社会的養護施設第三者評価結果 検索

常楽園

【1】第三者評価機関名 (社福)徳島県社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 SK15129
第59号



【2】種別 児童養護施設 定員 40名
施設長氏名 岩根 光隆 所在地 徳島県
URL http://wwwc.pikara.ne.jp/jourakuen/
開設年月日 1955年08月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 常楽園
職員数 常勤職員 20名 非常勤職員 0名
専門職員 保育士 4名 栄養士 1名
調理師 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 14室 (イ)設備等 園庭に木製の遊具を完備
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 養護ニーズの多様化に伴い、組織の明確化と運営の民主化を確立し、その責任と活動の分野を強化すると共に児童の心身の安定と独立心の高揚を図り、自立した健全な社会人となすべく養護育成、地域福祉、家庭支援のための職員の専門職を自覚し実践することを信条とする。
基本的方針としては、組織の明確化と運営の民主化を確立し、その責任と活動の分野を強化すると共に児童の心身の安定と独立心の高揚を図り、自立した健全な社会人となすべく養護育成のため菩薩道を実践し、また地域福祉、家庭支援に努めることを信条とする。
【4】施設の特徴的な取組 共に働く職員が家族のように助け合い、支え合って、仲が良い雰囲気を大事にしていきたいと考えています。そんな大人の姿を子ども達が見て安心と笑顔が増えるように。子ども達にとって、かけがえのない出会いとなるように。職員一同、同じ信念を持ってより良い支援をしていきたいと考えています。
【5】第三者評価の受審状況 2016年05月18日(契約日)~ 2017年06月02日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成25年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
理念に基づく継続的な取り組み
設立の趣旨にたがうことなく歴代の施設長のリーダーシップのもとに職員一丸となって蓄積してきた良き伝統を受け継ぎ、入所してくる子どもを“うちの子として育てる”姿勢で取り組んでいる。施設の養育・支援の原点である理念に“菩薩道”を掲げており、長年に渡ってこの方針に基づく養育・支援を継続するなかで、職員もその内容や歴史、経緯等の理解を深めつつ日々の支援に取り組んでいる。“子どもの最善の利益”を目指した養育・支援の観点を、施設の方針として明確に示し、職員は、日頃の実践や研修会等を通じて、支援の専門性の向上に努めるとともに、職員相互に共通の理解を得ることができるよう意見交換を行っている。また、職員一人ひとりの倫理観や人間性、職務や責任の理解、自覚を促すことができるよう勉強会や研修会に積極的に参加している。

養育・支援の質の向上と職場環境の整備に係る一体的な推進
児童養護施設で生活をする子どもたちにとっては、職員の存在とその養育・支援の姿勢等が個々の成長や発達を大きく左右する。施設では、子どもと職員が家族のように支えあっており、また職員が子どもに規範を示すことで一人ひとりの安心や生活基盤の安定に繋がるよう努めている。このような環境のなかで子どもたちが成長し、施設で過ごした時間をかけがえのないこととして実感を得ることで、将来的な個人の自立心や生き方の手本となるよう取り組んでいる。併せて、子どもへの丁寧な支援を実現するためには、職員にとっても働きやすく、安心して将来を見通すことのできる職場環境の整備が必要であることから、すべての職員を正規職員として雇用するなどの取り組みも見受けられる。また、職員に人事考課の基準等を示したり、年1回のアンケート調査を行ったりして職場環境に関する意向を確認するようにしている。施設長が中心となって、つねに職員の意向に耳を傾け、有給休暇や就業規則の改善、健康管理など、ワーク・ライフ・バランスに配慮した職場づくりを行っている。社会的養護関係施設の施策においては財政的な不安定さも見受けられるが、このようにして養育支援の充実を図るための支援目標の明確化・共有化と、職員の質の向上に向けた職場環境の整備等の双方を関連付けて取り組んでいることは評価できる。

子どもの将来的な自立への保障に向けた取り組み
施設では、課題等を抱える子どもたちの入所が増加しているなかにおいて、職員の養育力やチーム力のさらなる向上を目指して取り組んでいる。毎月、全職員を対象とした研修会を開催し、前回の反省点や職員の意向等を把握して課題解決に向け取り組んでいる。児童相談所のケースワーカーを講師として招聘するなどして研修会を開催したり、職員間でコモンセンスペアレンティングの研修を行ったりして、専門的な知識や技術の習得にも力を入れている。また、県外の研修にも参加することができるようにしており、職員の学習機会の確保に努めている。このように子どもの状況やニーズに応じて、一人ひとりの安心や自立への保障に係る専門的な養育・支援力の獲得に向け、職員が一丸となって取り組んでいることは評価できる。

◇改善を求められる点
中・長期ビジョンの明確化と年次事業計画への反映と取り組み
一法人一施設の運営状況のなか、当面する諸課題に傾注して取り組む一方で、小規模化の流れや改築整備等、将来に向けた構想を描き、役・職員間で共有化を図るよう取り組んでいる。現在の構想は、理念の実現に向けて長期的な観点に立った経営・運営・処遇等の多岐にわたるビジョンであることから、これらの実施の段階において、その時々の経営状況や環境の把握と分析、ニーズに応じた養育・支援の質の向上に向けた施策展開の確認などを効果的に実施することができるよう、中・長期計画として取りまとめることが求められる。なお、これらの目標を実現するためには、組織体制や設備整備、職員体制、人材育成、地域との交流、公益的な取り組みなどの考え方を含めた具体的な中・長期計画とすることが望ましく、年次事業計画に反映して取り組まれたい。なお、今後の策定にあたっては、職員の参画と意見の集約等も求められる。

職員一人ひとりの育成に向けた取組み
組織としての養育・支援の質の向上には、職員の研修計画を策定することのほかにも、職員一人ひとりの技量等に応じた目標設定が求められる。施設では、職員像として“対応の統一化”を挙げているが、このことについては、マニュアルや手順書、標準的な実施方法の整備と活用、見直し等を繰り返すことで、ある一定以上の統一化が見越せるため、今後は、職員一人ひとりの能力や資質に応じて必要となる目標の設定と、目標の達成に向けた研修会の受講やOJT、スーパーバイズ機能の拡充等を行うなどして取り組まれたい。設定する目標は、職員一人ひとりにとって到達の可能な範疇とすることと併せて、目標項目、目標水準、目標期限を明確にしたものとされたい。このようにして、現在の職員一人ひとりとの面接を通じたコミュニケーションに加え、定期的に目標の達成状況と取り組み状況を確認するための評価と振り返りの仕組みを整備されたい。

リービングケアへの取り組み
高校生を対象としたリービングケアは、金銭感覚や生活環境の変化に対応するための能力の獲得など、施設を退所した子どもたちが安定して社会生活を送るための、自立に向けた重要な支援のひとつといえる。施設では、アルバイトなどで学ぶ機会を設けてはいるが、さらに生活全般を経験することのできる学びの場を確保するなどして、子どもたちが安心して社会生活へと歩みだすことができるような取り組みに期待する。
子どもの成長記録の整理
子どもが自らの成長を振り返り、自身の生い立ちを確認することは、アイデンティティーの確立に繋がることから、アルバム等の成長記録を適切に整理して個人が所有し、適時、振り返りができるようにすることが重要となる。現状では、アルバムや写真等を、年齢や状況に応じて子どもに保管・整理を任せているため、今後は、可能な子どもには少なくとも年に1回、誕生日の機会を活用するなどして成長の記録を職員とともに振り返ったり、いつでも見たりすることができるよう整備されたい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 二度目の第三者評価受審でしたが、職員一同、前回いただいた評価を共有し改善に向けて、少しずつではありますが取りくんできた3年間だったと思います。受け継がれてきた菩薩道の教えをこれからも大切に、現状に甘んじる事なく、こどもたちと共に成長し、自然に助け合ったり、支え合う事ができるあたたかい常楽園にしていきたい。
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