社会的養護施設第三者評価結果 検索

宝田寮

【1】第三者評価機関名 (社福)徳島県社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 SK18163
第79号



【2】種別 児童養護施設 定員 50名
施設長氏名 八木 宏明 所在地 徳島県
URL http://takarada-ryo.jp/
開設年月日 1957年12月26日 経営法人・設置主体 社会福祉法人宝田寮
職員数 常勤職員 23名 非常勤職員 5名
有資格職員 社会福祉士 2名 保育士 5名
臨床心理士 1名 栄養士 1名
調理師 3名
施設設備の概要 (ア)居室数 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 【理念】
子ども達一人ひとりの生命と人権を護り、個性や意向を尊重して成長と発達を育み、子ども達の最善の利益の実現をめざします。

【基本方針】
1 温かい愛情と潤いに満ちた人間関係の中で、安心と信頼に溢れる施設の生活環境を作り、子ども達の連帯感を強め、個々の子どもが成長するように努める。
2 子ども達の権利を尊重し、いかなる暴力からも子ども達を守る。
3 一人ひとりの子ども達の能力が十分伸びるようにする。
4 基本的生活習慣や道徳観を身につけ、年齢にふさわしい正義感や責任感を持つよう支援する。
5 子ども達の発達年齢に応じた学力や生活技術の習得を支援する。
6 子ども達の能力や希望を尊重し、進路選択を支援する。
7 保護者の子どもたちへの思いを受け止め、協力して子育てを支援する。
8 学校・地域の人々と協力し、よりよい子育てのあり方を考えると共に、施設の子育て機能を地域に提供する。
【4】施設の特徴的な取組 平成24年にそれまでの大舎制から小舎制に移行し、より家庭に近い雰囲気の中で子どもと職員が密接にかかわりながら生活を支援する環境が整っている。
① 各ユニットに意見箱を置き、入所児童の声を聞いている。
ユニット毎に子ども達と企画した自由遠足など、親睦や新しい体験を通じて、様々なことを学ぶ機会を設定している。苦情解決についても苦情受付担当者を置き、地域や利用者から寄せられた苦情について適切な解決に努めている。
② 児童養護施設は子どもたちの生活の場です(PR事項)
現在、宝田寮ではこども達が少しでも住みやすいように4つの小グループ(うち小規模グループケアは2ユニット)に分けて、以前よりも家庭的な生活と環境を提供しながら、こども達それぞれの個性を生かした目標設定と処遇作り、つまりは自分作り・当たり前の生活の実現を目指しています。また、いろいろな方々にお世話になることで、自立自活していける、家庭・家族に戻れる原動力となることを強く感じております。各ユニットの特色を活かした取組(将来に向けての私つくり・自分つくりの場所)
□ユニットの特徴(ユニットの個性を生かす取り組み)
小規模グループケア あすなろユニット 中高生男子・発達支援児童の就労自活へつなぐユニット
小規模グループケア さくらユニット  男女混合・発達支援・不登校児童受け入れユニット
コスモスユニット 女子・緊急一時保護・発達支援幼児受け入れユニット
大地ユニット 小中高生男子・緊急一時保護・不登校児童・発達支援受け入れユニット
宇宙ユニット にこにこ保育園(幼児保育の充実)として再開

◆より少人数で家庭的な小規模グループケア事業の実施
 平成24年度大舎制から小舎制(ユニット制)へ移行
 平成26年度より小規模グループケア2ヶ所運営に取組んでいる。
 平成30年度よりにこにこ保育園再開(幼児保育の充実
【5】第三者評価の受審状況 2020年07月28日(契約日)~ 2022年04月06日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成30年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
小舎制の特性を活かした養育・支援の取り組み
施設では、徳島県内で初めて小舎制を取り入れ、小規模単位のグループごとに養育・支援に取り組んでいる。子どもにとって、家庭的な“あたりまえの生活”が保障されるよう、環境整備に努めている。子ども一人ひとりの年齢や性別、性格、特性等にあわせて、4つのユニットごとの編成を決めている。各ユニットは、清潔感があり、廊下や壁面、ダイニング、リビングなど、家庭と変わらない生活空間を確保している。各居室は、家具やベッド、学習机の配置を工夫して、一人ひとりのプライバシーが守ることができるようにしている。月1回、ユニットごとに、子どもたちによる自治会を開催し、子どもの意見・要望等を聞き取ったり、行事の予定や生活上のルールについて協議したりして、子どもの自主性を育む機会を設けるとともに、子どもの意見・要望等を反映した運営に努めている。また、意見箱に寄せられた内容や社会生活上のマナーを学ぶ際に自治会を活用することもある。職員は、子ども一人ひとりとかかわる時間を大切にしている。登下校の際に「いってらっしゃい」「おかえり」の声かけを行ったり、日常生活や学校での出来事について話しあったりするなど、子どもが表出する感情や言動をしっかりと受け止めている。小舎制の特性を活かし、子どもを中心とした施設運営に取り組んでいることは評価できる。

施設の特性を活かした地域交流・地域貢献の取り組み
施設では、地域の社会的養育を支える専門的な拠点を目指して、人的・物的資源を活かした地域支援に取り組んでいる。毎年、秋祭りや調理実習などを開催し、地域住民や子どもの友達、関係機関等の参加を得て、地域と交流する機会を設けている。各行事等のなかで把握した地域の福祉ニーズをもとに、NPO法人や教育機関等と連携・協力し、子どもの養育・支援の専門的な情報提供の場として、子育て支援セミナーを開催している。また、施設や職員の機能・特性を活かし、ショートステイやトワイライトステイ、児童の生活相談窓口の設置など、種々の子育て家庭支援事業を実施している。さらに、地域の施設理解を深めるために、ボランティアを積極的に受け入れたり、地域で開催される文化祭や防災訓練等に参加したりするなど、施設から地域に対して働きかける取り組みも実施している。新型コロナウイルス感染症の流行にともない、地域との交流が制限されるなかでも、学校で行われる廃品回収等の行事に子どもと職員が一緒に参加するなど、地域との交流を継続できるよう検討・工夫している。地域とともに歩む施設を目指し、施設が有する養育・支援に関する知識や技術、設備などを活かすことで、地域交流や公益的な取り組みに努めていることは評価できる。

子どもの特性にあわせた心理的支援の取り組み
近年、施設への児童の入所理由として、家庭内での虐待が多く、心理的支援が必要な子どもたちが増加してきている。施設では、心理療法担当職員を配置し、専門的な支援を必要とする子どものケアに取り組んでいる。子ども一人ひとりの自立支援計画にもとづいた心理支援プログラムを作成するとともに、カウンセリング室を確保して、落ち着いて心理的支援を行うことができる環境を確保している。心理療法担当職員は、定期的に各ユニットを訪問し、子どもと一緒に食事をとるなど、子どもと深く関わる機会の確保に努めている。ユニット会議やケースカンファレンス等のなかで、職員に子どもとの関わり方について助言するなど、心理的視点からのスーパービジョンを行っている。また、必要に応じて大学の教授から助言を受けるなど、心理職員自身もスーパービジョンを受ける体制を整備している。子どもの特性に配慮した、心理的支援の取り組みは評価できる。

◇改善を求められる点
福祉人材の育成に向けた職員の質の向上への取り組みの強化
施設では、福祉サービスの質の向上を重要課題として、養育・支援の質の向上と専門性の強化に取り組んでいる。特に、小舎制の運営には職員数の確保とマンパワー・人材育成定着が大きな課題であると捉えている。新規職員の育成には、施設長はじめ、ユニットリーダー等が支えあい、組織的な育成に取り組んでいる。職員一人ひとりの質の向上には、体制の確立が大切な課題でもある。勤務年数に応じた研修計画や職員が輪番制で講師を務めるなど、独自のOJT研修を計画的に実施している。また、施設長は職員面接や子どもたちとのかかわりの強化にも努めている。しかし、職員一人ひとりの育成に向けて、宝田寮の“期待する職員像”を示し、目標管理制度(キャリアパスの整備、教育・研修計画やOJT、スーパービジョン体制、ケースカンファレンス、人事考課等との連動)等を導入するまでには至っていない。今後は、施設の目標や方針を周知・徹底し、達成のためのユニットごとの目標を掲げ、その目標達成に向けた職員一人ひとりの目標を明確にするなど、個別の今年度の“目標項目”・“目標水準”・“目標期限”が施設長との面接時に話しあうことに期待したい。文書で示すことにより、面接がより深いものになり、目標を持って養育・支援に取り組むことを期待したい。

施設内・外に向けた積極的な情報の公開・開示に向けた取り組み
施設では、広報紙等を活用し、施設の理念や基本方針、養育・支援の内容、現況報告、決算状況等の情報を公開するなど、公正かつ透明性の高い適正な経営・運営に努めている。定期的に第三者評価を受審するとともに、結果を公表し、施設の取り組みなどを主体的に掲示している。しかし、ホームページでは、現況報告書や決算情報は掲載しておらず、福祉医療機構での公開に留まっている。今後は、自施設のホームページを活用し、社会や地域に向けて積極的な情報公開が行われるよう検討されたい。また、職員に対しては、人事基準(諸規程・処遇規程・評価基準等)等を明確化し、説明・周知を図ることで、職員の意向や希望等を確認することが望まれる。)
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント この度3回目の第三者評価の受審となりました。回を追うごとに、審査内容もより専門性が深まり、判断基準もレベルが上がっているように感じます。その中でもコロナ禍ではありますが、小舎制の特性を活かした養育・支援の取り組み、当施設の子どもを中心とした養育環境の整備、施設の専門性を活かした地域交流や公益的な取り組み、虐待等で傷ついた子どもへの手厚い心理的サポートなどに高い評価を頂き、職員一同日々の努力が報われた感があり、とても励みになりました。一方、今回ご指摘いただいた点については当方の説明不足もあり、残念ではありますがご指摘を真摯に受け止め、より一層充実した施設となるよう改善の努力を引き続き行いたいと思います。貴重なご意見を頂き、ありがとうございました。
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