社会的養護施設第三者評価結果 検索

聖母託児園

【1】第三者評価機関名 (社福)大阪府社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 S16043
SK15113



【2】種別 乳児院 定員 50名
施設長氏名 上利 久芳 所在地 大阪府
URL http://seikazoku.com
開設年月日 1947年12月12日 経営法人・設置主体 聖家族の家
職員数 常勤職員 58名 非常勤職員 16名
専門職員 保育士 36名 看護師 7名
社会福祉士 3名 社会福祉主事 3名 
栄養士 2名
施設設備の概要 (ア)居室数   (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 入所する児童に対して、その保護者等と協力しながら、かつキリスト教精神に基づいて養育し、良き社会人に育成する事と、地域社会で必要とされる子育て支援に関する事業を行う。家庭的雰囲気と心のやすらぎを与えるようにし、児童の能力を十分に伸ばし、健全な育成とその人格形成に努める。
【4】施設の特徴的な取組 窓口を家庭支援専門相談員に一本化する事で保護者からの相談や意見に対して迅速に対応する事が出来ている。
【5】第三者評価の受審状況 2016年09月26日(契約日)~ 2017年04月04日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成25年度
【6】総評 ◇施設の概要
 聖母託児園(以下、「当施設」という)は、長居公園に隣接した市街地に位置し、閑静な住宅地の中に所在しています。当施設は、昭和8年にフランスより派遣された愛徳姉妹会のシスターらによる救済活動がその始源となっています。戦後、昭和22年に児童養護施設「聖家族の家」と乳児院「聖母託児園」が創設されました。キリスト教精神に基づいた理念と基本方針のもと、永年に亘り社会的に養護が必要な子ども達の養育・支援に全力を注いできました。
 当施設は、 乳児一人ひとりを大切に尊重し、より個別的な配慮のもと深い愛情をもって養育に努めており、保護者等の相談支援にも積極的に取り組んでいます。特に個別的配慮が必要な子どもには、分園やグループホーム等において、より家庭的な環境のもとに養育がなされています。また、近隣との関係性も良好であり、施設の専門機能を発揮して地域交流や地域貢献にも積極的な取り組みがなされています。

◇特に評価の高い点
養育日誌のデーターベース化
 子どもの養育・支援の実施状況については記録で確認することができます。記録の記入についてはパソコンのネットワークシステムがうまく活用されています。現在は旧システムから新システムに切り替えられており、養育日誌に入力することにより日誌から「ヒヤリハット」や「事故発生報告書」、さらには「通院受診記録」などにも連動しており、施設内で情報を共有する仕組みが整備されています。優れた情報伝達の方法として活用されており、ヒヤリハット事例の収集と分析も容易であり未然の事故発生予防に繋がっています。

施設の小規模ケアと分散化(分園・グループホーム)
 施設の小規模ケアの取組として本体施設では少人数を単位としたグループ担当制により、個別的・継続的に愛着形成を築くための取り組みをされています。特により個別的支援の必要な子どもには分園やグループホームでの取り組みが先進的に行われています。
 中・長期計画には、本体施設の老朽化(築62年)に伴う建て替え計画により、平成30年完成を目途に本体施設をすべて小規模グループケアとし、さらにファミリーホームも開設することが計画されています。現状のハード面に制約のある本体施設ですが、建て替え後には、さらにソフト面の改善が期待されます。

家庭支援専門相談員の役割
 家庭支援専門相談員(以下、「FSW」という)の制度がない時から当施設は保護者等家庭への支援の担当者として施設ケースワーカーを配置し、対応してきた経緯があります。保護者等家族との窓口は、乳児院、児童養護施設のそれぞれ男女1名ずつのFSWが担当して、担当職員や主任、施設長等の意見を参考にしながら相互に情報を共有し、統一的な取り組みがなされています。FSWの職務については、マニュアルが整備され、基本的な姿勢として保護者等に安心感や信頼感を持ってもらうように丁寧な対応がなされています。
 また、子どもとの関わりが少なくなった保護者等には、子どもの写真や子どもの発達等を記した手紙を送付したり、保護者の状況に合わせて育児指導をするなど、保護者の子どもへの養育意欲を高め、親子関係の再構築のための取り組みが積極的に展開されています。

新任教育のための取り組み
 新任職員に対しプリセプター制度を取り入れ、一人の先輩職員(経験4年以上の職員)がマンツーマンで業務の進み具合や問題・悩みなどを把握し、新任職員の養成にあたっています。新任職員の業務について詳細なチェックリストが用意され、それを用いて中間や年度末にプリセプターと新任職員の反省会を開き、今後の取り組みにつないでいます。新任職員がどのように成長してきたかが分かるように3ヶ月、半年、1年後の評価表が作成され、主任に提出する仕組みになっています。新任職員のみならず多くの職員にとって自分のプリセプターの存在はいつまでも心の後ろ盾としての存在となり、相談相手として位置づけられるなど機能しています。

◇改善が求められる点
苦情解決の仕組み
 意見や苦情申し出等については窓口を設けていつでも対応できるようにしていますが、わかりやすく説明した掲示物や意見箱の設置が出来ていないので早急に整備することが求められます。また、保護者会での意見を聴収したり専用ダイヤルを設置するなどしていますが、苦情解決システムに関する掲示物が玄関口や面会室等にありませんので、苦情記入カードや保護者会等を利用したアンケートを実施することが求められます。

プライバシー保護等の権利擁護への配慮
 子どもを尊重した養育・支援の実施方針については「養育マニュアル」等に明示され、個人情報保護方針についても記載されています。しかし、子どものプライバシー保護等の権利擁護に関する内容が具体的に文章化されていないので、可能な限り一人ひとりの子どもにとって、心地よい環境を提供し、今以上に子どものプライバシーが守られる工夫が求められます。

被措置児童等虐待に関する取り組み
 被措置児童等虐待の防止に向けて日頃から会議で取り上げ、研修等を実施しています。「養育マニュアル」にも「施設内虐待を発見した場合の流れ」が明示されていますが、就業規則の懲戒の対象項目に「虐待等不適切な関わりの禁止」が明記されておらず、体罰等があった場合を想定した仕組み等も謳われていないので、就業規則を整備することが求められます。
 また、被措置児童等虐待は、社会的養護関係施設にとって重大なテーマであり、国のガイドラインに準じて、被措置児童等虐待対応マニュアルを整備することが求められます。その際に公益通報者保護に関する事柄についても明記し、仕組みを整備することが求められます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  第三者評価の受審は2度目であり、前回指摘を受けた内容については施設内で改善を図ってきました。したがって、前回よりは概ね良好な評価結果をいただけたのではないかと感じています。
 今回の評価についても、職員ひとり一人がその内容を理解することを基盤にして、職場全体としての養育を向上するための組織・体制づくりを具体的に進めて行きます。
 更に当施設の基本理念である「ひとり一人の違いを大切にしながら、利用者本位のサービスの創造」の実現化に向け職員一丸となって取組みます。
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