社会的養護施設第三者評価結果 検索

鳥取県立喜多原学園

【1】第三者評価機関名 (有)保健情報サービス
【2】種別 児童自立支援施設 定員 36名
施設長氏名 松永 芳久 所在地 鳥取県
URL http://www.pref.tottori.lg.jp/kitahara/
【3】実施調査日 2013年06月06日~2013年12月25日
【4】総評 ◇特に評価が高い点 平成21年に本館竣工で、大山道路に面し、全体に明るい印象である。
県立の児童自立支援施設としての自覚を持ち、施設や子ども支援への理解や協力を得るため、各種団体の見学、講演、交流など個人情報保護の観点から吟味しながら積極的に行われている。特に長年継続している保育所・社会人スポーツ団体との交流は、コミュニケーションを通じ、社会の一員としての知性・道徳性・情緒を育み、子どもの健全な自己成長や問題解決力の向上に向けた支援となっている。
「児童のアセスメント及び自立支援計画システム」を構築し、入所前より関係機関との情報交換・支援の共有化が図られている。特に児童の受け入れ後、入所児童の精神的ケアと生活状況等把握のため、別棟「家庭舎」で約1週間生活し、直接職員が状況確認した上、入所1ヶ月以内に児童相談所も出席して、園長以下支援方針会議(自立支援計画及び心理支援計画に関するアセスメント会議)を実施している。再アセスメントや評価・計画の見直し、自立支援、特に家庭復帰・その後の支援などへの積極的な関わりが見られた。
分校・分教室との連携が非常に充実しており、相互に心理的状況報告や授業補助を通し、子どものケアや個々の学力に応じた学習支援を行っている。
子どもの主体性を重視した内容で、個々の気持に寄り添うライフスキルトレーニングが実施されている。子ども自身が意見や課題を発表し、主体的に考える支援を行う中、信頼関係の構築を育んでいる。 ◇改善が求められる点
中・長期計画について、実施する福祉サービスの更なる充実、課題の解決等の他、地域ニーズに基づいた新たな福祉サービスの実施といったことも含めた目標を明確にし、それを実現するために組織体制や設備の整備、職員体制、人材育成等に関する具体的な策定が求められます。また、規定やマニュアルの職員等への周知徹底は、電子化により行われていますが、それと共に印刷物等いつでも閲覧しやすい周知への取組も求められます。
児童自立支援施設における生活支援は、子どもが健全で自主的な生活を営めることを志向しながら、基本的生活習慣を確立すると共に豊かな人間性及び社会性を養うことを目的としています。主体性、自立性を尊重した日常生活の支援については、職員と利用者、また組織と職員間で認識の差が大きい点もあります。組織として見直し中ではありますが、更なる職員の意識改革により、組織としての共通の認識を持って一定水準の支援が行われることに期待します。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 本園の運営指針では、①被包感のある施設及び寮舎の運営②児童ひとり一人の特徴を理解した支援③情報の共有による一貫した支援④児童相談所、学校等の関係機関との日常的な連携⑤開かれた施設 を施設運営の基本としています。また、施設内に分校・分教室が併設されており、子どもたちを中心として、多くの施設職員、分校教員がそれぞれの役割を持って自立支援に関わっています。そこで、職員同士のチームワークに努め、指導・援助の一貫性・継続性の確保や協働の姿勢を高めることに留意しています。
 支援技術及び方法については、総合的なアセスメントによる子どもや家族像の見立てを重視し、職員間で議論を重ねながら改善に取り組んでいます。特に、非行の背景に愛着障がいや発達障がいが疑われる子どもに対しては、個別的で具体的な支援方法の確立を目指して、分校や児童相談所と連携して取り組んでいます。また、さまざまなスポーツやレクレーション活動を通じて、積極性やチームワークを修得し、子供同士の力関係に左右されない健全な集団づくりを目指しています。さらに、子どもの問題行動に対する特別日課のあり方等については、懲戒権の濫用にならないように配慮しながら、中国5県の児童自立支援施設協議会の専門委員会の場で、継続的に調査・研究を行っているところです。                                                                                                                                                  
 第三者評価では、子どもたちに直接、外部アンケートを実施していただき、あらためて子どもたちの本音に触れることができました。子どもと職員の意識のずれや思い込み、説明不足などの課題があることに気づくことができました。今後、職員間で議論を重ね、より一層、標準的な自立支援の方法・技術を確立していきたいと考えています。
 また、管理部門と寮職員との意思疎通がまだまだ不十分であることや、中・長期的なビジョンの確立が必要であるとの御指摘も頂きました。児童自立支援施設の歴史を振り返ってみても、「教護院」から「児童自立支援施設」の名称変更、通勤交替制の導入、公教育の実施、アフターケアの義務化、施設内虐待の防止、第三者評価の義務化など、時代と共に大きく変化していますので、現状に安住しない姿勢が必要だと考えています。
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