社会的養護施設第三者評価結果 検索

徳島赤十字乳児院

【1】第三者評価機関名 (社福)徳島県社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 SK18163
SK18162
SK18161
第77号

【2】種別 乳児院 定員 45名
施設長氏名 島本 耕志 所在地 徳島県
URL http://t-nyuji.main.jp/index.html
開設年月日 1953年08月01日 経営法人・設置主体 日本赤十字社 徳島県支部
職員数 常勤職員 43名 非常勤職員 0名
有資格職員 保育士 23名 看護師 7名
管理栄養士 1名 調理師 4名
臨床心理士 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 寝室・保育室:8病室・観察室:2 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 理念
私たちは、こどもたちが児童憲章のもと、
その人権を重んじ、幸せになることを願い、
よりよい養育環境の提供に努めます。

基本方針
1 こどもたち一人ひとりの思いを汲み取り、安心して生活できる環境を提供します。
2 こどもたちとのふれあいを深め、豊かな愛着関係を築きます。
3 こどもたちの体調の変化に留意し、健康管理に努めます。
4 こどもたちが家庭に戻り、安定した生活を送れるように支援します。
5 ボランティアや地域と連携し、養育の専門性を活かした子育て支援に努めます。
6 職員は、専門職としてのより深い知識と確かな技術を身につけます。
【4】施設の特徴的な取組 ・小規模グループケア、個別対応の充実
・病虚弱児の受入体制の充実
・地域子育て支援および里親支援事業の推進
・近隣の発達障がい者総合支援ゾーンでの連携
・子育て支援関係機関(市町村、児童相談所等)との連携
・幼稚園体験教育、食育講座の実施
【5】第三者評価の受審状況 2019年07月01日(契約日)~ 2020年05月14日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
継続的な養育・支援の質の向上に向けた取り組み
施設では、日ごろの養育・支援の取り組みとともに、管理会議やリーダー会議、チーム会議、担当業務の係など、質の向上に向けた改善活動等を重層的に行っている。子どもを尊重した養育・支援の関わりにおいても、倫理綱領の策定や基本的人権への配慮に関する人権係による勉強会、権利擁護等に関連した自己チェックリストを用いた不適切な関わりの防止、定期的な上司との面談などを徹底して実施している。さらに、養育・支援の標準的な実施方法が細部まで網羅されるとともに、随時、評価・見直しにより改訂し、実践的に活用できる養育・支援のハンドブックとなっている。また、子ども一人ひとりには、専門性にもとづいた個別支援計画と養育支援計画を作成している。職員は、目標管理や自己申告制度により自らの専門性と役割を理解し、必要な資質・倫理・知識・技術の向上に向けて取り組んでいる。福祉サービス第三者評価制度の仕組みが創設されて以降、毎年、自己評価および第三者評価(任意受審2回、義務受審3回)を通じ、養育・支援の質の向上に向けた継続的かつ計画的な取り組みは高く評価できる。

職員の働きやすい職場環境づくりに向けた取り組み
職員が働きやすい職場づくりの環境を向上することは、養育・支援の質の向上にもつながっていくものである。施設は、24時間365日開所し、年少児や病・虚弱児の養育、地域に向けたさまざまな子育て支援の実施など、県下で唯一の乳児院として、施設や職員が持つ機能を活かした活動を実施している。今年度より“心の健康づくり”を策定し、職員への周知を図ることで、心身共に活気ある職場づくりに向けて取り組んでいる。ハラスメント相談員やメンタルヘルス推進員を配置したり、さらに、“衛生委員会”を設置したりするなど、職員が相談できる体制の充実や施設外の相談窓口へ繋ぐための仕組みづくりに取り組んでいる。養育・支援の質の向上に向けて、働きやすい環境づくりに向けた取り組みが行われていることは、評価できる。

◇改善を求められる点
里親制度の体制、一時保護・緊急一時保護制度の規程等の整備
施設では、国が示した“新しい社会的養育ビジョン”を受けて、中期計画や単年度事業計画のなかで、里親制度の推進について掲げている。里親支援専門相談員を配置し、里親への支援や委託後の家庭訪問、レスパイトの調整など、里親と子どもが良好な関係を築くことができるよう、支援に取り組んでいる。また、施設では、児童相談所等からの依頼に基づき、児童相談所や市町村、保育所、医療機関等と連携して、一時保護委託や緊急一時保護委託を受け入れる体制も整備している。今後は、里親の新規開拓や里親サロンの運営など、里親に対する地域理解を促す取り組みが望まれる。また、社会的需要の高い一時保護委託や緊急一時保護の機能をより充実させるため、現在作成中の“受入れマニュアル”の策定を進めることに期待したい。

県の“社会的養護推進計画”を踏まえた中期計画の見直し
施設では、平成31年4月に、“乳児院の現状と将来の課題”と題して、2年後からはじまり、14年後、16年後・・・20年後の経営、設備、運営、施設整備及び施設整備資金等を考慮した、長期計画を策定している。中期計画として、令和元年度~令和3年度の3か年計画も策定している。国が示した“新しい養育ビジョン”に基づいて、施設の高機能化及び多機能化、機能転換等を踏まえた、養育・支援の小規模化・地域分散化と高度なケアニーズに対応すべく検討している。そのなかで“家庭的養育優先原則”の推進を行っていく方針を確認し、県や関係機関等の状況、情報等を踏まえたうえで、3か年計画の見直しに取り組んでいる。今後は、県が示す“社会的養育推進計画”に基づいて、乳幼児の権利擁護や養育・支援の相談支援等の拠点となる施設を目指した中期計画の見直しに期待したい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 今回、養育・支援の質の向上のため取り組んできた階層的会議や、基本的人権等の研修、そして必要に応じて改訂を行っている養育・支援ハンドブックへの取り組み等に対し、高い評価を頂きました。これは、職員一人ひとりが常に子どもの人権を意識し、事業に取り組むことを掲げている当施設として非常に励みとなりました。さらに、働きやすい職場環境の向上のため、衛生委員会の設置や、メンタルヘルスの導入についても評価いただいておりますが、より一層の内容の充実を図るよう努めて参ります。
 この度、“徳島県社会的養育推進計画”が策定され、施設の小規模化、高機能化及び多機能化や里親委託等の推進が掲げられております。「できる限り良好な家庭環境」を提供するため、専門性の高い施設養育の体制整備と、当施設に求められている里親委託目標(5年以内に3歳未満の児童の60%を委託)に向けて、フォスタリング機関への参加等も含め十分な検討を行い、今回の評価で改善を求められている中・長期計画および事業計画に反映したいと考えております。
 これからも、徳島県唯一の乳児院として、“子どもの最善の利益のため”開かれた乳児院を目指し取り組んでまいります。
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