【1】第三者評価機関名 | (一社)京都社会福祉士会 |
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評価調査者研修修了番号 | SK18137 S18052 S2019035 |
【2】種別 | 乳児院 | 定員 | 35名 | |
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施設長氏名 | 山本 朝美 | 所在地 | 滋賀県 | |
URL | http://kobatokai.or.jp/ | |||
開設年月日 | 1962年01月01日 | 経営法人・設置主体 | 社会福祉法人 小鳩会 | |
職員数 | 常勤職員 | 48名 | 非常勤職員 | 3名 |
有資格職員 | 社会福祉士 | 2名 | 保育士 | 35名 |
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看護師 | 4名 | |||
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 10室 | (イ)設備等 | 各ユニットには、生活に必要な設備を設置(台所、トイレ、浴室、洗面所) |
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(ウ) | 医務室、脱衣室、洗濯乾燥室、整理室、栄養室、厨房、検品室 | (エ) | 地域交流ホール、面会室、親子サロン、親子支援室かるがも、自立訓練室、静養室、職員室、会議室、事務室、院長室 | |
【3】理念・基本方針 | ・同一建物内に立地する小鳩の家と強い連携の基、0~18歳までつながりのある一貫養育の実施。 ・小規模グループで家庭的な養護を行う。 ・地域住民の一員として地域に根ざした暮らしをするとともに、地域資源として社会貢献を行う。 |
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【4】施設の特徴的な取組 | ①ホーム担当制とチーム体制による支援 全ホーム小規模グループケアを実施し、家庭的養護に取り組んでいます。特定の職員をホームに配置するホーム担当制を実現しており、継続的、安定的な関係性を重視した人員配置を行っています。また特に困難な課題を抱えた子どもに対しては、定期的に心理士との面談を実施するなどして、支援のためのチーム体制を整えています。 ②地域資源としての役割強化 併設された「こばと子ども家庭支援センター」の機能を生かしながら、里親支援のほか、子育てサロン、不登校等相談など、地域住民のための子育ての支援も積極的に行っています。また令和元年11月11日、こばと子ども家庭支援センター分室を開設し、地域子育て支援や、里親支援のほか、自治会等の会議など、地域住民交流の場を提供しています。 ③児童養護施設との一体的な運営 併設している児童養護施設とは、職員の異動も含めて一体的な運営がなされています。そのため、長期に渡って児童の成長に合わせた支援ができ、家庭的な養育や地域との継続的なつながりをもった養育が実現されています。 |
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【5】第三者評価の受審状況 | 2020年05月12日(契約日)~ 2020年12月22日(評価結果確定日) | |||
前回の受審時期 | 平成29年度 | |||
【6】総評 | ◇施設の概要 小鳩乳児院は 滋賀県で唯一の乳児院で、社会福祉法人小鳩会が運営しています。同法人の児童養護施設小鳩の家とは同一建物内に立地し(1階が乳児院、2・3階が児童養護施設)、基本的には乳児院を退所した子どもがそのまま児童養護施設に入所することで、養護の継続を図っています。 児童養護施設と一体化している養護方針のもと、小規模グループケアの体制を構築し、職員の一部は子どもの成長に合わせて乳児院から児童養護施設に異動する等、乳児院と児童養護施設とが強く連携し、一貫した養育を実現しています。 居室は概ね年齢ごとで分けており、子どもの成長に応じた部屋の作りとなっています。また、備品等の配置やおもちゃ等の置き場についても、居室ごとの工夫がなされています。児童養護施設の子どもとの交流はありますが、新型コロナウイルス感染防止対策として、乳児院の入り口を一部通れなくするなどの児童との接触の制限を行っています。 子どもの食事は施設内の調理室で作っていますが、年齢が高くなるにつれ、居室でも食事の準備や調理ができるようにするなど、子どもの食事への関心が高まる取り組みを行っています。 子どもを取り囲む環境が複雑化する中において、子どもの人権を重視する姿勢を明確にし、日々の養育に努めており、児童相談所をはじめとし、関係機関や団体等との連携を取り、里親支援にも取り組んでいます。また、「緊急一時保護受入れマニュアル」を作成し、要請に応じて一時保護にも取り組んでいます。 地域との関わりも大切にしており、少子高齢化が進む地域社会の中において、子育てサロンを開催する等、子育て支援の中心的な役割を担っており、重要な地域資源となっています。 県唯一の乳児院として、今後も県の子どもの支援に関わっていかれることと思いまず。 ◇特に評価が高い点 ①子どもの権利擁護への取り組み 子どもを尊重した養育・支援については、法人全体で取り組んでおり、法人パンフレット「こばとのあんない」にも明記しています。施設内サービス評価の実施、CSPプログラムの受講、権利擁護に関する研修会の開催等、権利擁護の取り組みを行っています。また、「被措置児童虐待対応マニュアル」により、不適切な関わりについての具体例や対応方法について明確にしています。職員一人ひとり「不適切な関わり防止のためのチェックリスト」を年4回作成し、それを施設長や上司が関わり方の確認を行い、必要に応じて助言等を行い、不適切な関わりがないようにしています。 ②地域との交流 社会福祉法人小鳩会は、昭和41年1月から現在の地域で施設運営を行っています。自治会に加入し、地域の行事に職員や子どもが参加し、施設内での小鳩まつりには地域住民が参加しています、こばと子ども家庭支援センターと連携して、子育てサロンを開催したり、大津市ショートステイ、里親支援事業を実施したりするなど、地域の子育て支援の拠点となっています。県内唯一の乳児院として、里親家庭を積極的に支援しており、委託時のマッチング支援や、委託後の支援、未委託里親子育て体験、養育里親家庭への全戸訪問などを定期的に行っています。 ③職場環境の整備 大半の職員が女性であることから、女性が働きやすい環境整備に努めています。出産・育児の休暇の取得はもちろん、復職後の勤務時間等への配慮、相談に乗りやすい環境づくりが行われていること等から、退職者は多くありません。管理者は、このように職員が働き続けやすい労働環境を実現することで、養護の質を向上させるための職員の確保・配置・育成に努めています。 ④日常生活の支援 食事、入浴、排泄、遊び等、生活全般の支援について、年齢だけでなく、発達・発育状況に合わせた個別の支援を行っています。また、担当の職員を中心に看護師、栄養士等との連携を図りながら、子どもの健康や成長にも気を配っています。一方的な支援を行うのではなく、子どもの思いを尊重して、可能な限りその思いに応えられるように職員全体で努めています。 ⑤実習生の受け入れ 「保育士実習指導マニュアル」、「社会福祉士指導マニュアル」、「実習指導プログラム」を作成し、実習生の受け入れを行っています。実習生は丁寧な指導ができるように1回に2人までとし、学校と連携を取りながら実習プログラムを作成しています。実習指導を担当する職員は研修に参加し、実習指導に必要な学びをしています。実習は人材確保の上で大切な機会と捉え、卒業後の進路として検討してもらえるよう仕事のやりがい等も伝えています。 ◇改善を求められる点 ①具体的な人事管理システムの未整備 滋賀県職の基準に準じていますが、法人として独自の採用、配置、異動、昇進、昇格に関する人事基準が明確に定められておらず、職員一人ひとりの目標管理のための定期的な面談も実施されていません。また、「期待される職員像」も明確ではありません。職員個人は、子どもたちと真摯に向き合い、充実した支援を実施しようと努力していますので、施設としても、これを後押しするための人事管理システムを整備されるとよいと考えます。 ②理念・基本方針の明確化 理念や基本方針は、パンフレットや、ホームページ、広報誌などに掲載されていますが、概ね同じ内容であるものの、微妙に表現が異なったり、理念と基本方針が、明確に分けられていなかったりするものがあります。理念や基本方針は、施設における支援の基本となるものですので、一度これらを整理し、明確化させることが望まれます。 ③中長期計画の充実化 中長期の事業計画の策定にあたっては、まずは経営課題や問題点を明確にした上で、その解決・改善に向けた数値目標・具体的な成果等を設定することが求められます。この点で、現在の中長期の事業計画は十分な内容とはいえません。また収支計画を策定しているとのことですが、上記事業計画と連動した内容は確認できませんでした。今後は、この点を意識しながら、中長期の事業計画を策定し、これを支える中長期の収支計画を策定するようにしましょう。 ④支援マニュアルの作成 標準的な実施方法のマニュアルとしては、全国乳児福祉協会が発行する『乳児院養育指針』を活用しています。ただ、この冊子の活用にとどまらず、施設に実情に合わせて必要な加筆・修正をし、より使いやすいマニュアルとされることを期待します。 |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | 第三者評価を受審することで、一つ一つの項目の意味を、職員一同改めて考え直すことができました。 今回の結果を真摯に受けとめ、今後の法人運営と養育の糧にしたいと思います。 |