求められている。そのため、基本的な相談・援助技術、養育・支援の実施時の留意点や子どものプライバシーへの配慮、設備等の施設の環境に応じた業務手順など、養育・支援全般において、標準的な実施方法を確立し、その実施方法を文書化したり、それにもとづく養育・支援が適切に実施されたりすることが望まれる。そのことから、福祉サービスの質の向上に向けて、標準的な実施方法を職員に周知し、理解を得るなどして質の高い養育・支援が適切に実施されるよう努められたい。さらに、安心・安全な養育・支援の実施を目的とするリスクマネジメント体制を構築するためにも、養育・支援の実施に関わる設備・遊具・備品類等の日頃からの安全確認や定期的なメンテナンスを行われたい。日常的に子どもの安心・安全に配慮した環境を提供できるよう、職員間で、ヒヤリハット、インシデント等の事例の収集、リスクの把握と分析、予防策、改善策等を検討するなど、リスクマネジメントの体制整備が再構築され、継続的かつ実効性のある取り組みとなるよう期待する。  

子どもの最善の利益を目指した取り組みの充実

社会福祉法第82条において、“社会福祉事業の経営者は、常に、その提供する福祉サービスについて、利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない”と、されていることから、子どもや保護者等の意見、相談、要望、苦情等を適切に把握したり、苦情等を申し出やすい雰囲気づくりや環境の整備に努めたりして、子ども等の保護の視点と同時に、これを養育・支援の質の向上に向けた取り組みの一環として積極的に捉え、課題や問題点を組織的に分析・検討し、改善を行うなどのP(Plan・計画策定)D(Do・実行)C(Check・評価)A(Act・見直し)のサイクルを定着させるよう速やかに取り組まれたい。施設長と職員は、子どもへの個別の面談の実施や子ども会等の開催における双方向の意見交換等を行ったり、定期的に子どもの満足に関する調査等を行ったりして、子どもの最善の利益を目指した養育・支援の実践が充実されるよう期待する。

理念の実現に向けた組織体制の構築

理念は、施設における養育・支援や施設経営のよりどころであり、職員等の行動規範として具体的な指針となるよう検討されたい。また、理念の実現に向けて、基本方針・中・長期計画・単年度事業計画などの内容の整合を勘案しつつ、職員間で話しあうなどして施設の役割や機能、養育・支援を考慮した一貫性のあるものになるようにされたい。施設長や職員の役割や責任を“職務分掌”等で示すなどし、職員一人ひとりが存在意義を認識して業務が遂行できるようにしつつ、“期待する職員像”を明確にし、職員一人ひとりの目標を設定した目標管理の制度を導入した育成計画とし、一人ひとりの専門性や知識・能力・技術の向上を図ることで全職員にとって将来の夢が描けるようにするなどして、組織体制の強化に取り組まれたい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント コメントなし
第三者評価結果はこちら