社会的養護施設第三者評価結果 検索

鳴門子ども学園

【1】第三者評価機関名 (社福)徳島県社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 SK18163
第81号



【2】種別 児童養護施設 定員 30名
施設長氏名 豊田 基史 所在地 徳島県
URL http://www.ca.pikara.ne.jp/narukodomo/
開設年月日 1951年07月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 寿福祉会
職員数 常勤職員 26名 非常勤職員 2名
有資格職員 児童指導員 12名 保育士 7名
臨床心理士 1名 栄養士 2名
調理員 2名
施設設備の概要 (ア)居室数 20室 (イ)設備等 多目的ホール
(ウ) ショートステイ居室 (エ) 自立生活訓練 大空
【3】理念・基本方針 【理念】
生かされている命を守り、社会の一員として貢献できる人を育む

【基本方針】
・児童の権利を守り、児童の意向、意見を尊重した支援に努めます。
・家庭的養育環境を重視し、安全、安心した生活を送れるよう支援します。
・児童の抱えている課題の解決を支援し、社会的自立ができるよう支援します。
・児童の早期の家庭復帰、親子関係の再構築を支援します。
・ショートステイ、養育相談等による地域の子育て支援の充実に努めます。
【4】施設の特徴的な取組 ・小規模グループケアを2か所、個室を10部屋整備し、生活単位を小さくし、子ども一人ひとりの生活を大切にした支援に取り組んでいる。
・令和3年2月に自立支援を目的とした自立生活訓練室「大空」を整備し、令和3年4月より自立支援担当職員を配置した。入所児童の進学・就職等に対する相談や自立を支援するとともに、退所後も安定した社会生活が送ることができるようアフターケアの充実に取り組んでいる。
・令和3年4月より里親支援専門員を配置し、児童相談所や里親会等と連携して、里親研修に参加するなどの取り組みを始めた。
・ショートステイ事業、トワイライト事業、休日預かり事業を市町村の委託を受け行っている。また、子ども家庭サポート相談窓口を設け、地域の子育て支援に取り組んでいる。
【5】第三者評価の受審状況 2021年05月10日(契約日)~ 2022年03月29日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
施設の方針や目指す姿を明確化した事業計画の策定
施設では、前回の評価結果を真摯に受け止め、職員が一丸となり、再度、養育支援を振り返りつつ、改善に向けて取り組んでいる。施設長・次長・主任児童指導員・主任保育士の4名が中心となって、評価結果を熟読し、課題や改善点等を列挙して、職員間で共有化を図りつつ、見直し・検討・評価を実施している。特に、5年間の中・長期計画には、法人としての理念・運営方針を示し、それにもとづく鳴門子ども学園の基本理念“生かされている命を守り、社会の一員として貢献できる人を育む”のもと、5項目に分かれた基本方針を掲げている。また、鳴門子ども学園の目指す姿としての“学園像”・“児童像”・“職員像”を明確化している。基本理念や基本方針、学園の目指す姿などを達成するために、内部環境に関する課題を5項目(財務・業務・支援・人材・地域)で示すとともに、課題の達成に向けた中・長期的な取り組みをわかりやすく示している。さらに、中・長期計画をもとにして、子どもや職員等の意見等を踏まえつつ、年間目標や月間目標を示した事業計画を策定している。事業計画には、子どもの最善の利益の追求に向けた、“職員倫理綱領”を記載するなど、日ごろの養育・支援のなかで活用しやすい内容となっている。過去の評価結果を分析・検討し、施設の方針や歩みが一目で確認できる中・長期計画及び事業計画を策定していることは、高く評価できる。

養育・支援の質の向上に向けた組織的な取り組み
施設では、毎日、ミーティングやケース会議等を開催し、日ごろの養育・支援の取り組みについて協議・検討している。毎月の職員会には、全職員が参加し、養育・支援の確認や報告等を行っている。各会議等で出された意見や疑問等について、施設長を含めた管理職4名が助言を行うなど、養育・支援の質の向上に向けた体制を整備している。年1回、全職員を対象として自己評価を実施している。一人ひとりが回答した結果を集約し、施設の課題や問題点等を明確化するとともに、次年度の事業計画の策定に活かしている。第三者評価については、評価結果を全職員に共有し、担当職員を定めて分析・検討して、改善すべき課題や問題点等の把握に努めている。“各項目検討ファイル”を作成し、評価項目ごとに施設の現況や取り組みを分析し、課題等を抽出している。抽出された課題等について、再度、全職員で協議・検討し、出された意見等を“養育・支援の質の向上ファイル”にまとめている。改善への取り組みは、改善予定日・検討日・改善実施日を定め、計画的に取り組んでいる。検討した事項や改善された課題等は、改善した箇所を確認しやすいよう、項目ごとに記録を残している。施設長は、先の養育・支援の質の向上に向けた取り組みに対して、積極的にリーダーシップを発揮しつつ、自らの役割と責任について、中・長期計画等にわかりやすく記載している。業務の実効性を高めるにあたり、施設長を中心として組織的に取り組んでいることは、高く評価できる。

子どもの主体性を尊重した養育・支援の取り組み
施設では、基本理念や基本方針、児童育成方針にもとづき、子どもの権利に配慮した養育・支援に取り組んでいる。子ども一人ひとりの特性や生育歴、家族背景等を把握し、毎日のミーティングやケース検討会、毎月の職員会等で、職員間での共有化を図っている。年4回の子ども会や年2回の子どもアンケート、意見箱“心のポスト”の設置など、複数の方法により子どもの意見・要望等を聞き取っている。毎月、子どもと担当職員との個別面談も実施して、日ごろの生活のなかで話しづらい悩み等の把握にも努めている。また、定期的に、人権擁護のチェックリストを用いて、職員の日ごろの養育・支援の取り組みを振り返る機会を設けるなど、子どもの最善の利益に向けて質の向上に取り組んでいる。子ども一人ひとりをかけがえのない大切な存在と捉え、子どもの主体性を尊重した養育・支援に取り組んでいることは、評価できる。

◇改善を求められる点
職員一人ひとりの育成と質の向上に向けた体制の整備
施設の基本理念・基本方針や期待する職員像など、施設としての目標を達成するにあたっては、職員一人ひとりの目標設定(目標項目・目標水準・目標期限等)とその統合に向けた仕組みづくりを行うことが重要である。施設では、中・長期計画等のなかで、職員の確保や定着、意欲向上、人材育成などの“人材”に関する取り組みを、課題の一つとして捉えている。施設としての“期待する職員像”を明確化するとともに、年間研修計画を策定し、職員一人ひとりの育成に向けて取り組んでいる。また、年1回、全職員を対象としたペーパーテストなどにより、一人ひとりの養育・支援に関する取り組み等について把握しているが、施設の定めた指針や目標等の達成に向けて、個別の目標管理の仕組みを整備するまでには至っていない。今後は、施設の基本理念・基本方針の実現に向けて、職員が個別に目標を設定し、その達成に向けて進捗状況を確認するなど、目標管理制度等を導入することが望まれる。さらなる養育・支援の質の向上に向けて、職員一人ひとりの意欲向上・意識改革を図る取り組みに期待したい。

基本理念・基本方針の実現に向けた一体的な取り組み
施設では、基本理念・基本方針の実現に向けて、5か年の中・長期計画を策定している。中・長期計画のなかで、内部環境の課題を5項目(財務・業務・支援・人材・地域)に分けて明確化し、職員間での共有化を図っている。また、施設では、単年度の事業計画書も作成し、理念の達成に向けた児童育成方針や倫理綱領の記載、養育・支援の年間目標、項目ごとに分かれた養育・支援の内容などを具体的に記載するなど、日ごろから活用しやすい計画となっている。今後は、中・長期計画示した5項目の課題にもとづいて、事業計画のなかで具体的な数値目標を示すなど、基本理念・基本方針の実現に向けた一体的な取り組みとなることに期待したい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 前回の受審で、多くの課題に気づき、今回の受審に向けて1つ1つを検討し、見直しをしてきました。職員一人一人に割り振りを与え、職員ができるだけ共有できるよう取り組んできました。その中から、児童や保護者、地域に向けて風通しのよい取り組みがたくさん生まれたと思います。
今後も第三者評価を通して、さらにサービス強化を図り、地域に貢献できる社会福祉施設を運営していきたいと思います。
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