社会的養護施設第三者評価結果 検索

たちばな学苑

【1】第三者評価機関名 (社福)徳島県社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 SK15129
SK15127
S15059


【2】種別 児童養護施設 定員 40名
施設長氏名 佐藤 文哉 所在地 徳島県
URL
開設年月日 1955年02月17日 経営法人・設置主体 社会福祉法人たちばな学苑
職員数 常勤職員 21名 非常勤職員 0名
専門職員 社会福祉士 1名 保育士 5名
看護師 1名 臨床心理士 1名
管理栄養士 1名 調理師 3名
施設設備の概要 (ア)居室数 17室 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 理念
・学苑は、家庭の代行機能を持つものであり、子供と起居を共にする職員は、家庭的雰囲気の中から、あらゆる機会をとらえて、子供達の日常生活を支援し、自信を持って社会に適応していく能力を養うよう努力する。
・どの子にも仏性があり、深い理解と愛情をもってすれば、必ずやこのことは達成できると祈りにも似た信念を持っていなければならない。
・児童、職員は激動する社会に対して、無限の努力を惜しまず社会に適応する力を養っていく。
・児童の安全、安心を第一に考えます。
・児童の健全な自立を支援します。
・家庭復帰に向けて支援します。
・里親委託の推進を図ります。
・退所後の生活もサポートします。

基本方針
・学習指導に力を入れ、進学希望のある子供は、大学、国立工業専門学校、各種専門学校への進学を奨励する。
・アルバイト、ボランティア等の社会体験を経験させ、就労に向けて資格取得を援助し、職業的能力を助長する。
・児童の権利擁護、事故防止を重視し、児童が意見表明する機会を設ける。
・各関係機関、幼稚園、各学校、事業所等との連絡をはかり、それぞれの専門的な支援、助言、援助を得る。
・広く地域の児童相談業務にも応じて、それぞれの行政諸機関との連携をもって、援助・助言を行う。
・家庭復帰、里親開拓に力を入れ、父・母・親戚・縁者の来苑には、面接を行い、助言すると共に本人が自立で
・職員の資質向上のため職員研修に積極的に参加する。
【4】施設の特徴的な取組 ・養育・支援の目標として自立を掲げ、こども一人一人が社会適応能力を身につけて自信を持って社会に出て行くことができるよう、学習指導の強化や将来の自立時に役立つよう資格取得を奨励している。
・こどもが意見や要望・苦情を表出しやすいよう環境整備(こども会・意見箱等)を行い、出された意見等に対して職員間で協議して対応(こども会・掲示板で報告)し、ている。
・行事やレクリエーションの企画・運営をこども主体で行い、職員が適切に支援し、こどもが積極的に参加できるようにしている。
・こどもの安全確保に向け建物内の設備を充実させ、警備会社とも契約している。
・施設外研修へ積極的に職員を参加させ、職員の専門性向上に努めている。
【5】第三者評価の受審状況 2017年04月13日(契約日)~ 2018年03月14日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点

子ども一人ひとりから汲み取った意向等を生活改善や養育・支援に活かす姿勢
 施設では、子どもから行事やイベント等の企画提案を募集するなどして、自主性を尊重しつつ、子どもの満足度の向上に取り組んでいる。採用になった企画は、子どもと職員が、日程調整やチラシづくり、準備のための買物、参加募集、実施報告等を行うなどして、子どもの意向を尊重しながら共に考え、取り組んでいる。食堂には、“意見箱”を設置しており、苑独自の記入用紙を活用するなどしている。意見箱には、職員への不満や要望、本や洋服、文房具購入への希望など様々な意見が多く寄せられる。担当職員が意見箱から記入用紙を回収するなどしており、手順に沿って職員間で情報を共有し、一つひとつの内容に丁寧に向き合い、回答や改善策を提案できるようにしている。申し出の子ども等に公表の有無を確認するなどして、名前や内容、プロセスの公表なども行っている。汲み取った意向は、申し出た子ども等に配慮しつつ、月一回発行している、子ども向け広報紙“たちばな通信”に掲載するなどしている。公表の際には、職員の子どもの頃の気持ちや思い、エピソード、異なる考え方もあるのではないかなど、子ども一人ひとりの尊厳を保ちつつ、真摯に向き合い、子どもの立場になって考える姿勢が見受けられる。“たちばな通信”は子ども用の掲示板に掲示するなどしており、漢字にはすべてルビが振られるなどの配慮が見受けられる。行事やイベント情報、熱中症などへの注意喚起、職員からの連絡事項なども記載されている。月1回、苑内の子ども会が開催されており、職員も参加し、子どもの権利について話しをするなどして、意見等を出しやすい雰囲気づくりに努めている。担当職員は、積極的に送迎時や買い物、通院等の際に個別に子どもと話をする機会を設けている。宿直の時にも、話しを聞くようにしている。子どもの意向等を把握する具体的な仕組みを整え、その結果を踏まえた、生活改善や養育・支援の質の向上に向けた取り組みは高く評価できる。

食のもつ力を最大限に活用した養育・支援と食育への取り組み
 施設では、年2回、子ども全員に嗜好調査を行っており、出された意見や希望は献立に反映するようにしている。毎月、給食便り“ごっつぉーさん”を発行するなどして、子どもの食育に取り組んでいる。アンケート結果や給食に対する意見への回答も含め、旬の食材摂取の大切さや栄養効果、栄養素の説明など季節感にも配慮した内容となっている。手書きのカットや文字は子どもの読みやすさやわかりやすさにつながっており、無理強いすることなく偏食等の改善に向けた支援となっている。食生活に必要な知識や技術の習得はもちろんのこと、食事内容や食事の時間の持ち方が施設での団らんの場としての食卓であり、生活が楽しく快適に過ごせる基盤のひとつであると捉え、子ども一人ひとりが自ら健康管理や食習慣の獲得などに関心を持つことができるよう、子どもと職員が共に和やかな雰囲気のなかで取り組んでいる。子ども同士のコミュニケーションの場にもなっている。食堂は、掃除が行きとどき清潔に保たれており、子どもの年齢や特性に応じて、“朝食の選びかた”“配膳のルール”“今日のメニュー”を掲示するなどしている。子どもが自由にコップや弁当箱を洗うことができるよう、食器乾燥機を設置するなどしている。管理栄養士は、朝食等の時間を活用するなどして、子どもに食事の内容や栄養、調理方法等について話をするようにしている。また、摂取状況の観察や食生活を把握している。食物アレルギーのある子どもや特殊体質の子どもには、職員間で情報の共有を図るなどして、日々の健康状態を把握して、食器の使い分け、アレルギー材料の除去などに配慮した食事を提供している。調理員は、子どもが下膳を行う際に、残食を確認するなどしており、職員間で情報を共有している。また、食べ過ぎなどによる肥満等の予防や成人病対策にも取り組んでいる。月1回開催される、職員連絡会議には管理栄養士、調理員も参加するなどして、子どもの心身の状況等の把握に努めたり、全職員が食をつうじて一人ひとりと豊かなコミュニケーションを図ったりしていることは高く評価できる。


◇改善を求められる点

理念の実現に向けて
 理念は、施設における養育・支援や施設経営のよりどころであり、基本方針が、理念に基づいて施設の子ども一人ひとりに対する姿勢や地域との関わり方、施設が持つ機能、人材育成等を示しつつ、理念を職員等の行動規範として具体的な指針となるよう検討されたい。なお、理念の実現に向けて、それぞれの内容の整合を勘案しつつ、職員間で話しあうなどして施設の役割や機能、養育・支援を考慮した一貫性のあるものになるよう取り組まれたい。施設長や職員の役割や責任を“職務分掌”等で明確にしつつ、文書化し、職員一人ひとりが存在意義を認識して業務が遂行できるようにされたい。また、“期待する職員像”を明確にし、職員一人ひとりの目標を設定した目標管理の制度を導入した育成計画とし、一人ひとりの専門性や知識・能力・技術の向上を図ることで職員にとって将来の夢が描けるようにするなどして組織体制の強化に取り組まれたい。

養育・支援の質の向上への組織的・計画的な取り組みに向けた施設長のリーダーシップの発揮
 今年度から、施設では、男子棟、女子棟に主任を配置し、質の向上に取り組めるよう努めている。施設長は、社会福祉士等の資格取得や資質向上のための研修会等への参加を推奨して、積極的に人材育成に取り組んでいる。資格取得のための補助制度も整っている。定期的に第三者評価を受審しており、職員は、グループに分かれ、担当項目について話し合うなどして評価を行っている。各グループが話し合った結果は、全職員を対象に、職員連絡会議を実施するなどして、情報共有の機会としているが、職員一人ひとりがより参画できるよう、評価基準を共有したり、改善に向けた計画策定を講じたりして、実施と評価、見直しのサイクルの定着の徹底に向けての取り組みは十分とはいえない。また、職員連絡会議は、全職員が組織的な取り組みを共有することのほか、話し合いの機会にもなっており、施設運営や支援の質を高めるための重要な機会と位置付けているが、開催回数が月1回であることや口頭での説明・確認が多く決定事項等の内容が明確にされていないことから、全職員の意向の把握や参画を得るための機会として適当とはいえない。今後は、各部門“生活指導係”“給食係”“事務係”を集約した検討の場を設けたり、養育・支援の質に関する課題や問題点等の解決に向けたPDCAのサイクルを徹底したりして、さらに質の高い支援を行うことができるよう継続的な改善活動に取り組まれたい。さらに、施設全体のスーパーバイズを行い、さらなる子どもの最善の利益のための社会的養護の在りようと、職員一人ひとりの守るべき内容をまとめた“倫理綱領”や“コンプライアンス宣言”を策定するなどして、職員と共に養育・支援の質の向上に取り組めるようリーダーシップの発揮に期待する。


【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  この度、当苑は二回目の第三者評価の受審となりました。前回の結果を踏まえ、改善に取り組んで参りました。子ども一人ひとりからの意向等の取り組み方やフィードバックの方法、食育の取り組み方等、高く評価していただき今後も、職員が一丸となり、取り組んでいくためのモチベーションに繋がりました。一方で、理念の実現に向けての取り組み方、期待する職員像の明確化などについて、ご意見をいただいたので、今後よりよい支援の実現のために、職員が協力し合い、課題に取り組んで参りたいと思います。
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