社会的養護施設第三者評価結果 検索

たちばな学苑

【1】第三者評価機関名 (社福)徳島県社会福祉協議会
【2】種別 児童養護施設 定員 40名
施設長氏名 佐藤 文哉 所在地 徳島県
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【3】実施調査日 2014年07月07日~2015年03月23日
【4】総評 ◇特に評価が高い点
 子どもが意見や要望、苦情等を表出しやすいよう環境整備を行っている。子どもが意見箱を活用しやすいよう、記入用紙の様式を工夫したり、出された意見等について職員間で協議したうえで毎月の子ども会で話しあったりしている。また、出された意見に対する回答を、広報誌“たちばな通信”で報告するなどしてコミュニケーションの機会を確保し、一人ひとりの想いを大切に受け止めるようにしている。子ども会では、自分たちの意見や希望がどのようにしたら反映されるかについて話しあわれており、企画や必要経費等を子ども自らが考えて職員へ提示するなど、自分たちの暮らしを良くするための機会として機能している。日頃の生活のなかで子どもと職員が交流することのできる様々な機会を設けつつ、子ども自らが生活の主体者であるという自覚を保証して、人間関係から生じる様々な社会常識や規範、社会的自立に向けた生活技術等の習得を組織的支援として行っていることは高く評価できる。

 日頃から職員は、子どもたちの日常生活を深い理解と愛情をもって支援している。子ども一人ひとりの学力に応じた個別の学習支援が、将来の進路決定と子どもの最善の利益へと繋がる重要な事項であると捉えて積極的に取り組んでいる。養育・支援の目標として“自立”を掲げ、子ども一人ひとりが社会適応能力を身につけて自信を持って社会に出て行くことができるよう、学習指導の強化や将来の自立に向けた支援を行っている。また、社会的自立のためには、資格取得が重要な条件の一つであると捉え、早期段階から先輩の取り組みの情報を提供したり、資格取得方法や専門職種の情報を提供したりしている。職場実習や就労体験等のためのアルバイトも奨励しており、子どもたちが将来に向かって自己決定できるよう取り組んでいることは高く評価できる。

 児童相談所や子ども女性相談センター、学校、教育委員会、福祉事務所等の関係機関へ呼びかけを行い、事例検討や研修会を積極的に実施している。地域の民生委員児童委員協議会の会議の場として施設のスペースを提供し、地域の具体的な福祉ニーズの把握と、施設の理解へと繋げるなどして双方向的に交流を行っている。また、多くの関係機関へ呼びかけを行い、施設内で“児童虐待防止ネットワーク会議”を開催したり、子どもたちの通学路に、交通安全の旗を設置することなどを通じて、行政も含めた地域全体で子どもを見守ることのできる社会環境整備に取り組むなどして施設の有する専門性を発揮していることは評価できる。

◇改善が求められる点
 施設の設立当初の基本姿勢を大切にしつつ、社会情勢等の変化も見据えて理念や基本方針の見直しを行っている。年度当初には、職員間で理念や基本方針について学習するなどの取り組みも行っている。しかし、理念や基本方針の実現に向けた将来的な施設運営のビジョンを、中・長期計画として文書で示すまでには至っていないことから、今後は、施設の将来像と現在の課題を再整理したうえで、目指す養育・支援のあり方を反映した中・長期計画の作成について検討されたい。

 施設の目指す養育・支援に必要な人材の確保に積極的に取り組んでおり、専任の看護師や心理療法担当職員を配置している。また、専門資格の取得に必要な経費の一部を施設が負担したり、正規職員への登用も行っている。このように職員一人ひとりが専門性を高めつつ、向上心をもって働くことができるよう職場環境の整備に努めていることは評価できる。しかし、職員の能力開発に必要な人事考課の仕組みを具体的に導入するまでには至っていない。今後、永続的に質の高い支援を行い続けたり、職員のやる気を引き出したりするためにも、客観性な基準に基づく人事評価や考課制度の仕組みの導入について検討されたい。

 県外から講師を招聘して職場内研修を開催するなどし、職員の知識や専門的技術の獲得に向けて積極的に取り組んでいる。また、職員の資質向上を図るため、組織として専門資格の取得を奨励したり、主に基幹的職員がスーパーバイザーとなって人材育成の観点に立った助言や援助技術の向上へと繋げたりしていることは評価できる。しかし、組織として職員の教育・研修に関する基本姿勢を文書等で示すには至っておらず、また職員一人ひとりの職種や能力に応じた個別の教育・研修計画も作成していない。今後は、中・長期計画等において示した将来的な施設のビジョンを踏まえた上で、その達成のために個々の職員に求められる技能の習得等に向けた職員一人ひとりの教育・研修計画の作成に期待する。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 当苑は、今回が初めての第三者評価の受審となりました。第三者によって評価していただくことで、当苑の“強み”と“弱み”を知る機会となりました。今後の課題として、人事管理の体制整備や中長期的なビジョン、計画策定等を挙げていただき、今後、施設として取り組んでいかなければならないと再認識しました。一方で、子どもの意見・要望の取り入れ方や自立に向けての支援、関係機関との連携、研修会等について高く評価していただき、職員の励みや自信にも繋がりました。今後も、子ども達にとって過ごしやすい、より良い環境を目指し、職員が一丸となって取り組んでまいりたいと思います。
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