社会的養護施設第三者評価結果 検索

名張養護学園

【1】第三者評価機関名 (株)シンクアクト
評価調査者研修修了番号 S18046
29地福第1810-19号



【2】種別 児童養護施設 定員 36名
施設長氏名 山口 伴尚 所在地 三重県
URL
開設年月日 1955年05月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人名張厚生協会
職員数 常勤職員 28名 非常勤職員 7名
有資格職員 社会福祉士 1名 保育士 16名
臨床心理士 1名 管理栄養士 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 40室(相談室、心理療法室、静養室、親子室、卒園生室、会議室等) (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 名張養護学園の基本理念「すべての人を尊重し、児童の最善の利益を守り、より積極的に支える」
名張養護学園基本目標「未来にはばたく夢と力を育む 笑顔あふれる暮らし」
1.安心で快適な暮らしの場づくり 2.未来を拓く「生きる力」の育成 3.人を思いやる心豊かな人づくり
4.地域に根ざし、貢献する施設づくり 5.人が輝く活力ある職場づくり
【4】施設の特徴的な取組 名張養護学園では、目標管理や事業計画に対する職員提案、プロジェクトチームによる事業推進、経営会議の設置など、職員参加を重視したマネジメントを実施している。また、自立支援計画に基づき、重点取組の明確化、モニタリングと改善など、PDCAサイクルによる継続的な改善など質の向上に取り組むとともに、大学等への進学に対する法人独自の経済的支援、計画的なリービングケア、アフターケアなど、退所後の自立を見据えた支援を進めている。
さらに、各種イベントによる地域交流、子育て相談など子育て支援、地区のまちづくりへの参画や周辺地区の美化活動の実施など、地域に根ざした活動に積極的に取り組んでいる。
【5】第三者評価の受審状況 2018年08月01日(契約日)~ 2019年03月20日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成27年度
【6】総評 ☆特に評価が高い点
【施設長のリーダーシップ】
 施設長は、市政の動向や行政の情報を積極的に収集し、経営状況や施設経営をとりまく環境を把握・分析し経営方針を決定する立場として、職員にも経営課題を周知し改善に向けた取組を進めている。現在の施設の課題を「質の向上」と明言し、支援現場への直接的な介入ではなく、質の向上に向けた仕組み作りに力を入れている。具体的には、自立支援計画作成についての評価・見直し(進行管理)、職員からの業務改善提案制度、職員の目標設定や目標管理制度、養育向上重点プログラムを取り入れ、マネジメントを意識した取組を構築している。また、働きやすさの改善等、就任後まだそれほど時期が経っていない状況での実績として高く評価できる。

【地域との関わり】
 事業計画に地域交流に積極的に取り組む方針を明記し、地域の祭りや子ども会、民生委員の会議に参加するなど、地域社会を支える活動への参加が熱心に行われている。地域交流スペースや会議室を地域に開放し利用されているほか、子どもの友人も気軽に訪れることができる環境となっている。また、福祉避難所の指定や、地域に消火器を配るなど、地域の防災にも貢献している。子どもの就業体験で近隣の工場と関係を築くことも積極的に行い、地域の中の福祉施設として相互連携ができている。

【子どもの退所に向けた支援と退所後の支援】
 子どもの希望や意向を踏まえ、その同意のもと退所に向けたリービングケア計画と退所後のアフターケア計画を作成している。退所予定の子どもには、進路に合わせたガイダンスや親子室を利用した自活訓練の実施、卒園児の体験を聴く場を設け、進学希望者には、自立支援金の交付、進学後必要になる生活費や学費などのシミュレーションや情報提供を行い、退所に向けた支援を計画的に行っている。日頃から卒園児との関わりを子どもに見せることで、退所時や退所後の不安の軽減にもつながっている。アフターケア計画を6ヶ月ごとに見直ししており、退所後も子どもが担当者と相談できる機会を設け、退所後も頼れる施設であることを子どもに伝え、安心感を与えている。

☆改善が求められる点
【チーム支援の強化】
 養育向上重点プロジェクトチームを立ち上げ、支援ごとにチームが中心となり活動している。プロジェクトチームは今年度から立ち上げたこともあり、本格的な活動はこれからとなっている。チーム支援を強化し、意見を出し合いながら取り組んでいける体制と、質の向上に向けてチーム支援が機能していくことに期待したい。また、チーム支援の強化に向け、人間関係や職員間のコミュニケーションの向上を図る取組にも期待したい。

【施設運営への子どもの参加】
 日頃から、子どもを尊重した養育・支援に努めているが、子どもへの事業計画の説明やアンケート結果の公表、子どもが理解しやすいような入所のしおりの作成や権利擁護についてより理解できるような年齢に配慮した資料や内容、説明等の工夫が望まれる。子どもを施設運営に欠かせないパートナーとして、子どもが運営に参加できるような取組に期待したい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 新しい社会的養育ビジョンを踏まえ、家庭養育の優先、永続的解決の徹底などの原則に基づき、社会的養育の大きな改革が進められようとしている。こうした変化の時こそ、右顧左眄することなく、養育の原点を見据え、確固たる将来展望を切り拓くことが求められる。その意味で、今回の第三者評価は、客観的な視点で学園の現状を見つめ直し、未来を描くための貴重な示唆を与えていただいたと感じている。
これまで重点的に取り組んできた、園舎の新築移転後のユニットケアの充実など養育の質の向上、退所後を見据えた支援や制度整備、児童家庭支援センターの設置運営など地域支援機能の充実、計画的な事業展開などマネジメントの充実などについては、一定の評価が得られたものと感じている。今回実施していただいたアンケート結果でも、児童の満足度は高く、これまでの努力が児童にも評価されていることがわかった。
いうまでもなく、―まさにこのことが重要であるが-様々な面で課題がある事も改めて認識することができた。とりわけ、児童は、「学園づくりのパートナーである」という学園づくりの本質を、十分に認識し、行動できていなかったということ。さらに、職員の参画を図りながら様々な取り組みや改革を進めてきたが、肝心の職員がその意義やプロセスを必ずしも十分に理解しているとはいえない現状があることが、今回の評価により浮かび上がってきたは大きな成果であった。
こうした課題をはじめ今回の第三者評価をさらに詳細に分析、検討し、改善・改革を進めていきたい。
最後に、評価に携わっていただいた担当者の熱意と努力に深甚の感謝を表するものである。
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