【4】総評 |
【特に評価が高い点】
第5次阿南市総合計画を基に、施設の基本理念と運営方針を定め、適正に施設運営を行っている。支援についても、“いまから ここから 自分から”のスローガンを掲げて、職員と家族、子ども間で共有し、一人ひとりの自立に向けた積極的な支援を行っている。入所している母子の生活が快適なものとなるよう、子どもの成長に応じて学力向上に向けた支援や養育支援の強化のための休日勤務を行ったり、少年指導員の勤務時間を変則にしたりして積極的に取り組んでいる。母子生活支援施設としての役割を果たすべく、寮長や職員間で工夫・協力しあって取り組んでいることは評価できる。
全職員で自己評価を実施し、施設運営に関する課題を職員間で共有するよう取り組んでいる。抽出された課題に対する改善策を講じるよう取り組んでおり、マニュアルの整備や子どもへの支援時間の拡張を行うなどして、支援の充実に取り組んでいることは評価できる。また、施設の目指す基本方針と職員としての基本姿勢を項目ごとに整理し、実践に向けた取り組みを示すことにより、職員間での支援が一貫性のあるものとなっていることは高く評価できる。
施設は、災害時の一時避難所としての事前指定を受けている。施設内にヘルメットを設置したり、避難路を掲示したりして、迅速で安全に避難することができるよう備えている。また、備蓄品の整備や、施設内のみならず地域住民を受け入れる準備を行うなどして、地域のなかの機関としての役割発揮に努めていることは評価できる。
【改善が求められる点】
施設の運営理念や基本方針にそった養育・支援のあり方を運営方針に示して取り組んでいるが、施設が果たすべき今後の役割やビジョンを反映した中・長期計画を策定するまでには至っていない。今後は、母子生活支援施設に求められる役割と施設の抱える課題等を中・長期計画として明記し、その実現に向けた各種取り組みを年次事業計画に反映されたい。また、阿南市の“ひとり親家庭等自立支援計画”において、ひとり親家庭の状況や課題等が詳しく示されていることから、市所管課とも協議を重ねたうえで施設独自の中・長期計画を示されたい。
母子生活支援施設の使命として母子の社会的自立が重点目標である一方、近年の社会情勢等から鑑み、DVや虐待等に対応することのできる緊急一時保護の対応もまた必要である。施設の設備・構造上、解決を要する事項もあるが、市所管課と協議を重ねたうえで、施設の使命と役割の再認識を図り、緊急一時保護対応やショートステイ、トワイライトステイなどに取り組まれるよう期待する。また、このことと併せて、障がいのある母子への支援も視野に入れ、ソフト面とハード面の体制整備に取り組まれたい。
施設では、複雑な人間関係を経験した母子への適切な対応が求められるが、そのためには職員一人ひとりの支援が専門的知見に立って行われる必要がある。現在、職員は各種研修会に参加しているが、施設として人材育成の観点に立った研修の基本姿勢を明示しておらず、研修計画も策定するまでには至っていない。今後は、母子支援員や少年指導員等がそれぞれに必要な支援技術を獲得することができるよう研修計画を策定されたい。また地域のひとり親家庭の子育て支援施設として、地域の関係機関とのネットワークづくりや相談事業などの機能を発揮できるよう、専門性を高める研修や資格取得に取り組まれたい。 |