社会的養護施設第三者評価結果 検索

小鳩の家

【1】第三者評価機関名 (一社)京都社会福祉士会
評価調査者研修修了番号 S18052
SK18138
SK18137


【2】種別 児童養護施設 定員 42名
施設長氏名 山田 宗寛 所在地 滋賀県
URL http://kobatokai.or.jp/
開設年月日 1962年01月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人小鳩会
職員数 常勤職員 40名 非常勤職員 3名
有資格職員 社会福祉士 7名 保育士 22名
看護師 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 44室 (イ)設備等 各ユニットには、生活に必要な設備を設置(台所、トイレ、浴室、洗面所)
(ウ) 医務室、脱衣室、洗濯乾燥室、整理室、栄養室、厨房、検品室 (エ) 地域交流ホール、面会室、親子サロン、親子支援室かるがも、自立訓練室、静養室、職員室、会議室、事務室、院長室
【3】理念・基本方針 ・同一建物内に立地する小鳩乳児院と強い連携の基、0~18歳までつながりのある一貫養育の実施。
・小規模グループで家庭的な養護を行う。
・地域住民の一員として地域に根ざした暮らしをするとともに、地域資源として社会貢献を行う。
【4】施設の特徴的な取組 ①施設の小規模化、地域分散化の早期実現
平成4年4月の改築以来、生活単位を小規模化し、小規模グループケアに取り組んでいます。本体内ユニットのほか、近隣の地域小規模グループホーム「フレンドハウス」、地域小規模児童養護施設「クレヨンハウス」「ぽっぽハウス」において家庭的な養護を実践し、それぞれが独立性と自律性を備えたものとなっています。令和3年には、近隣に分園型小規模グループホームが開設される予定です。
②ホーム担当制とチーム体制による支援
特定の職員をホームに配置するホーム担当制を実現しており、継続的、安定的な関係性を重視した人員配置を行っています。また特に困難な課題を抱えた子どもに対しては、定期的に心理士との面談を実施するなどして、支援のためのチーム体制を整えています。
③地域資源としての役割強化
併設された「こばと子ども家庭支援センター」の機能を生かしながら、里親支援のほか、子育てサロン、不登校等相談など、地域住民のための子育ての支援も積極的に行っています。また令和元年11月11日、こばと子ども家庭支援センター分室を開設し、地域子育て支援や、里親支援のほか、子ども食堂・自治会等の会議など、地域住民交流の場を提供しています。
【5】第三者評価の受審状況 2020年05月07日(契約日)~ 2021年01月25日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 ◇施設の概要
 小鳩の家は、社会福祉法人小鳩会が運営しており、同法人が運営する小鳩乳児院と同一建物内に立地し(1階が乳児院、2・3階が児童養護施設)、基本的には、小鳩乳児院で過ごした子どもが、措置変更により、児童養護施設に入所することで、養護の継続を図っています。
 乳児院と一体化した養護方針のもと、小規模グループケアの体制を構築し、本体内ユニットのほか、近隣の地域小規模グループホーム「フレンドハウス」、地域小規模児童養護施設「クレヨンハウス」「ぽっぽハウス」と連携し、家庭的な養護を実践しています。また職員の一部は、子どもの成長に合わせて乳児院から児童養護施設に異動する等、乳児院と児童養護施設とが強く連携し、一貫した養育を実現しています。
 各ホームでは、子どもごとに、好みの衣服の購入することを支援したり、日常的にホーム調理を実施していますが、定期的にフリーメニューの日を定めて、子どもとメニューを決めた上で、一緒に買い出しをし、料理をしたり、子ども会議で、子どもから意見が出されたものを、ホーム運営会議の議題とするなど、子ども一人ひとりの思いを大切にしています。
 子どもを取り囲む環境が複雑化する中において、子どもの人権を重視する姿勢を明確にし、日々の養育に努めており、児童相談所をはじめとし、関係機関や団体等と連携を取りあっています。
 地域との関わりも大切にしており、少子高齢化が進む地域社会の中において、併設の「こばと子ども家庭支援センター」の機能を生かしながら、里親支援のほか、子育てサロン、不登校等相談など、地域住民のための子育ての支援も積極的に行っており、重要な地域資源となっています。
 今後も乳児院との強い連携のもと、地域との関わりを大切にしながら、家庭的な養護を実践していかれることと思います。
 
◇特に評価の高い点
①徹底した記録化の実施
 毎月1回ホーム養育会議を実施し、一人ひとりの養育状況について、「前月の援助計画→取り組みの評価」、「ねらいの必要性」、「次月のねらいと方法」など項目ごとに文書化し、これをもとに2か月に1回、援助計画を策定し、毎年1回、児童自立支援計画票、同評価票を作成しています。そのほか、健康状態などを記録した「健康台帳」・「受診記録」、小学校生活における「家庭訪問報告書」、「小学校個別懇談会報告書」を作成するなど、子ども一人ひとりの情報の記録化を徹底しています。
②地域との交流
 小鳩会は、昭和41年1月から、現在の地域で、施設運営を行っています。自治会に加入し、職員が、地域のスポーツ大会や、ソフトボール大会に積極的に参加したり、地蔵盆、ラジオ体操、盆踊りなどの地域行事を施設で開催したり、施設内での小鳩まつりに、地域住民にも参加してもらい、本施設の子どもたちが、地域の子どもたちとともに一緒にゲームを楽しんだりしています。また子ども会に加入し、地域の子どもたちとともに、スポーツ少年団に参加したり、宇佐八番宮例祭において、地域の子どもとともに、御神輿を担いだり、本施設が、御神輿の立ち寄り休憩所となっていたりなど、自然な形で地域交流が実現しています。
③地域における子育て支援の拠点となっていること
 小鳩子ども家庭支援センターと連携して、子育てサロンを開催したり、大津市ショートステイ、里親支援事業を実施するなど、地域の子育て支援の拠点となっています。とりわけ小鳩乳児院は、県内唯一の乳児院として、里親家庭を積極的に支援しており、委託時のマッチング支援や、委託後の支援、未委託里親子育て体験、里親への全戸訪問などを定期的に行っています。
④自立支援のための取組み
 退所後の自立を支援するために、アフターフォロー委員会を設置しています。このアフターフォロー委員会を中心に、住む家がないという相談や役所の手続きなどを補助したりしています。
⑤家族との関わりについて
 ご家族に対しても、毎月1回「小鳩だより」や、学校の手紙を送付したり、面会等があったときには、「家庭支援記録票」に記録しています。またご家族との関係性を整理するために、「家族状況統計表」(面会、外出、訪問、会議の回数を記録)を作成し、家族との関わりを深めることができるよう努めています。

◇改善を求められる点
①具体的な人事管理システムの未整備
 滋賀県職の基準に準じていますが、法人として独自の採用、配置、異動、昇進、昇格に関する人事基準が明確に定められておらず、職員一人ひとりの目標管理のための定期的な面談も実施されていません。また、「期待される職員像」も明確ではありません。職員個人は、子どもたちと真摯に向き合い、充実した支援を実施しようと努力していますので、施設としても、これを後押しするための人事管理システムを整備されるとよいと考えます。
②理念・基本方針の明確化
 理念や基本方針は、パンフレットや、ホームページ、広報誌などに掲載されていますが、概ね同じ内容であるものの、微妙に表現が異なったり、理念と基本方針が、明確に分けられていなかったりするものがあります。理念や基本方針は、施設における支援の基本となるものですので、一度これらを整理し、明確化させることが望まれます。
③中長期計画の充実化
 中長期の事業計画の策定にあたっては、まずは経営課題や問題点を明確にした上で、その解決・改善に向けた数値目標・具体的な成果等を設定することが求められます。この点で、現在の中長期の事業計画は十分な内容とはいえません。また収支計画を策定しているとのことですが、上記事業計画と連動した内容は確認できませんでした。今後は、この点を意識しながら、中長期の事業計画を策定し、これを支える中長期の収支計画を策定するようにしましょう。
④支援マニュアルの作成
 標準的な実施方法のマニュアルとしては、滋賀県児童養護施設協議会が作成する「実践的ケア基準」を用いています。ただ、この冊子の活用にとどまらず、施設に実情に合わせて必要な加筆・修正をし、より使いやすいマニュアルとされることを期待します。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 第三者評価を受審することで、一つ一つの項目の意味を、職員一同改めて考え直すことができました。
今回の結果を真摯に受けとめ、今後の法人運営と養育の糧にしたいと思います。
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